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秋からも、そばにいて / 南野陽子 その1

↓ ジャケ写にバーコード…抵抗あったなぁ(^^;):

秋からもそばにいて ジャケ写.jpg

楽曲について…あれこれ

「秋からも、そばにいて」は南野陽子さんの13枚目のシングルとして1988年10月に発売され、
オリコンシングルチャート初登場1位(同年10月17日付。1位はこの週のみ)を記録しました。

グリコのCMソングとして使用されていましたので、ファンならずとも記憶にある方が多いと思います。

作詞は小倉めぐみ氏、作曲は伊藤玉城氏となっていますが、正直なところ、
私はその両者についてほとんど何もわかりません。
小倉氏はSMAPの「がんばりましょう」も作詞した…程度の知識で、
ググっても有力な情報が出て来ません。
どうも80年代のヒット曲はあまり知られていない作家によるものも多いようで、
他の曲の作家を見ても「?」と思う事が多いんです(^^;)
それまではどのヒット曲もクレジットを見て「またこの人か」と思う事が多かったのに対し、
80年代後半はそのような偏りがなくなっていった時代だったんですね。
もし何らかの情報をご存知の方、おられましたらぜひ教えて下さいm(__)m


編曲は萩田光雄氏で、南野陽子さんの楽曲に対しては大変力を入れ、
また強い思い入れを持っているようです。


歌謡ポップスチャンネルで放映されていた「クリス松村の注文の多いレコード店」に
南野陽子さんが出演した際、自分のシングルで最も好きな曲は?と質問されて
「『秋からも、そばにいて』。」とキッパリと答えていたのが印象的でした。
その理由が「オーバーだから」だそうで、それはイントロのパイプオルガンの音色に
よるものが大きいのでしょう。

この曲が「ザ・ベストテン」(TBS)にランクされ、南野陽子さんが出演した時に
途中で歌うのが止まってしまった事件は有名ですが、その時に司会の黒柳徹子さんが
急いでスタッフから台本の歌詞が載っている部分を教えられ、歌詞を大声で伝えた…
とのエピソードを知った時、私は一見クールに進行しているように見える歌番組も、
その実は手仕事の集合体なんだな…と思ったものです。

因みに「ザ・ベストテン」では、同曲は第3位が最高でした(同年11月3日オンエア)。


楽曲について…ちょっと楽理的に

80年代後半から、特にアイドル歌謡に顕著になってきたのが構成の複雑さで、
その事について当時、近田春夫氏との対談で筒美京平氏が近田氏に同調して
リスナーの欲望が果てしなくなってきている…と発言していました。

「秋からも、そばにいて」も起承転結はクッキリとしているものの、
全体を通すと構成がかなり複雑です。

基本は2ハーフですが、オルガンのソロによるイントロに続きサビのメロディーで序章、
半音上に転調してから1コーラス目、間奏、2コーラス目、間奏、ハーフ、
サビのメロディーの繰り返し、エンディング…となっており、
間奏はそれぞれ全くの別物、エンディングは1回目の間奏のバリエーション…などなど、
細かく記述するとキリがないほどで、それ以前の歌謡曲とは全く違う作り方です。


キーはCマイナー(ハ短調)で始まり、前サビが終わってすぐにC#マイナー(嬰ハ短調)に
転調し、それ以後は転調はありません。

テンポは110bpm前後の中庸なものですが、パタパタと16ビートで忙しく進行するので
かなりアップテンポに聴こえます。
またイントロ~序章、エンディングではテンポを遅めに変え、複雑さをさらに増していますね。

8ビートに近いゆったりした歌メロをそのようなリズムに乗せるのは80年代後半に盛んになってきて、
例えば同じ時期からヒットを連発し始めた森高千里さんの楽曲でもその傾向が見られます。


全体にクラシック音楽のようなイメージがありますが、それに大きく貢献しているのが
ベースの動きです。

コード進行が複雑、コード自体も複雑であるのも大きいのですが、
クリシェを多用してベースの動きに副メロディーのような役割を持たせており、
それが品の良さにつながっている…と私は感じています。


南野陽子さんのボーカルは決して巧みではないのですが、
サビで二重唱のハモリを聴かせる部分は南野陽子さんの声質ならではと言った趣があります。
自身がピアノを演奏するためか、例にもれず音程の動きが階段状で音程自体も正確である
のも、南野陽子さんの他の楽曲にも感じられる独特の音楽性のようなものの要因と思われます。


イントロで「抜け駆けをした罪の意識」を表現するようなパイプオルガンが聴かれ、
強いインパクトを残しますね。
その音の動きはバッハのオルガン曲などで聴かれるようなパターンで、
コードネームで示すとベースがGを保ったままAdim(Cdimでも同じですが)の
構成音を重ねたものです。
どことなくスピリチュアルで重々しい響きですね。

2コーラス目から半音上がるパターンはヒット曲にもいくつか見られますが
(「森を駈ける恋人たち」(麻丘めぐみ)、「霧のめぐり逢い」(岩崎宏美)等々)、
「秋からも…」のようにイントロに続きサビメロで序章が歌われてから半音上がって
1コーラス目に突入するのは珍しいパターンです。
それだけでも大きく耳を惹き、続きを聴きたくなりますね(^^)

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このブログでは初めての事と思いますが、今回の「秋からも、そばにいて」
については2回に分け、続きは来週にしたいと思います。

十分な時間が無かった…と言うのが本当のところですが、実は何度も聴くうちに
改めて検証したい事が増えてしまいまして(^^;)

楽理的な事についてもう少し具体的に、そして最近書くのを控えていた
サウンドの事について、次回書かせて頂こうと思います。
この曲の時代はレコーディング環境が完全にデジタルに移行した頃で、
70年代のサウンドが好きな私としては色々と思うところがあったりします。
その事も含め、もう一回お付き合い下さい!

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ぼたもち

ぽぽんたさん、こんにちは。
お忙しい中、解説をありがとうございます。
第2弾に続くとのことで、想像以上に奥深くスケールが大きい曲なのね…とゾワゾワしてしまいました((;゚Д゚))))

私にも通じる段階のお話で、わかりやすく書いてくださっているので、先日観たYouTubeの記憶と一つ一つ照合して、(そうそう!)(なるほど!)と納得する度にいちいちニヤけながら(笑)読み進めました。

2コーラス目から半音上がる曲は個人的に好みではない(音楽的に意味のある技法だったら申し訳ないですけど、安易に“変化をつけた風”にしてる気がして…^^;)のですが、この『秋からも、そばにいて』の“イントロ→サビメロ序章→半音上がってのAメロ”は珍しいのですね?
ぽぽんたさんの解説で(たしかに!)と思った曲展開でしたが、とても厳かで品がある感じがするのはそのせいでしょうか。目からウロコでした〜。

それから、南野陽子さんの独特な歌い方についてもスッキリしました( ´ ▽ ` )
当時からあの跳ねるような歌い方が耳について、でも特に音を外しているわけでもないし、この曲に関しては他の明るい曲に比べしっとり感が出てるし、何がどうしてこうなっているのかと…(笑)
音符をキッチリ歌っているんですね。“音程の動きが階段状”とはなるほど納得です!

この曲は編曲が非凡で素敵。
冒頭のパイプオルガンで(なんだ?)と惹きつけてからの演出は、萩田光男氏アッパレです。

長々とすみませんm(_ _)m
更に掘り下げた第2弾を楽しみにお待ちしてますね♪
by ぼたもち (2016-10-10 13:53) 

ぽぽんた

ぼたもちさん、こんばんは! こちらこそ、いつも読んで下さってありがとうございます(^^)

途中で半音上がったりキーが変わったりする、いわゆる転調はあらゆる楽曲で使われていますが、
仰るように時としてわざとらしく感じる事もありますね。
かつてはなるべく気づかれないほどさりげなく、上品に組み込まれている楽曲が多かったものですが、
こと90年代になると転調乱発と言って良いほど、転調がない曲などないと言った状況になり、
そのどれもがかなりわざとらしく、法則など無視したような無理な転調も多く聴かれました。
「秋からも…」で使われている転調も、最初聴いた時は「え??」と感じるのですが、
もし転調しないままだと暗い雰囲気が立ってしまう気がしてくるんですね。
ただ別の見方もあって、本編でのサビメロを立たせるために序章では逆に半音下げて
同じサビメロをより暗い感じで歌わせたのでは、とも思えます。
恐らくこれは作曲家ではなく、萩田さんのアイディアではないかな。

パイプオルガンは独特の音色を持っていますし、音圧が大きいので、他の楽器には出せない
凄みがあって嫌でも印象に残ってしまいますね(^^;)
その分、やり過ぎ感も与えがちなので、使い方にはきっと大変なセンスが必要だろうと思います。

次回もぜひ読んで下さいね(^^)/

by ぽぽんた (2016-10-11 23:02) 

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