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サザエさん / 宇野ゆう子

アニメの楽曲は初めてかな。
サザエさん.jpg

「サザエさん」はフジテレビで放映されているアニメ「サザエさん」の主題歌で、
B面のエンディングテーマ「サザエさん一家」ともども、
これまで一度も変更される事なく47年余りも使われ続けている、
永遠のスタンダードと言っても良い楽曲です。
オリコンにチャートインした実績は無いようですが、その浸透度・知名度は
日本の音楽史上最高位にランクされるのではないでしょうか。

ボーカルの宇野ゆう子さんはシャンソン歌手ですが、「サザエさん」の他にも
「ケンちゃん」シリーズの主題歌などもこなしており、
由紀さおりさんにも通じるような素直な声と丁寧な歌唱が印象的です。


作家について

作詞は元フジテレビのディレクターであり、チェリッシュや渚ゆう子さんの一連のヒット曲、
欧陽菲菲さんの日本デビュー曲「雨の御堂筋」などで知られる林春生氏です。

作・編曲は筒美京平氏で、当時すでに「ブルー・ライト・ヨコハマ」等の大ヒットを持つ
売れっ子作家でした。


楽曲について

ゆるやかなテンポで淡々と進行するオケに宇野ゆう子さんの柔らかく穏やかなボーカルが乗る、
童謡のようなイメージを持ってしまう曲で、
明らかに耳触りの良さを優先して作られていると思われますが、
それまでのアニメ主題歌に比べ、作りが歌謡曲寄りとなっています。

「サザエさん」が放映され始めた頃、筒美氏の作品「ブルー・ライト・ヨコハマ」が
そのヒットから半年ほど経っていても尚、誰もが口ずさむようなパワーを保持していました。
その曲が持つ独特の雰囲気を「サザエさん」にも、
そのメロディーラインやアレンジに感じ取る事ができます。

特にアレンジでは、ブラス(コルネットかトランペットの2部使い)と
ストリングスの使い方を「ブルー…」から応用しているのは明らかで、
その事も当時の視聴者に親しみを持たれた大きな要因と思われます。


アレンジについて

全体の構成は4コーラスで、歌メロは前半Aメロ、後半Bメロに分かれています。
滅多に放送されない4コーラス目だけ、メロディーの譜割りとAメロでの音の伸ばし方が
3コーラス目までと異なっていて、これはレコードを買った人だけが楽しめる…
と言った趣向かも知れませんね。

4コーラス構成なので間奏が3回ありますが、
最初の2回は間奏だけで使われる同じ旋律、
3回目の間奏はイントロと同じメロディーが使われている珍しいパターンです。

キーはCD化されている音源で調査すると、
A=440Hzとした場合Dとその半音下のD♭のちょうど中間なんです。
使われている楽器には一つ、調律のできないビブラフォンが含まれていますが、
それがたまたまそのような音程で他の楽器がそれに合わせたのか、
それとも元々はA=440Hzあたりで全楽器が合わせていたにもかかわらず、
音源作成の過程(ダビング等)で何らかの原因でスピードに誤差が出てしまったか、
あるいは「わずかに遅くするといい雰囲気になるんだよね」などと言った理由か、
はたまた放送の尺に合わせる目的で故意に操作されたかのいずれかだと思われます。

スポンサーが東芝一社だった頃、オープニングで歌が終わってストリングスの
メロディーに変わる時に急にピッチが低くなってしまって、
「こんなに露骨に変なのになぜ直さないのだろう?」と、
私はそれがずっと気になっていました。
今思うと、いかにもアナログ音源らしい現象でした。


「サザエさん」のメロディーパートとストリングスのパートを2段の楽譜にしました。
コード進行も併せ確認してみて下さい:
sazae.jpg
「歌謡曲っぽさを感じさせる」要素の最たるものはコード進行でしょう。
童謡の雰囲気に徹するのならば、使用するコードは単純にトライアド(3和音)を
I→Ⅳ→Ⅴ…のようにつなげていけばそれなりの形になりそうですが、
「サザエさん」では歌メロが始まってすぐにセブンスコードが効果的に、
しかも歌メロを邪魔しない(歌メロに7thの音をあてない)ように使われています。
テレビの放映では耳にしないイントロ部では、1969年当時だと「斬新な響き」と
感じられたであろうメジャーセブンスが使われ、
「親しみやすく、でも童謡にはしないぞ!」と言ったような作家の主張が感じられます。


歌メロはあくまでも親しみやすさ最優先で作られていると思いますが、
ソドドドドーレミレドド ラレレミレ…と、よくある四七抜き音階だな…と思っていると
♪裸足で駆けてく♪ で「四」(ファ)が、
歌メロ終わりの ♪今日もいい天気♪ で「七」(シ)が登場し、
結局全音階で作られている事になります。
日本人にとって耳馴染みの良い四七抜きで終始しない事が、
かえって印象に残る要因となったのではないでしょうか。


歌メロ、ストリングス、ブラス(コルネット2パートでしょう)に共通しているのは、
3度のハーモニーを多用している事です。
それによって全体に柔らかい雰囲気を醸し出しているのですが
そんな中、1回目と2回目の間奏に出てくるストリングスのメロディーが
5度や4度のハーモニーで書かれていて、短調に転調しそうな進行と併せ、
ややとがった雰囲気を出しています。
これも印象に残る、大きな要因ですね。

筒美氏のアレンジでよく登場するストリングスの駆け上がりですが、
この曲に関してはすべてリズムに素直に乗る16分音符で書かれています。
歌謡曲や洋楽でよく聴かれるような5連符や7連符などの奇数連符による駆け上がりは
カッコいいが仰々しさが出てしまうため、
この曲ではあえて避けているようにも考えられます。

歌メロの終わりでのジャガジャッ!ジャガジャッ!ジャガジャッ!ジャガジャッ!は、
サザエさんのはつらつさを表現すると同時に番組への期待感を煽っているのでしょう。

エンディングはストリングスのオクターブ差ユニゾンが使われ、
間奏でのトレモロ奏法のような演奏(実際には16分音符ですが)を含め、
この1曲の中でストリングスの様々な表情を楽しむ事もできるんですね。


サウンドについて

全体に当時の典型的な東芝サウンドで、その要になっているのがやはり
ストリングスの音作りと12弦ギターの独特でちょっとシタールにも似た音色でしょう。

使われている楽器とその定位は:

左: 12弦エレキギター ストリングス タンバリン

中央: ドラムス ベース

右: エレキギター ビブラフォン ブラス(コルネットあるいはトランペット4本)

…とシンプルな構成で、時代的に、またブラスの跳ね返り音が左から感じられる事からも
全楽器同時に録音されたものと思われます。

ベース(エレキベース)はハッキリとアタック音が聴こえるので、
ピックで演奏していると思われます。

ドラムスはレコーディングではマイクを何本も立てて凝った音作りをする事がありますが、
ここで聴かれるドラムスの音は全体をそのままワンポイントで収録したような感じがします。
経験上、バンドの練習をしている時に耳にしていたドラムスの音にとても近いんです(^^)

カラオケを聴いて気づいたのが、この曲での演奏はハイハットをオープンにして
8ビートを刻んでいるように聴こえる事なのですが、そのような演奏ってあるのでしょうか?
ドラムスの奏法に詳しい方、ぜひご教示をm(_ _)m


付記

私にとって、そして私と同年代以上の多くの人がそうだと思うのですが、
初めての「サザエさん」はアニメではなく江利チエミさん主演の実写版でした(^^)
まだ学校に上がる前、よく再放送されていたと記憶しています。
明るくて楽しく、大好きな番組でした。

なので、アニメの「サザエさん」が始まっても何かピンと来なかったものです。
やがて毎週観るようになりましたが(^^;)
「忍者ハットリくん」も同じで初めて知ったのは実写版でしたが、
今では昭和56年から始まったアニメの方の大ファンです。

しかし実は、ここ数年(いや、もっとかな)「サザエさん」は殆ど観なくなりました。
たまに気が向いて観てみると、かつて観ていたような快活なものではなく、
何だかおとなしくなっちゃったな、って思うんですね。

「忍者ハットリくん」は最近CGでリメイクされたアニメがCSで放送されていますが、
正直なところ全然入っていけなくて…(>_<)
その原因は、ハッキリしているんです。
まずセリフが、ゆっくり過ぎる。 
オリジナルのアニメのようなめくるめくような展開、スピード感がまるで失われているんです。
さらにあれこれ規制が入っているからか、当たり障りのない作りになっているようで、
それと同じ事を今放送されている「サザエさん」にも感じるんですね。
簡単な言葉で片づけて良いなら、「つまらない」。 その一語に集約されてしまいます。

現代ではどのアニメもほぼすべてCGで、絵がベッタリとしていて面白みがない…
と感じてしまうので、どうも受け付けなくて(^^;)

音楽もアニメも、結局は人間が手作りしたものの方が、
その制作過程など知らなくても、自然にスッと受け入れられるのではないかな。
あくまでも自分の経験上の見解であり、
プライベートでも仕事でも現在では欠かせないデジタルものの便利さ、
良さは十分理解できるのですが…。


「サザエさん」
作詞 : 林春生
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : 東芝音楽工業
レコード番号 : TC-1135
初発売 : 1969年11月10日

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頂いたコメントへのお返事が遅れがちで申し訳ありません。
必ず書かせて頂きますので、よろしくお願い致します。


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