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胸さわぎ / 優雅

ややマイナー路線、かな:

胸さわぎ.jpg

チャートアクション

「胸さわぎ」は優雅(ゆうや)さんのセカンド・シングルとして1974年7月に発売され、
オリコン最高47位、同100位内に12週ランクインし4.8万枚の売り上げを記録しました。

優雅さんは台湾出身の歌手・女優で、1974年4月にシングル「処女航海」でデビューし、
オリコン最高20位を記録するヒットとなりました。

同年3月には同じ台湾からテレサ・テンさんがデビューしていて、
欧陽菲菲さん・アグネス・チャンさんが作った台湾・香港勢の日本進出の波が
盛んに押し寄せていた時代なんですね。

しかし優雅さんはその波に馴染めなかったようで、
3枚目のシングル「異国の風」を発売した後に台湾に戻ってしまったようです。


作家について

作詞・有馬三恵子、作編曲・筒美京平、更にプロデューサーが酒井政利氏と、
南沙織さんを一躍スターにしたコンビネーションによる作品です。
「胸さわぎ」は南沙織さんの同コンビによる「夏の感情」発売直後の作品であり、
アイドルとしては旬が過ぎつつあった南沙織さんの後継者として、
優雅さんを育てようとしていたのかも知れませんね。

先述のテレサ・テンさんも、日本でのデビュー曲「今夜かしら明日かしら」は筒美京平氏の作品であり、
そうした海外勢に対する筒美氏作品の相性が非常に頼りにされていた事が伺えます。


楽曲について

デビュー曲「処女航海」は異国ムードを感じさせるオケに
16ビートで畳み掛けるようなせわしいメロディーをのせた独特の雰囲気を持つ楽曲でしたが、
「胸さわぎ」では洗練されたディスコサウンドとなっています。

リズムはシンプルな8ビート。
キーはC#マイナー(嬰ハ短調)で、他調にわたる転調はありません。

構成が凝っていて、
イントロ→サビ→Aメロ→サビ→Bメロ→サビ→Bメロ→サビ→間奏→サビ(繰り返し)…と、
通常の歌謡曲とは違い、最初からディスコで使われる事を想定したような作りなんですね。

サビで英語訛りのような女性コーラスが歌詞で歌い始め、
同時に優雅さんが ♪ヘイ・ヘイ・へヘイヘイ…♪ とスキャットで歌い出すのがとても新鮮で、
しかもその声質がルックスに合わぬほどハスキーで、
一度聴くと忘れられないインパクトがあります。

ボーカルはBメロ以外はほとんどダブル(1人二重唱)で、
敢えて抑揚を排しオケのサウンドとの同列化を図っているものと思われます。

それに絡むようなストリングスは流麗なのにリズミカルで、
サビで多用されるソ・ソラドッ!のフレーズが強力にサウンドを引き締めています。

オケに溶け込み過ぎてあまり目立たないホーンサウンドですが、
間奏でのミュートしたトランペットとサックスでようやくその存在感が誇示され、
聴き終わった時には強く印象に残る…と言った効果的な使われ方がされています。


間奏には主メロと言えるフレーズのない、カラオケ部分の延長線上と言った感じで、 
それも従来の歌謡曲にはあまり聴かれないパターンです。
コードが AMaj7→A#m7-5→E/B→G#7/C→C#m7→DMaj7→G#7 とクリシェで動きますが、
同じような進行は野口五郎さんの「甘い生活」の間奏でも使われています。


アレンジとサウンドについて

よく聴くとこの曲、同年前半に日本だけでヒットした洋楽ディスコである
「荒野のならず者(Dirty Ol' Man)」(スリー・ディグリーズ)をバラバラにして
組み立て直したような作りである事がわかります。

イントロのギターのメロディーは「荒野の…」のAメロでのリフを主メロに転化したものですし、
サビのメロディー ♪夏は何かが起こるの♪ の入り方も「荒野の…」に従った感じ、
さらにBメロ ♪はてしない珊瑚礁…♪ でのボーカルとギターの絡み方が
「荒野の…」のAメロ ♪Now I done told you…♪ にかなり似ている…と、
同曲を意識して作られた事は間違いないでしょう。


この曲あたりのサウンドを「筒美京平のフィラデルフィア・サウンド」と表現する
記事を見かける事がありますが、
「胸さわぎ」を聴く限りは「凝っているが行儀の良い歌謡ディスコ」と私は感じます。
日本人向けにアク抜きされたような、しかしサウンドの厚みが損なわれていないその作りに、
翌年から本格的に始まる日本でのディスコミュージックのブームのための免疫を
筒美氏が作ったのでは、などと勘ぐってしまいました(^^ゞ

それはともかく、聴いていて目の前が開けるようなサウンドがとても気持ちいいですね(^^)


「胸さわぎ」で使われている楽器とその配置は…
左: ピアノ トロンボーン サックス
中央: ドラムス ベース エレキギター
右: エレキギター ビブラフォン トランペット コンガ サックス
そしてストリングス、女性コーラスが左右に広がるステレオ収録となっています。


付記

正直に言うと、優雅さんは私にとっては長い間「処女航海」だけの人でした。
1998年の春頃、コンピレーションアルバム「筒美京平SOUL & DISCO」で
初めて「胸さわぎ」を聴いて「これは!」と大発見したような気分でした。

そのアルバムには、優雅さんのファーストアルバムに収められた「私は忘れない」
のリメイクバージョンも入っていて、しかもそのアレンジがオリジナルと同じ
筒美京平氏である事に驚きました。
オリジナルとは似ても似つかないサウンドになっていたから、なんですね。
やがてそのファーストアルバムには、筒美氏が他の歌手に提供した楽曲を
自らアレンジし直した曲が数曲入っている事を知ったのですが、
それらを聴き、筒美氏が優雅さんをより洋楽に近いサウンドで歌謡曲を歌える歌手に
したかったのではないか、と思ったものです。

特に1970年代前半、台湾や香港、韓国などからも多くの歌手が日本でデビューしましたが、
残ったのは欧陽菲菲さん、アグネス・チャンさん、テレサ・テンさんだけでしたね。
今回この記事を書くまでは、優雅さんも私にとって記憶の彼方の人でしたが、
改めて聴いてみて「そう言えば、今の時代にこんな声でヒットを出す人っていないよなぁ」
などと考えてしまいました(^^;)


「胸さわぎ」
作詞 : 有馬三恵子
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : CBSソニー
レコード番号 : SOLB159
初発売 : 1974年7月1日 (6月4日説もあり)

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nuko222

ぽぽんたさん、こんばんは。
当方は正直、この曲や優雅(尤雅)さんを知ったのは「筒美京平SOUL & DISCO」(VICL-60194)のトラック5,6にあった「私は忘れない」と今回のお題の「胸騒ぎ」です。

リアルタイムには全く記憶が無くて、どうしていたんだろうと思ってしまいました。(オリコンの左ページに入っていた曲なのに)

曲調は往年の日本式ディスコサウンドそのものといった曲で当方は好きなタイプです。

優雅(尤雅)さんのベストアルバム「筒美京平を歌うアンド・モア」(MHCL 336)がソニーミュージックダイレクトから2003年に出ていて、ここに「胸騒ぎ」も収録され、オリジナル・カラオケも収録されています。
ベスト盤には多数のカバー曲があってオリジナル感が少ないのがちょっと残念ですが、その時代の曲だらけなので昭和歌謡を楽しめます。

レアと言うと本人に失礼かもしれませんが、こういった楽曲を紹介して頂くことは音楽の普及にとても有り難い事と思います。(昔その産業にいた者として)

by nuko222 (2017-06-06 02:28) 

ぽぽんた

nuko222さん、こんばんは!

ありがとうございます。 前回の「としごろ」のコメント欄で有田美晴さんが
随分と話題になっていたので、今回はあまり知られていないと思われる歌手、楽曲を
と思い、この曲だとバランスがいいのでは、と思いました。

「筒美京平SOUL & DISCO」でこの曲を知ったとは、私と同じですね(^^)
私も「処女航海」は当時よくテレビで歌唱を観ていて憶えていたのですが、
「胸さわぎ」は全く記憶にありませんでした。

優雅さんのそのベストアルバムは最近再発されていますので、私もぜひ聴きたい
と思っています。
紹介して下さったように、「処女航海」「胸さわぎ」のオリジナル・カラオケも
収録されていますね(^^)

「筒美京平SOUL & DISCO」に話を戻すと、全曲にわたり音圧が非常に高く、
曲によっては特に低音域がつぶれてしまっているんですよね。
マスタリングに使用した機器も解説書に明記されているので、明らかに
コンセプトをもって音作りをしているのは理解できるのですが…。
しかし選曲があまりに良いので、今でも時々聴いています。

by ぽぽんた (2017-06-06 22:35) 

Massan

ぽぽんたさん、こんばんわ。
うーむ。優雅さん、処女航海、胸さわぎ・・、知らないな~。
どんな曲なのか知りたかったので配信されていた「筒美京平を歌うアンド・モア」を購入して聴いてみたのですが、やはり記憶にありませんでした。優雅さんは昭和28年生まれのようですから南沙織さんとかテレサ・テンさんあたりとほぼ同年代であり、当時中学生だった私から見ればだいぶ年上になるので親しみを感じにくく、それがために印象が薄かったのでしょう。
ぽぽんたさんの記事をよく読む前に聴いたので構成が変則的なのに目を白黒させましたし、コーラスが詞を歌い本人がスキャットするのも大胆な演出だと思います。中学生が軽く聞き流すにはややハードルが高かった一曲だったのかもしれません。
せっかくこの機会に購入した優雅さんのベストアルバムですので、改めてじっくり聴きこんでみます。
それでは。次回を楽しみにしています。
by Massan (2017-06-06 23:19) 

nuko222

ぽぽんたさん、お返事ありがとうございます。
音つぶれの件ですが、特に目立つのはオリエンタル・エクスプレスさんの楽曲ですね。
1曲目のド頭でいきなりピーク越えの音ですが、これはマスターテープ上でも相当つぶれているものを曲全体のレベルに合わせて持ち上げてしまったため、極端な音質になってしまったのではないでしょうか?
EP盤の音を知らないのであくまで想像ですがそんな気がします。

マスタリングは加減が難しくて単に音圧を上げられるのは数dB程度です。(音質に影響が少ない範囲は)
デジタルレコーダーの-16dBを基準レベル(+4dB=0VU)としてアナログテープからデジタル化することがCD生産の数年後から始まりました。(CD生産当初は-20dBが基準)
90年頃にはもうCDマスター時のデジタルレコーダーは-10dBが0VU基準となってしまいました。
音圧(レベル)競争のためです。よってピークと基準レベルにたったの10dBしか抑揚が無いのです。(ヒップホップのようなものは-6dBが基準なんていうものもあります。)

話題にしているこのCDもそれに準じていますが、やや無理をしてしまったのか?・・・アナログマスターを聞いてみたいです!

by nuko222 (2017-06-06 23:42) 

ぽぽんた

Massanさん、こんばんは!

わざわざ音源を購入して聴いて下さったんですね! 何だか嬉しいような
申し訳ないような… ありがとうございます(^^)

「処女航海」は結構、テレビで歌われていたんですよ。 ただこの頃って
香港・台湾勢は日本人にとってやや食傷気味だったようで、よほどの個性があるか、
よほどの楽曲でないと売れにくくなっていたのも確かだった気がします。
優雅さんもアイドルと言うにはちょっと薹が立っている感じでしたし、
立ち位置がちょっと半端だったのかな、と今になって思います。
しかし声質が筒美さん好みでやや変わった声ですし、アルバムでアレンジまで
担当する力の入れようだったので、きっとそのベストアルバムは聴き込むほどに
気に入るのでは、と思います。 って、私も早く買わなきゃ(^^;)
余談ですが、「胸さわぎ」のようなコーラスとリードボーカルの掛け合いは、
翌年に岩崎宏美さんの「センチメンタル」のエンディングで再び使われて、
そちらは大ヒットとなりましたね(^^)

次回もぜひよろしくです!

by ぽぽんた (2017-06-07 22:10) 

ぽぽんた

nuko222さん、こんばんは!

詳しいご説明をありがとうございます。 私もCDは黎明期のものから持っていますが、
そんなCDを聴くと音量がとても低くて驚く事があります。
当初は、CDの規格の16ビット=96dBのダイナミックレンジを意識して
小さな音から大きな音まで、それまでレコードやテープでは叶わなかった
幅広さを生かそうとしていたと思うのですが、
CDがメディアの主役になるとそのような事そっちのけで「目立つ音」
を目指して音圧競争が始まったものと思うんです。
逆に言うと、音圧競争を見直せばCDのポテンシャルをもっと生かす事ができるのでは、と…。
ただ時代はパッケージから配信へと移っているので、CDが再び盛り上がる事は望み薄ですが。

私も「筒美京平SOUL & DISCO」に収録されている楽曲のオリジナルマスター、
ぜひ聴いてみたいです! できればコンプレッションなど全くかけずに
ハイレゾ化してもらいたいな、と(^^)

by ぽぽんた (2017-06-07 22:22) 

もっふん

またコアな楽曲を・・・(^o^;

私がすぐに食いつけそうなメジャーな曲は、もう一回りしちゃったんでしょうね(笑

優雅さんの存在自体は辛うじてリアルタイムでの記憶がありましたが、「処女航海」を聴いて「ああ、こういう曲あったなぁ。歌い出しで平山みきの『真夏の出来事』を思い出したよ、筒美さん」と言う程度で、この「胸さわぎ」はまるで聴いた覚えがありません。

The Three Degrees の楽曲や「私鉄沿線」、ついでに「甘い生活」の聴き直しやら、まるで一夜漬けで臨む試験のようなコメントになりますがご容赦を。

★間奏のコード・プログレッション★

誰にも読んで貰えないかも知れませんが、こういうコメントを付けるのが私の仕事なので(笑

>「コードが AMaj7→A#m7-5→E/B→G#7/C→C#m7→DMaj7→G#7 とクリシェで」

私を含めて多少楽器を触った人でも殆ど意味が分からないと思うので(笑)キーをAmに直すと

 Fmaj7→〃→F#m7-5→〃→C/G→E7/G#→Am7|B♭maj7→E7/B|E7

原曲に基づいて最後の E7 を分割しましたが、確かにあまり目にしないコードが散見されます。

上行形ですから「F#m7-5 はメロディックマイナーのVIダイアトニック」と言えなくもないですが、直後に「♮ソ」を含む C を持って来るならスケールを変える必要がありませんし、実際 R-ch のブラスのリフは4小節に渡って同じフレーズを繰り返しています。

そこで最初の4小節を、構成音が同じ別のコードで強引に書き直してみると、

 Am(add♭13)/F→〃→Am(6)/F#→〃

ベースのフレーズも「ラーラ、↑ファー」と「ラーラ、↑ファ#-」の違いで上声部は同じ Am なのでブラスのリフが全く同じフレーズでも問題が無い事が分かります。もちろん最初のコードの解釈は Fmaj7 であるべきですが、理解を助ける上の便法として「上行形を作るためにカッコ内に記したテンションをルートに持って来た」と見る視点があっても良いでしょう。

同様に間奏の後半を書き直すと、

 C/G→E7/G#→Am7|Dm(add♭13)/B♭→E7/B|E7

と、ベースが勝手に上行している中でたまたま「Dm/B♭」になっていると解釈する事も可能で、もし「E7/B」を省くのであればこれに替えて、もしくはこれに続けて Dm/B と等価である Bm7-5 を使う方法もあったでしょう。

ただ今回いろいろ試してみて初めて分かったのですが、この「〇m7→〇#maj7」と言う進行は、前後の流れと関係なくたった2つのコードで「〇」を「ミ」とするダイアトニックスケールの構成音全てを提示出来てしまうので、今回のように Em7→Fmaj7 以外の使われ方をすると猛烈にスケールアウトした感覚をリスナーに与えます。

とりわけ主音と一全音の間隔があった「m7」から半音でぶつかる事になる「maj7」の緊張感が強調されるので、この半音音程を解消する方向でさえあればかなり大胆な転調があっても許容出来てしまうようです。(これは個人的に非常に勉強になりました)

この場合で言えば「シ♭」は上がりたがり、「ラ」は下がろうとします。

「シ♭」を半音上げると構成音は割とお馴染みの Bm7-5 と同じになり、「ラ」を半音下げると「B♭7」、すなわちこの間奏のゴールである「E7」の裏コード(※)となります。

※ ドミナントコードのキモである「帰結を促す力」の源は「メジャー3rd と 7th」によって形成される増四度音程(トライトーン)なのですが、これが「E7」と同じ「レ」と「ラ♭=ソ#」になる事から、このような関係のコードを裏コードと呼び、ドミナント代理コードとして用いられます。

「シ♭」と「ラ」の言い分を両方聞いたものが Bdim、これはこれで不安定なので更に「ファ」も半音下げると、めでたく「ゴール」である E7 に着地と言うわけです。

ここでは変更幅を半音にして説明しましたが、クリシェに拘らずにこれを一全音まで広げると Gm7、G7 やDm7(含F)などへの解決でも良い事になりますし、「レ」と「ファ」も動かすならば相当ぶっとんだ進行であっても成立すると思います。

最後に、筒美氏のような天才では無く、凡人がこのベース上行クリシェを使いたいと考えたならば、B♭maj7 の部分の第一選択肢はたぶん B♭dim であったであろう事を申し添えます。

数小節のコード進行を解析するだけで長くなってしまいました。
今日はこの辺にしておきますね(笑
_
by もっふん (2017-06-08 02:30) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは!

流石ですね。 私にはとてもできない理論的な解説をありがとうございます!
私は音源で使われているコードやリズムを洗い出しているだけで、それが
どのような働きをしているか、どのように動くのが定石か、などとは正直なところ
ほとんど考えていないんです。
理論書にはよく××は不安定だからこのコードで解決する云々…とあるのですが、
それを読んでいると私が勉強の中で最も苦手だった「図形の証明」を見せられているようで、
ちょっとしたアレルギーが起きたりして(^^;)
私は自分が作る時はいつも感覚勝負で、頭の中に流れてきたものを生け捕りにするんです。
それがうまくいって心地良い曲になると、よく確かめると理論的にも筋が通っている、
って事も確かにあるんですよね。 きちんと勉強しなきゃ、とは思うのですが…。
今後もぜひ、私の代わりに(厚かましいですね、すみません)理論的な解説、
折に触れてお願いします!

by ぽぽんた (2017-06-08 22:30) 

もっふん

★補足★

>「同じような進行は野口五郎さんの「甘い生活」の間奏でも使われています」

「甘い生活」をざっと聞いた感じではキーがC#mで、間奏は

 F#m → C#m|C#m/B → A|A/F#(=F#m7) → G#7

例によって Am に直すと

 Dm → Am|Am7/G → F|F/D(=Dm7) → E7

特に変わった事は何もないように思うのですが、私が聴き取れていないだけかも知れません。

ついでに「私鉄沿線」(キーFm)で多用される Gm7-5 もキー Am なら Bm7-5 でして、これは正真正銘のダイアトニックコード(短調における機能はサブドミナント)。確かに2小節は長い(一小節で一旦 E7 に移行して、次のフレーズを Fmaj7 あたりで始めるのが普通かも知れません)ですが、次のコードが E7 で黄金進行がぴったりハマるので、思うほどバランスは悪くないかと思います。

ギター小僧であれば、「〇m7-5」を 3rd の音から組み立てて、「△m6 on 〇」に読み替える(Bm7-5 なら Dm6/B)ことで、ルートはベースが弾いてくれるので「単純に △m を弾いていれば良い」と言う「手抜きテク」を実践している人も少なくないと思います。
_
by もっふん (2017-06-09 04:50) 

秀和

ぽぽんたさん、前回はごめんなさい!

さて、これはまた素晴らしい選曲。
優雅さんはシングルとファーストアルバムを全て中古で買いました。36年前のオリコンウィークリー誌に筒美京平さんの100位内チャートイン曲全掲載がありまして。

ベスト盤がなさそうな歌手のはほとんど揃えました。

ハニーシークレッツ「にくい君」というのだけみつからなかったです。

80年代ならまだまだ簡単にゲット出来たんですが、今の若い人たちが集めるとしたら、もっと大変なんでしょうね。
by 秀和 (2017-06-09 12:43) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは!

補足説明をありがとうございます。 読んでいると、もっふんさんが例えば
音楽雑誌などでコードの解説などがあるとご自分で実践してみないと気が済まない!
と言ったタイプである事がよくわかります。 その上でのご説明なので、
とても納得できます。 今後も期待しています。
自分で多重で作る場合も、ベースが担当しているから、あるいはベースとかぶって
しまうから…と言った理由で例えば
キーボードバッキングから特定の音を省くのは
よくある事で、そんなリアルも文章にしてしまうのはすごい。
私も大いに見習いたいと思います。

個人的にはXm7-5の使い方はアマとプロの分かれ道かも、などとよく感じます。

by ぽぽんた (2017-06-09 23:38) 

ぽぽんた

秀和さん、こんばんは! …え? 何かありましたっけ?

レコードの収集の仕方がマニアですねぇ(^^)
私は小学5年くらいからレコード屋さんで本格的にレコード漁りを始めましたが、
その頃今ではレアと言われるレコードも多数見ていて、またパスしていたはずで、
今、改めてその頃に戻ってレコードを買って来たい、と思う事がよくあります。
CDがレコードととって代わって長い年月が経っていますが、それでも
CD化されていない音源って山ほどありますよね。
しかしこの頃は中古レコードを見る事も少なく…20年くらい前に戻りたいです(^^)

by ぽぽんた (2017-06-09 23:45) 

もっふん

えーとですね (^o^;

これは「流石な事」でも何でもなくて、本来は「右脳的」であるべき音楽脳の性能が余りにも貧弱なので、仕方なく楽典を読んだり既存の曲を解析したりして、「左脳的に」何とか自分の引き出しに収めようとしているだけなんですよ。

コードネームや楽譜を見て脳内でハーモニーが再生出来たり、逆に音楽を聴くだけで構成している音を聴き分けられる方が遥かに良いに決まっています。

私が書いている事と言うのは、有名作家の小説を前にして「主語が」「接続詞が」「5W1H が」「起承転結が」などと言っているようなものです。本当に能力のある人なら特に意識しなくてもキッチリ収めたり、上手に破綻を回避しながら自分の独自性を表現できたる性質のものです。

ただ、ピカソのデッサンが実は幼少期から既に素晴らしく写実的であったように、自分の感覚をストレートに作品にぶつける能力を持った人であっても、基礎的な技術や知識と言った「音楽のボキャブラリー」をたくさん身に付けておく事は、無駄にはならないと思います。

「普通はこうだけど敢えて変えてみる」場合の「普通」を知っておく事とか、「思うままに作ってみたら元の調性に戻れなくなって収拾が付かない」ような時に「どこで本筋を離れ過ぎてしまったか」に気付いたり、「せっかくのアイデアを殺さず綺麗ににまとめる方法」を考える場合とか。

数学の図形問題と違って音楽には「たった一つの正解」はありません。

「このコードはこう解決した方が落ち着く」なんて言うのは、シャツの裾をズボンに入れるかどうかと同じような話で、若者のカジュアルであれば入れたらダサイと言われるけれど、ビジネスウェアなら当然入れるべきですし、TPO によっていかようにでも解釈が変わって来る、その程度の問題です。(一時期ですがパンツを見せるようにズボンを穿くのが流行った時期すらありました)

音楽においても、リスナーの意表を突いて自分の個性を主張するためであれば、楽典や定石なんかは無視したって構わないのですから、ぽぽんたさんほどの力がある人であれば、肩の力を抜いて寝っ転がってヘソでも掻きながら読んで見るくらいで充分だと思いますよ。(^-^)
_

by もっふん (2017-06-12 02:59) 

もっふん

★Xm7-5 について★

別記事へのコメントでも書いた事ですが、CメジャースケールとAナチュラルマイナースケール(この二つは事実上同じものと扱って問題ありません)の場合、ダイアトニックに現れる「Xm7-5」は Bm7-5 だけです。(但し、長調における Bm7-5 の機能がドミナントであるのに対して短調ではサブドミナントである事には注意する必要があります)

元々 E7 をドミナント 7th として用いる事を主眼に編み出された Aハーモニックマイナースケール上においてはⅡが Bm7-5 である事は勿論、 VII が G#dim に、Ⅲが Cmaj7+5(音型としては maj7th を省略して Caug にするか E(♭13) となる事が多いでしょう)がダイアトニックになります。

更に全体が上行している事が前提となりますが(まあ、していなくても良いんですが)、Aメロディックマイナースケールであれば、Bm7、D7、E7、F#m7-5、G#m7-5あたりがダイアトニックとして普通に使われます。

一方、スケールの問題とはまた別に、長調楽曲において相対位置が同じ同主短調コードを一時的に借用する、と言う事も頻繁に行われていて、Cm7 に始まって Dm7-5、E♭maj7、Fm7、Gm7、A♭maj7、B♭7などを経過的に使ったり、これをきっかけに転調したりする事もあります。

また、ダイアトニックのコードにⅡm7-Vでアプローチする時や、セカンダリードミナントで繋げる場合も、多くの場合見慣れないノンダイアトニックコードを使うケースが多々あります。

一聴して難しそうなコード進行でも、キーを C や Am に書き直してみると、ノンダイアトニックに見えるコードや特殊な「Xm7-5」は上記の範疇に収まっている場合が多く、調性の変化を嫌う場合には 7th の音をさらに半音下げて dim コードにしてその場はしのいだりもします。

「Xm7-5」に限らず、楽典的に妥当性が認められている範囲ですらこれだけのバリエーションが存在するので、これらを使いこなす事が出来るだけでもプロ、とまでは行かないまでも「その辺のアマチュア」は卒業出来るのではないでしょうか。

正直なところ、今回の間奏の「B♭maj7」には少し驚きましたが。
_
by もっふん (2017-06-12 05:21) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは!

毎回詳しい説明をありがとうございます(^^)
話題から少し逸れるかも知れないのですが、私がピアノに向かっている時に積極的に
やっている練習がありまして、それは200曲ほど、レンジとしては1960年代から2000年代
までの、鼻歌くらいは歌える程度には知っている曲のカラオケをウォークマンに詰め込んで、
それをシャッフルで再生して自分の演奏を乗せる、と言ったものなんです。
シャッフル再生ですから、次にどの曲が出てくるかわからないってところがミソで、
今はまだまだですが、練習を重ねれば実践的にも知識的にも引き出しが増える事は
きっと間違いない…と思ってほぼ毎日やっています。
楽譜で弾くのが苦手だからそういう練習に走っているとも言えるのですが、
そんなこんなで多くのコードとコード進行に接している、とは言えると思います。
きっと、私が経験してきたコード進行を理論的に説明できるならば、もっふんさんが
説明して下さっているような内容になるのかも、と(^^)

わりと面白いと思えるのが2000年頃のヒット曲で、この頃はかなり無茶なコード進行や
転調がこれでもかと多用されている時代なんですね。
その中でも気に入っているのがShelaの「Love Again」で、何度も転調したあげく
最後はsus4でもやもやと終わっていくんです。
そんな曲まで弾いていると、結局何でもアリじゃん、とか思ってしまいます。
でもだらしなくならないためには法則などは知っておく必要があるんだな、
なんて事も自然と学んできた気がします。

何だかお返事になっていませんが、そんな私にもっふんさんのように説明して下さる
人は貴重な存在です。
一度、ピアノを前に色々と談義してみたいですね(^^)

by ぽぽんた (2017-06-12 23:27) 

widol

ぽぽんたさん、こんばんは。

ようやく優雅について書けます。
優雅の名前は知っていて、CBS・ソニーのアイドルコンピなどには必ず水沢アキさんなどともに入っていて、「処女航海」「異国の風」は一度くらいは聞いたことがあったのですが、ほとんど記憶にない状態でした。
「歌謡ディスコナイト」というCDにはこの「胸騒ぎ」が入っているので、シングル3枚の音源は全て持っていました。

ぽぽんたさんの記事を見て、他の曲も聴いてみたいと思って、「筒美京平を歌う アンド・モア」を聴く機会をようやく持てました。

なるほどシングル3枚はなかなか面白い曲で聴き込んで行くとくせになる感じですね。
で、リメイクというかカバーの方ですが、とてもいいですね。特に「私は忘れない」と「ブルーライト・ヨコハマ」はすごくいいですね。驚きました。太田裕美さんの「私は忘れない」は個人的にはイマイチのアレンジだと思っていたので、こちらは素晴らしい。岡崎友紀さんのオリジナルよりもいいのではないか、と思ってしまいました。優雅がのびのびと歌っているのも好感が持てます。

シングル3枚、アルバム2枚で台湾に帰ってしまったのはもったいなかったですね。
by widol (2017-06-20 22:49) 

ぽぽんた

widol1さん、こんばんは!

う~ん、思ったよりも優雅さんの知名度って低かったんですね。
逆になぜ私は憶えていたんだろう(と言っても「処女航海」だけでしたが)と
不思議に思ってしまいました(^^;)
今だと「筒美京平が目を掛けてる!」などと情報が広がってそれなりに売れる
のでしょうが、当時は作曲家の知名度で音楽が売れる時代ではなかったんですよね。

優雅さんが歌う筒美氏のカバー曲を聴いていると、筒美氏が「実はこんな
サウンドにしてみたかった」と自由にアレンジしていると感じられて
面白いんですね。
優雅さんの声質もかなり特殊ですし、平山みきさんのように作家に食いついて
いくようなタイプだともっと名曲が生まれたのでしょうが…
仕方ないのですが、残念ですね。

by ぽぽんた (2017-06-22 23:32) 

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