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じんじんさせて / 山本リンダ

このジャケ写はちょっとノリすぎかな(^^;)
じんじんさせて ジャケ写.jpg

チャートアクション

「じんじんさせて」は山本リンダさんのキャニオンでの4枚目のシングルとして1972年11月に発売され、
オリコン最高10位(翌年1月15日付)、同100位内に16週ランクインし17.1万枚の売り上げを記録しました。


作家について

「どうにもとまらない」「狂わせたいの」に続いて作詞・阿久悠氏、作曲・都倉俊一氏の
コンビによる作品です。
編曲もそれまでと同じように都倉俊一氏が担当しています。 と言うよりも、
クラシック音楽の作曲家と同様にメロディーとアレンジを一貫で作り上げている感を受けます。


歌詞について

前作「狂わせたいの」の歌詞に出てくる「二度とはお目にかかれない可愛い女」をさらに前進させ、
さらに次作「狙いうち」へ続くような支配欲の強い女性が主人公で、
おおよそ現実感が薄く、おとぎ話に近いような世界が構築されています。
曲先で作られているとの事なので、そのサウンドから阿久悠氏は楊貴妃あたりを
イメージしているのかな。

しかしその内容は意外とハードで、子供が聴くような代物ではない…
と当時の大人は思ったに違いありません。


歌メロについて

都倉氏はこの時代の山本リンダさんの楽曲については「マイナー・ペンタトニックで作っている」、
即ちラ・ド・レ・ミ・ソの5つの音で成り立つ音階を基に作っていると述べていて、
実際「じんじんさせて」のメロディーをAメロを階名読みしてみると
ラ・ミソラ・ミソラ・ドシララドレ・ミミレドラ
と、1箇所だけシが入っていますが残りは5つの音を組み合わせているのがわかります。

「どうにもとまらない」でも確かに ミミレドララミソララミソラ…と、
特にミ・ソ・ラのつながりを中心に作っている事がわかり、「じんじんさせて」にも
それが引き継がれているんですね。

しかしペンタトニックだけだと単調になりがちなので、展開が必要な時などはそれにこだわらず、
必要な音を組み合わせていますが、そのために一聴すると和風なメロディーなのに
どこかバタ臭い…と感じる事になるようです。


アレンジについて

イントロがあまりに中華風なのには驚いてしまいますね(^^;)
チェレスタで演奏されているフレーズ、それに続くサックスで演奏されているフレーズは
いずれも4度の和音で、
それと先述のペンタトニック(5音階)の組み合わせが中華風に聴こえる原因です。
4度の和音とは、例えばドから上がってレとミをはさんで4つ目の音がファですから、
ドとファを一緒に出せば4度和音となります。
逆にドと、ドからシとラをはさんで4つ下がったソを重ねても4度の和音となります。
同じようにレとソ、ミとラでも同じですね。

4度和音で作られていて中華風に聴こえる別の好例としては、「パールカラーにゆれて」(山口百恵)
のイントロが挙げられます。

そして面白いのが、イントロや間奏・エンディングのフレーズが、ケテルビー作曲の管弦楽、
「ペルシャの市場にて」の最も有名なフレーズを引用したものである事です。
そしてそのフレーズはさらにBメロ、つまり「じんじんさせて」のサビである
♪だめだめ女を口説くのは どこにもあるよな手じゃ駄目よ♪ にも応用してあります。
私事ですが、我が家では当時、この曲を耳にして「こりゃ『ペルシャの市場』じゃないか」
と最初に言い出したのは父でした(^^;)

しかしサウンドとしては目立って中華風なのはイントロと間奏・エンディングであり、
あとはほぼロック。
その対比がインパクトを増大させています。


楽曲について

キーはBマイナー(ロ短調)で、他調にわたる転調はありません。
リズムはドラムスとベースのパターンは8ビートのロックで、タンバリンで16ビートを加味しています。

コード進行はとてもシンプルで、複雑なものはなくほとんど3和音で押し切っている感じで、
それもシンプルなロックを感じさせる要因なんですね。

ポイントはE7の使い方です。 ここがEm7だと普通のロックになるところを、
E7にする事でサビにも中華風のイメージを呼び込んでいるんですね。

先述の4度和音、そしてコード進行なども楽譜でチェックしてみてください:
じんじんさせてscore.jpg

山本リンダさんのボーカルは「どうにもとまらない」で突如変化した発声法が
この曲でも使われていますが、
2コーラス目のCメロ♪それじゃまだ燃えないわ…♪の「それじゃ」の部分には
変化前と同じような発声が垣間見え、、
その使い分けが面白くなりそうな予感を抱かせる曲でもありますね(^^)


サウンドについて

「どうにもとまらない」は都倉俊一氏によると8トラックでレコーディングされたそうで、
「じんじんさせて」もその音数からして同じ8トラックで制作されたと思われます。

左のサックスセクション、右のトランペットセクションにはお互いの音の跳ね返りが
聞こえるあたり、リズムセクションとそれらホーンセクションが同時録音され、
ストリングスが後からかぶせられたように思えます。

8トラックで録音されているとすると、ドラムスとパーカッションに2トラック、ベース1トラック、
ピアノに1トラック、エレキギターは2本なのでそれぞれ1トラック、ストリングスに1トラック、
ボーカルに1トラックと言った具合に割り当てられて録音されたのでは、と思います
(ボーカルは複数テイク録音する事が多いので、リズム関係をもっと2トラックにまとめて
その分ボーカルトラックを確保していた…事も考えられますが)。

冒頭のチェレスタの音は別録音のつなぎ合わせでしょう。

そして仕上がったミックスは、ステレオ録音で広がりと躍動感を強調したドラムスと、
音量の変化がまるでハンドマイクを持ちながら歌っているように聞こえるボーカルを軸に、
都倉氏らしい派手なホーンセクションやストリングスなどを組み合わせ、
全体として歌謡曲と言うよりも、シンプルなプログレッシブロックと言ったサウンドです。

「どうにもとまらない」「狂わせたいの」ではボーカルの二重録音が使われていましたが、
「じんじんさせて」ではそれがなく、またリバーブもほとんどかかっておらず、
目の前で歌っているような生々しいボーカルが聴かれます。


付記

山本リンダさんの楽曲でオリコンのベスト10に入ったのは今のところこの曲が最後で、
次の「狙いうち」から徐々にブームが終わっていくのですが、
今改めて聴き直してもそれら一連のヒット曲のパワーは凄まじいものがあります。
「じんじんさせて」のボーカルなど、ヘッドホンで聴いていると「この人、この録音の時
このまま酸欠で倒れちゃったんじゃないか」と思わせるほどの本気度です。
だからこそ、そのサウンド、その歌の世界に引き込まれるのでしょう。

前回も書きましたが、私は山本リンダさんにはもう一度ブームを起こす力があると思っています。
どうも現代の音楽ってユル過ぎる気がしてならないんです。 勿論全部とは言いませんが…。
それを変えられるのは、山本リンダさんのような「本気度」を発揮できる人ではないか。
今こそ、それがもう一度新鮮に感じられ、誰もがふり向くのではないか、と。
期待してます。


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このブログを贔屓にして下さっている音楽ライター・濱口英樹さんが中心となった編集で、
読み応え最高の一冊となっています(^^♪


「じんじんさせて」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 都倉俊一
編曲 : 都倉俊一
レコード会社 : キャニオン
レコード番号 : A-146
初発売 : 1972年11月25日

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コメント 5

もとまろ

ぽぽんたさん、こんばんは。

「じんじんさせて」は、テレビでは1回しか見たことないんじゃないかな…番組は小堺さんでおなじみ「ごきげんよう」、平成初期の復活のときにです。歌手が週替わりで一日一曲歌うコーナーがあったんだと思います。
メドレーの中の一曲じゃなく、ワンコーラスでしたが、オリジナルカラオケに合わせて歌う姿をちゃんと見ることができました。「狂わせたいの」よりも好きな歌です。
当時のリンダさんは、どうにも狙いうちをハウスミュージックとかディスコ風とかアレンジを変えて歌ってましたが、やっぱりオリジナルアレンジに勝るものはありません。当時それをすごく痛感したものでした。

「じんじんさせて」は、まず、中華風のイントロ。不思議な感じがしました。でもあれを省いて、いきなり「ペルシャの市場にて」だとインパクトに欠けるから、やっぱりなくてはならないものです。ペンタトニックをうまく使ったものなんですね。
「ペルシャの市場にて」は、全体をよく知らなかったので、さっきようつべで聴いて本当にそっくりなのを今更ながら知りました。歌謡曲のこういうところがおもしろいんだな…。
それと、何よりあの歌詞がすごいです。テンポが速いから、すごく手ごわい要求内容が難しい女王様の歌に聞こえます。
これこそ、リンダさんのパワフルなうちにもっとテレビで歌って欲しいなと思います。

今日は、ようつべでキャニオン移籍第一弾「白い街に花が」を初めて聴きました。
きれいで寂しい感じで、なんか足りないんですよね。リンダさんは近年シャンソンを好んで歌ってますが、それとも違う。で、そこからよく「どうにもとまらない」に行き着いたなぁと思いました。阿久・都倉両先生の持ち味のすごさと、スタッフの方々の発想転換のすごさを見ました。
昭和42年の水原弘さんあたりから、5〜10年前にヒットした歌手が、低迷を経てイメチェンの歌で復活する例が毎年のようにありました。復活の一曲だけで終わる歌手もいますが、リンダさんは何曲も続けてヒットを飛ばし、キャラ付けまでできて、そこがすごいと思います。
強い女の歌をハイテンションで歌ったり、「こまっちゃうナ」と少女になったり。やっぱりリンダさんには、明るい歌が似合うなぁと思います。
by もとまろ (2016-11-14 00:32) 

もとまろ

あ、「ごきげんよう」の歌コーナーは「週替わり」じゃないな…毎週一組決まった歌手が出て日替わりで歌う、てことでした。
「じんじんさせて」と「狂わせたいの」は見ましたが、たぶんリンダさんはあと3曲歌ってるんじゃないかな。
他の歌手もいろいろ出たんと思うけど、なぜかリンダさんをよく覚えています。
by もとまろ (2016-11-14 07:09) 

Massan

ぽぽんたさん、こんばんわ。
この曲のイントロはいかにも中華料理店のCMソングのようで、子供心にすごい不思議な感覚だったものです。チェレスタという楽器があるなどまるで知りませんでしたが、その演奏が終わったところでグワ~~ンと銅鑼が鳴ったものだと思い込んでいました。改めて聴き直してみるとそんな音は完全な空耳でしたね。強くシンバルを打つ音と混同していたようですが、よほど中華風のイメージが強かったのでしょう。
ボーカルも酸欠で倒れそうなほどの迫力ですが、この頃の山本リンダさんの楽曲はどれも伴奏が聴いていて小気味いいと思います。この小気味良さはピンクレディのヒット曲でも感じますので、やはり都倉センセって大したものです。
今の私は50代半ばですが、この当時の50代半ばの方はどんな感じでこうした歌謡曲を聴いていたんでしょうねえ。昭和47年に50代半ばだとしたら大正生まれになりますが、今の私が現代の音楽についていけないのと同じように、まるで外国のことのように思いながらテレビを見ていたのかもしれません。ただ、私の父は歌謡曲が好きでよく歌番組を見てましたけど。。。
それでは。次回を楽しみにしています。
by Massan (2016-11-15 21:41) 

ぽぽんた

もとまろさん、こんばんは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

変身後のリンダさんの曲はどうしても「どうにもとまらない」と「狙いうち」のパワーが凄くて、
「狂わせたいの」「じんじんさせて」はちょっと隠れがちなんですよね。
しかしその2曲も本気で作られているのがよくわかって、私も今も好きな音楽です。
アレンジについては、私はいわゆるリミックス物はやはりどれもそれを作った人の
趣味でしかないように感じる事が多く、オリジナルがやはりベストと思います。

70年代の歌謡曲にはビートルズの影響を受けているものも多いようなのですが、
この曲のようにクラシックの有名曲からアイディアをもらった曲も多いんですね。
それは恐らく、その時代の職業作曲家はクラシックの勉強をしているのが当たり前だった
事も大きいのではないでしょうか。
それが当時の歌謡曲の奥深さにつながっているのは間違いないと思います。

仰るように当時は復活組が多かったのですが、リンダさんはそのあまりの変わりように
大衆がびっくりしたんですね。 しかも歌も踊りも本気を感じさせた事が、
何年経ってもリンダさんが忘れられていない理由だと思います(^^)

by ぽぽんた (2016-11-16 23:31) 

ぽぽんた

Massanさん、こんばんは!

なるほど!この冒頭の音に続いてリンリンランラン龍園~♪ なんて違和感がなさそうですね(^^♪

本当にオケもいいですね。 きっと当時最高のミュージシャンが集められて演奏されたもの
と思いますが、もっと凄いのが当時の都倉さんはまだ24歳だった事です。
当時の一流のミュージシャンは間違いなく都倉さんより遥かに年上だったはずなので、
そんな人達に良い演奏をさせる事には大変なエネルギーが必要だったのではないでしょうか。

私の父は若い頃バンドでドラムをやっていたり、モダンダンスの教師だった事もあって、
音楽には理解がある方でした。 それでも子供に歌謡曲が聴かせない!という主義で、
やはり歌詞に抵抗があったようです。
しかし私(勿論子供だった頃です)があまりに熱心なもので、やがて一緒にステレオで
歌謡曲も聴くようになりました(^^)

by ぽぽんた (2016-11-16 23:40) 

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