So-net無料ブログ作成
検索選択

西暦2000年と転調(随想)

ずっと以前にこのブログで転調と移調のお話をした事があります。
転調とは曲の途中で調が変わる事、
例えばAメロがC(ハ長調)でBメロになるとF(ヘ長調)に、
歌部分はA(イ長調)なのに間奏で突然F#m(嬰ヘ短調)に…と言った具合で、
聴く側はそのたびに風景が変わるような、場面が転回するような感覚を覚えますし、
作る側もそれが目的である事がほとんどです。

転調にも色々なパターンがあり、ある程度流行もあるようです。
歌謡曲の場合、70年代~80年代だと1曲の中での転調は全くないか、
あってもAmからAに…などと非常にわかりやすいものが多かったのですが、
90年代に入り、小室哲哉さんの音楽がブームになると、
小室さんの音楽では珍しくなかった突然の大転調
(従来に見られなかったパターンの転調、と言う意味です)に影響されてか、
他の歌手・グループも転調が入る曲ばかりになっていった感があります。

私は個人的に、音楽界が活況を呈した最後の年が西暦2000年と思っていて、
その年に発売された曲は今も大好きなものが多くあります。

・Secret of my heart(倉木麻衣) ・愛情(小柳ゆき)
・ハッピー・サマー・ウェディング(モーニング娘。)
・SEASONS(浜崎あゆみ) ・ミュージック・アワー(ポルノ・グラフィティ)
・ボーイフレンド(aiko) ・ナンダカンダ(藤井隆)
・Wait & See~リスク~(宇多田ヒカル) ・さよなら大好きな人(花*花)
・月光(鬼束ちひろ) ・今夜月の見える丘に(B'z)
・TSUNAMI(サザンオールスターズ) ・LOVE2000(hitomi)
・夏の王様(Kinki Kids) ・忘却の空(SADS)

…等々、現在よりも遥かに音楽的にもサウンド的にもバラエティが豊かで、
心に残る曲が多く発売された年でした。

そしてその多くが、曲中で容赦なく転調しているんですよね(^^)

「ハッピー・サマー・ウェディング」はD(ニ長調)とF(ヘ長調)を
行き来している程度でまだ穏やかですが、
「Secret of my heart」はB♭(変ロ長調)で始まってサビで同じキーの短調である
B♭m(変ロ短調)になり、2コーラス目が終わってB(ロ長調)→A(イ長調)
→Am(イ短調)と来て、最後に半音上がって最初のサビと同じB♭mに…と
目まぐるしく変わります。

しかしそれはただのこけおどしではなく、例えばBに変わる部分では何か晴れやかな
気分を感じるなど、シーンの切り替え効果が明らかにあるんですね。

意外なのは「Wait & See~リスク~」で、宇多田ヒカルさんの楽曲は
親しみやすいわりには音楽的に難解に思えるものが多い中、
この曲は最後近くで半音上がる転調があるだけで、それまではずっと同じ調、
それもFm→E♭→D♭M7→C7 をひたすら繰り返しているだけと言ったパターンであり、
半音転調後もその循環は変わらないんです。
ただそれに乗っている歌の節回しが独特だったり(特にE♭の時のメロディーは特異です)、
自身によるコーラスワークが色彩感や立体感を豊かにしていることで、
単純な曲には感じられない仕上がりになっているんですね。


そんな2000年の楽曲の中でも、私が今も「何だこりゃ」と思いながらも
大好きな曲の一つが「LOVE AGAIN~永遠の世界~」(Shela)です。
Love Again.jpg
ハッキリ言って歌詞は好きでないのですが、
こんなにコロコロ転調し、sus4やディミニッシュを使い放題と言ったコード進行なのに、
それに乗るメロディーが美しく、スムーズなんですね。

ただ長年、1箇所だけ大きな「?」があるんです。
2コーラス目が終わり最後のサビに行くまでの間に6小節ほどのブリッジ
(つなぎのメロディー)が入ります。
そこはコードがGM7。 ストリングスがそのM7であるF#音を白玉で引っ張っているのですが、
そこに乗る歌メロはその半音上のG音で始まるんです。
その二つの音の関係は、完璧なまでの不協和音。
普通はF#m音で始まるメロディーにするか、ストリングスの方をG音の白玉にします
(セオリー通りにするならB音かD音の白玉、かな)。
何か特殊効果か?とも思ったのですが、私には今でもその効果は理解できないでいます。
歌う方も音を取りにくいのではないかな。

この曲は今もミュージックビデオがYouTubeにアップされていますし、
私も7年ほど前に「オリカラでピアノ」で演奏させて頂いたので、
良かったら確かめてみて下さい:
https://www.youtube.com/watch?v=DKmT4Wv4Mb0

因みにこの曲はAメロはB♭m(変ロ短調)、BメロはE♭m(変ホ短調)、サビはF#m(嬰ヘ短調)、
ブリッジはBm(ロ短調)と次々に転調し、
最後の最後はsus4(F#sus4)で終わる、非常に変則的なものとなっています。

こんなに転調ばかりだと、もし急に移調(キーを変える)が必要になった時には、
オケの演奏者が混乱するのは必至ですね(^^ゞ
でもパズルみたいで面白かったりして。

****************************************

…今回は久しぶりに随想(っぽいもの)を書かせて頂きました。
読んで下さってありがとうございます。

次回は元通り、「あの頃の」ヒット曲の解説をさせて頂きます。
ぜひ、またおいで下さい(^^)/

追加付録「初冬」by Poponta


nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 8

青大将

こんばんは。(^^)

今、NHKニュースでSONYが29年ぶりにレコードの生産を再開したという朗報がありました。
何だか嬉しくて記事に関係なくコメント打ってみました。

それと、和田アキ子が50周年記念のベストアルバムを秋にリリースするニュースも今朝、ラジオで聴きました。デビューからの全シングル曲の中からファン投票によるベスト10位を収録する様で、今日から開設された”AKO投票”(AKKOではなく、AKOとなってました)で受け付けており、実は俺も先ほど投票して来ました。(^^)

一人3曲迄OKなので、「見えない世界」「美しき誤解」「あなたにありがとう」を入れさせて貰いました。マイナーなので、ベストアルバムに反映されるとは思いませんが、こういう曲を投票する和田ソングを愛聴して来た輩も居るんだという見せ付けに。(^^;

そう言えば、YouTubeに現在「晴れのち曇り」の夜ヒット動画が上がってますね、当時の記憶が無いに等しいので保存してしまいました。 しかし、衣装がピンクのパンタロン・スーツ・・・・(^^;

では、また(^o^)/
by 青大将 (2017-06-29 19:47) 

ぽぽんた

青大将さん、こんばんは!

私もレコード生産のニュースは昼にネットで見ました。
自分たちとは多分感覚は違うと思うのですが、レコードに興味を持って実際に
購入して楽しむ人が増えるのは、実に嬉しい事です。
今の主流はネット配信と言う実体のないものですから、物として所有できる形の
音楽が再び渇望されている、と言う事かも知れませんね。

和田アキ子さんのベストアルバムのニュースは知りませんでした。
ありがとうございます!
私なら…そうですねぇ、好きな曲が多いので困るのですが…やはり何度聴いたかわからない
「天使になれない」、発売されてすぐに欲しかったのになかなか買ってもらえなかった
思い出のある「卒業させてよ」、そして…「晴れのち曇り」です(^^)

実は、本当に偶然なのですが、私はその「晴れのち曇り」に最近改めて
ハマってしまってたんですよ。 ブログの記事にしようかとも考えているほどです。
それほど、聴きどころの多い曲です。
私はCDで聴いているのですが、青大将さんにもぜひ聴いてほしい!
♪晴れのち曇りの 男の心さ♪の部分のドラムスなど凄いですよ。
うん、やはり近いうちに書きます!

by ぽぽんた (2017-06-29 22:47) 

もっふん

家庭内の雑事に追われてご無沙汰しています(^o^;

今回の記事は語り始めたらナンボでも行けるテーマなので、長文を書くスタミナが無い時状態では書きたい事が多過ぎてコメント出来ずにいましたが、このままだと過去記事へと流れて行ってしまうので、余り掘り下げずにメモ程度の内容を書き垂らしておきますね。


★小室哲哉に始まる転調時代の背景★

音楽的に爛熟と言って良い70~80年代を経た事で、ある意味「考えられることは全部試してしまった」ような状況がありました。ちょっと良さそうな曲を書いてもリスナーには「どこかで聴いたような曲だな」と受け止められてしまい、ヒットに繋がるだけのインパクトを持たせることが難しくなって来た一方で、実際に過去のそういう楽曲を発見されて「二番煎じ」と言われてしまう危険性もあると言う、制作サイドにとっては非常に厳しい時代であったわけです。

(※70年代に遡りますが、名前が知られ始めた頃のオフコースの楽曲のメロディラインは当時の感覚では非常に難解なものであり、「絶対にパクりと言われないもの」を作ろうとした結果そうなったのではないか、と既に仲間内では噂していました)

娯楽全般が多様化する中で音楽も例に漏れず、それまで成立していた「国民的流行歌」も少なくなって行きました。

ぶっちゃけ、小室氏がやった事は「聴いた人ををびっくりさせる事で売る」と言う音楽で、いろいろな種類の刺激が蔓延して「飽食」と言われた時代に人々が求めていたものが「新しい刺激」であると見抜いて、それを次から次へと提示してみせたのだと捉えています。

別記事へのコメントでも触れましたが、この時期と言うのはカラオケの普及とも重なっており、歌いこなせるとカッコイイ難しい曲に対するニーズもありましたし、一般人の歌唱力が物凄い勢いで底上げされた事により、「プロがプロであるためにはより難しい楽曲をこなさなければならない」と言う風潮もありました。

「流行歌」が八百屋のおばちゃんでも口ずさめるような物であった時代に、ここで明確に区切りが付けられたと言っても良いでしょう。

小室哲哉の正統後継と言っても良い(と言うか二番煎じと言われていた部分もありますが・笑)のが access のキーボーディストであった浅倉大介氏で、偏見に基づいて独断を下せば(笑)、T.M.Revolution(西川貴教)の楽曲で存分に転調を駆使した事で、歌謡界が「TK でなくても転調アタリマエ」となる事を決定づけたように思います。

★驚かせない転調★

これも別記事でコメントしましたが、たとえば尾崎亜美が作った「オリビアを聴きながら」(杏里)や荒井由実の作品などで、「ん?何か雰囲気変わったけど、どこで転調したんだ?」と言う楽曲は古くからありました。

「ファンタジー」(岩崎宏美)のように1コーラス進むごとに半音上がって行く、と言うのも「それまで歌いこなせる歌手がいなかった」と言うだけの話でしょうが余り実例が無いケースかも知れません。伴奏者泣かせの曲ではあると思います。

ただ、そうした転調を含む曲はあくまで「みんなに覚えて口ずさんで貰える」路線を外れる事が無かった点で、上の「びっくりさせる転調」とは一線を画しています。オフコースの「Yes-No」('80)はイントロが終わって歌に入るところで半音上がっており少なからず驚きはしますが、「歌う事を難しく」と言う意図は感じられません(※ユーミンの「チャイニーズスープ」('75)はリスナーに歌わせる気が余り感じられないメロディですが、アルバムの中の一曲に過ぎずシングル化もされていません)

(※当時「びっくりする」ものと言えば、近田春夫とハルヲフォンの楽曲の中には途中で半音下げてわざと「盛り下げる」ものがあり、ラジオの前で思わずずっこけた覚えがあります)

★連続する転調★

これは意図的にそういう「歌」を作っている場合も多いのですが、特に間奏やブリッジ部分で曲想を変えるために仕掛けた転調を元のキーに戻すために仕方無く、と言う場合も結構あると思います。

私が学生時代に組んでいたバンドで、1コーラス終わってギターソロに入る時に一全音上げるアレンジをした事がありますが、そのまま2番を歌う事になるとボーカルがしんどいので(笑)、かと言って途中で一全音下げるとそこで「盛り下がる」感じがしてしまいますから、エラい遠回りの連続転調をして元のキーに戻しました。

倉木麻衣さんの楽曲はたぶんそういう事情に近いと思います。

★不協和音かテンションか★

自分のバンドと別に先輩命令でオフコースのコピーバンドを手伝っていた事もあり、たびたびで恐縮ですが、参考事例として '75 の「ワインの匂い」をば。

 http://www.dailymotion.com/video/x36y8se

間奏のハミングコーラスでモロに maj7 の半音をぶつかりあっています(これも初めて聴いた時は少しのけぞりました・笑)。

「起立、礼、着席!」(C-G-C)が「安定>緊張>解消して安定」と言う「もっともシンプルな音楽」である、と言う説明は音楽の入門書で頻繁に使われますが、音楽が進化して来るとドミナント7th 程度では「緊張感が足りない」と言う事態が生じます。

実際、ロックンロールなどは最初から最後までトニックもサブドミナントも 7th で演奏されたり、短調のロックでドミナントコード(E7)でブレイクする時に最後に一発 E7 に minor3rd の音(♮G)を足して緊張感マシマシにする手法も古くからありました。ブルーノートも「そのままでは落ち着かない音」と言えます。

英単語としての「テンション」の日本語訳は「緊張」です。

さきほどの転調と同様に、より強い緊張を持ち出す事でその後の安定感を強めたり、逆に、次のパートに少しテンションが残っているにも関わらず取り敢えず落ち着いたように錯覚させたり、「緊張と緩和の反復」は今も変わらず音楽の基本要素であり、求められる「緊張度合い」が高まって来るにつれて、従来は「不協和音」とされたものが普通に使われるようになったのだと思います。

手元の楽典によれば、今でも「禁則」とされているのはローインターバルリミットと増8度音程くらいのものですが、それらについてさえ「特定の効果を狙う場合に敢えて用いる事は排除しない」との注記があります。

ぽぽんたさんも数年前に「としごろ」(山口百恵)を最初に記事にされた時は、サビのストリングスのフレーズを「メロディを無視して自分の世界に行ってしまっている」と言う趣旨の疑問を呈されていたと思いますが、先日の記事では二つのメロディの絡みを「味わい深いもの」として論評されています。

音楽も進化を続けていますし、そうした音楽を聴き込むことでリスナーの耳もまた進化(と一概に言えるかどうかは分かりませんが)して行くので、「昨日の非常識が今日の常識」と言う事は今後もどんどん起こって来るでしょう。

★蛇足・「Wait & See~リスク~」★

この楽曲は、確かにコード進行を持ってはいるのですが、非常にファンク的なイメージを強く持ちました。典型的にはヒップホップ・ミュージックで顕著なように、コード名を特定する事が難しいベースリフやリズムパターンが延々と繰り返される中で「ソング」だけがあれこれと展開して行く、そんなサウンドを狙ったのではないかと愚考します。

★と言うわけで★

たぶん私には、記事で例示された個々の楽曲でコード進行を解析して、「ここはこのコードをきっかけにドミナントモーションを利用して云々・・・」と言う論評が期待されたのかと思いますが、残念ながらそこまでのスタミナはありませんでした。

深く突っ込まないようにしたのにこの文章量と言う所から皆様にもご賢察頂きたく思います。

出来る事なら機会を改めて、更には全てを Key=C に直した楽譜を前にして、思う存分語り明かしたい気分ではあります。
_
by もっふん (2017-07-07 05:16) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

これまで以上に興味深く読ませて頂きました。 そして大いに勉強させて頂きました。
くやしいので異論をぶつけたいところなのに、どこも納得できてしまうので
それができず残念…
そんな中、私が特に「ん?!」と納得してしまったのが実は蛇足としている所、
「Wait & See~リスク」に関する記述で、それは私が曲を作る時に
一番意識する事でもあるんです。
極論すると、いかにコードを無視したようなメロディーが書けるか、
そのメロディーとコード(進行)を化学反応させられるか…と言う事なんです。
まだまだスキル不足で納得いくものはできていないのですが、ダラダラと
ピアノを適当に弾いている時に「なぜこのコードにこの音を乗せても不自然に聴こえないんだ?」
と思って実験に移ってしまう事が多々あって面白がっているんです。
そんな要素を少しだけ取り入れて作ったのが、何年か前にこのブログで発表した
「初冬」と言う曲でして(「初冬の散歩道」だったかな?自作なのに曖昧でお恥ずかしい)。

音楽の不思議さは、作ってみるとさらによくわかるものですね。
もっふんさんのコメントは知識だけでなく、創作意欲ももたらして下さいます。
ぜひキーボードを目の前に置いてあれこれ談義してみたいです(^^)
これからもよろしくお願いします!

(ここの記事の最後にその「初冬」を貼っておきます)

by ぽぽんた (2017-07-10 23:13) 

もっふん

「初冬」拝聴させて頂きました。

季節外れではありますが、本来「うら寂しい季節」がテーマであるにも関わらず Bメロに小春日和のようなパートを織り交ぜて来るあたりがぽぽんたさんのお人柄を表しているようで、なんだかほっと出来る予想外の読者プレゼントでしたね(^-^

印象に強く残るクロマティック進行に加えて、イントロが無くアウトロ相当部分も音の飛躍が多く、最初からインストゥルメンタルとして制作されたものと感じましたが、それで良いのでしょうか。

さて。

「未来 / 岩崎宏美」の記事へのコメントでも少し触れましたが、

http://orikarapoponta.blog.so-net.ne.jp/2010-06-09

「(筒美京平氏のような)超天才は理屈と関係なく音の塊が脳内に降臨する」もので、メロディとコードはおろか、おおまかな構成楽器まで含めた、それが「一つのアイデア」なのではないかと思うのですが(この場合、コードとメロディの整合性に悩む事も無いでしょう)、職業作曲家(この時点で既に天才と言って良い特別な存在であるわけですが)が全ての制作局面で「サウンドの塊の着想」を享受できるか、また、「歌い手ありき」で制作する時に「降って湧いたアイデア」をストレートに楽曲に反映できるかと考えると、必ずしもそうでは無い場合の方が多いのではないと思っています。

私のような凡人が作曲する場合、

1.とにかくリスナーの頭に残るのはメロディなので歌メロを最初に考える。
 「こんな感じのコードで」と言うのはあっても、それは目安でしかなく、後で考え直す。

2.カッコイイコード進行を思いついてしまって、その上で歌えるメロディを考える。
  歌えてしまうようならコードトーンと外れていようがぶつかっていようが構わない。

3.イントロやブリッジで使えるカッコイイギターリフやキメのフレーズを考えてそれを生かす。
 (元BOΦWYの布袋寅泰氏はこのパターンが多く、ぶっ飛んだ歌メロは余り作らない)

・・・みたいな感じで、特に「1.」のケースが多いですね。とりあえず最初に歌メロ。
何故なら、「歌詞が乗せられて」かつ、「人間が歌える」ものにしなければ意味が無いですから。

実際、楽典類の大部分も「最初に主旋律ありき」とした上で、どのような考え方でハーモナイゼーション(対位法とかクリシェとか)出来るかと言う理論に最も多くの紙面を費やしています。コード進行理論においても、ジャズのように「とあるモチーフ」が存在した上でコード展開のバリエーションが語られるスタイルが基本で、その延長線上に転調であったりテンションノートやモードスケールを用いたアドリブ(メロディの作曲)がようやく出て来る感じです。

たとえばの話、私が「未来」(岩崎宏美)のメロディを思いついたとして、その時の伴奏は

 (Am)あー私の(Am)未来はあな(Dm)たとおな(E7)じ

と言うスリーコードから始まったかも知れません。ここからどこまで工夫出来るかが勝負と言う事です。「私の♪」でコードを変えたくなるとは思いますが、D7 は発想出来ないでしょうねえ。

歌メロが先にある場合のコードアレンジの実例をあげてみましょう。

 (C)ジングルベル(C)ジングルベル(C)鈴が鳴(C)る ・・・(F)今日は~

「初冬」以上に季節外れである事はさておき(笑

便宜上 2/4 拍子で解釈するとして、幼稚園のクリスマス会で先生が冒頭をオルガンで伴奏するなら C の1コードで充分です。市販の伴奏譜面では、続くコードが F ですから最後を C7 に落とし込むために

 C|C|C(7)|C7 やら、 C|C|Cmaj7|C7 と言う進行もポピュラーです。

でも、C7 に持って行くだけが目的なら

 C|Caug|C6|C7

なんて逆からアプローチするのも「一つのアレンジ」として成立するでしょう。

直後の「今日は~♪」を F と見ないで Dm7 としても問題ありませんから

 C|Em|Am|A7 > Dm7

Em の B音からストリングスが半音上行したりするとカッコ良さそうですが、そろそろコードとメロディの関係が危なくなって来ました(^o^;

いっそ、長調である事を捨てて、ヘヴィメタ調のマイナーコードで伴奏してみますか。

 Am|G(6)|F(maj9)|E7 ・・・

もちろんバックは誰もカッコ内のテンションなんか弾かない。いやー、ロックですねー(笑

ここまでは主旋律がペダルに使えるミやソが中心だったので何でもアリですが、こうなると、その後も、

 (F)今日はた(Fm)のしいク(A♭7)リスマス(G)の日

クリシェを利用してコード展開を加速して行くなら(もはや余り考えていない・ばき)

 F/A>Fm/A♭|Em/G>E♭7|D7>E♭m7※|A♭7>G

 ※E♭m7 のところは D♭dim(B♭dim)の方がベースライン的にもいろいろとラクなんですが
  dim コードは「困った時にいつでも使える万能薬」なので敢えて避けました

「コードトーン?何、それ。美味しいの?」状態に持って行けます。これはこれで一つの世界・・・と、「私は」思いますが、「こんなの音楽的じゃないっ!」と言うご意見は謹んでお受け致します。(´・ω・`)

何がやりたかったかと言うと、「あるメロディが存在する時に与える事の出来るコード進行は無数に考え得る」、逆もまた真なりで「コード進行を決めても、そこに乗せられるメロディには相当の自由度がある」と言う事を言いたかったわけです。

漠然と「コード進行」と言っていますが、実際には主旋律以外を担当している楽器のメロディの和がコードとも言えるわけで(典型的にはベースラインですね)、主旋律と対旋律(カウンターメロディ)の関係が「緊張感も含めて良好」であれば、ぽぽんたさんの言われる「化学反応」に一歩近づく事になるのではないかと思います。

古典的にはメジャーコード、マイナーコード、ドミナントコードそれぞれに「定石」や「禁則」とされるテンションがあり、その許す所と経過音の範囲内であれば概ねメロディはハマります。特にドミナントコードは不安定さが持ち味のコードなので、セカンダリードミナントも含めてほぼ「何でもアリ」に近いです。

一方で、ありふれたコード進行の中に「敢えて転調してる感じ」や「スケールアウトしてる感じ」を与えるためのメロディを織り込んでいくにはモード奏法の考え方が便利・・・らしいのですが、これについては私自身の勉強が足りないので、何かを語れるレベルにありません。

基本的には「素直なメロディなのにコードが変」か「素直なコード進行なのにメロディが変」から考えるべきで、「コードもメロディも変」と言うのは扱いが難しいと考えますが、水谷公生氏が著書「ロックスタディ」の中で述べられているように、「誰が何と言おうが、実際に聴いてカッコ良ければそれが正しい」と言うあたりが音楽の奥の深さかも知れませんね。

私は音楽脳が貧弱である事を悔しく思っていましたが、この歳になると「まだまだこれから修得すべき事がたくさんある」と言うのは、逆に幸せな事だと最近になって思っています。

ぽぽんたさんの記事や皆さんのコメントから頂いている刺激に大変感謝しております。
m(_ _)m
_
by もっふん (2017-07-16 20:09) 

ぽぽんた

もっふんさん、こんばんは! お返事が遅くなり申し訳ありません。

「初冬」を丁寧に聴いて下さってありがとうございます。 仰る通り、この曲は
歌詞を乗せる事は全く考えず、BGVに使われる音楽のようなインストを、と思って
作ったものです。
具体的には、ピアノで音をあれこれ探していた時にCm→Ddimの進行がとても気に入って、
それをテーマに広げていったんです。
その響きがちょっとヨーロッパの曇り空っぽい…などとふと思って、あとは思いつくまま
積み重ねた感じでした。
なので、もっふんさんが作曲のパターンとしている3つの中では、2番目に近いと思います。

私は以前にもお知らせしたかと思いますが、歌ものを作曲する時はまず歌う人を想定します。
するとメロディーがスルスルと出てくるので、それを捕まえて楽譜にメモします。
しかしいつも悩むのが、頭の中のメロディーと、それを忠実にメモしたはずの楽譜を
実際に演奏してみるものとでは、大抵大きな差異を生じるんですね。
その差異が生じなくなれば、いつでもどこでも思った通りの曲が書けるのですが…。
でもその差異がマイナス方向とは限らないのが面白いんですよね。

コード進行って、長年キーボードやギターなどをやっていると良く言えば体が覚える、
悪く言えば手癖のように身に着いてしまう事が多々あると思うんですね。
だから定番のコード進行から少し外れた進行にぶち当たると「これは面白い!」と
つい夢中になってしまう事、ありませんか?
きっとそういう事を繰り返して引き出しが増えていくのだと思うのですが、
私にとって「え?」と思わせてくれる存在が、今でもビートルズだったりします。
ビートルズについては私は全然詳しくないし、正直あまり好きでもないのですが、
ふと耳にして「え?」と思ったのが実はビートルズだった事が何度もありまして。
確かにビートルズってポピュラー音楽のバイブルなんだな、と思います。

前回私が「化学反応」と表現した事については興味深い事が一つあって、
それは例えばピアノだけで弾いている時は「いいじゃん」と思っていても、
オケを作ってメロディーを乗せると「なんか冴えない…」って事がよく起きる事なんです。
きっとオケを作る時に、楽器別に担当させる音の組み合わせがうまくいってない時に
そんな事が起きるのかな、と思っているのですが、
メロディーに力があればそんな事は起きない!という気もしていて、
本当にあれこれ、奥が深いです(^^♪

全く関係ないのですが、今思ってる事…


バンドやりてぇ~~!!


私ももっふんさんや皆さんから創作意欲、行動意欲をいつも起こさせて頂ける事を、
心から感謝しています。

by ぽぽんた (2017-07-18 23:17) 

もっふん

★Cm→Ddim★

Am→Bdim(シレファソ#)と言うのは Am→E7(シレミソ#)の変形ですね。

ドミナントコードのキモは 3rd と 7th の作るトライトーン(増四度)ですから、ソ#レを含む Bdim は E7 の雰囲気プンプンなのにファ(E ベースでは上手く使う事が難しい♭9)が使えたり、本来期待されるルートであるミを省けたりして、なかなか面白い展開になります。

dim コードはどれもそうですが一音間を飛ばすと全て増四度音程になっていて、逆に言うと4つのドミナントコードの代理として使えます。Bdim であれば、E7 の他に A#7(E7 の裏コード)、G7、C#7(G7 の裏コード)の性格を持っているので、ルートが「ラ→シ」と来たら割と綺麗に「ド(Cmaj7)」に上行出来たりします。

実際には「そこにあるだけでも緊張する類のコード」なので、ドミナントモーションを使わずに別のコードに展開しても充分に落ち着いて収まってくれ、「経過和音に迷ったら dim」みたいな側面もあるかと思います(笑

一般的に Am→E7 の進行はベース半音下行クリシェとして使われる事が多く、例えば「ポーラースター」(八神純子)や「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)などもそうですが、このクリシェにはちゃんと理由があって、歌としては「盛り上げの観点から歌い出しのメロディを上行させたい」場合の方が多いので、ベースは対位法的に下げるラインが選ばれる傾向にあるのです。

これが同じ半音違いでも Am→Bm7-5(シレファラ)となると滅多に使われない、と言うか私の記憶にはそういう楽曲がありません。(Dm on B 的に使われてると聴き流してしまっている可能性が大きいですが)

そこを敢えて「Ⅰm>Ⅱ〇」と上行させるのは、まさにぽぽんたさんの書かれた「定番のコード進行から少し外れた進行」であり、この進行にこだわって遊んでみたくなったお気持ちが良く分かります。

★こんなはずじゃなかった★

「メロディメーカーあるある」ですね(笑

私の場合、良くある原因は大抵二つです。

一つは想定している歌手の「声質や表現力」をオケの仮メロで表現できずに平板になったり、逆にピアノのように正弦波に近い純度の高い楽音の編成なら美しい溶け合ったサウンドなのに、そこにエレキギターやブラスなど倍音の多い楽器を組み込むことで透明感が失われてなんだか粗野でうるさい仕上がりになったり。

これは「声も楽器」と言う事を意識していないと良くハマります。
ピアノはシャウトしてくれませんし、サックスはお色気過剰になりがちです。

もう一つは、メロディを考えている時に脳内で伴奏されていたサウンドやコードを、いざアレンジの段階になると再現できないケース。「こんなに単調だったかなあ」「こんなに露骨なコード展開じゃ下品だなあ」なんて事も良くあります。

★ビートルズ★

たまたまですが、学生時代に入り浸っていた渋谷の喫茶店が一日中ビートルズだけを流していました。

個人的には「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」あたりからは当時の私の音楽センスでは理解不能な世界に行ってしまったので、ごくごく初期の頃の楽曲が好きで、これはふとした弾みに口ずさんだりしてしまう事もあります。

あんまり好きでなくても、音楽的に得られるものは満載ですし、ついでにジョンレノンの歌詞が格調高く韻を踏んでいたり英語としても聴き取り易いので、英会話のレッスンになると言うオマケ付き(笑)。つか、自作の楽曲に英語のフレーズを混ぜる時に結構役立つのではないでしょうか(こっちはマジ)。

「A Hard Day's Night」の 7sus4 一発のイントロ。
「Yesterday」、何の変哲も無い F から始まってると思いきや、omit 3rd でメジャーでもマイナーでも無い調性感を混乱させるギミック。

当時はそれが「新しくてカッコ良い」と感じた事が昨日の事のようです(遠い目

★メロディーに力があれば★

これは数多くのカバー曲や同一曲のアレンジ違いをたくさん聴いておられるぽぽんたさんには原因が薄々お分かりなのではないでしょうか。歌手が変わると、アレンジが、ミックスが変わるだけでも、曲の印象はガラリと変わってしまいます。

「制作を始めるに当たって、まず歌手ありき」で作られて来たメロディを、その歌手抜きで成立させるためには「元々あったアイデア」を捨てなければならない局面もあるでしょう。

★バンドやりてえ★

(´・ω・`) 呼んだ?(ぉぃ


このブログの読者で集まってジャムセッションとか出来たら面白いですねえ。
そのまま「半・パーマネント」なバンドに発展するかも知れませんし。

私もちょっとそんな夢を見てしまいます。(^-^

_
by もっふん (2017-07-21 05:44) 

もっふん

訂正(^^;

>「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)

確認したら普通にルート弾いてましたね。これからは気を付けますm(_ _)m
_
by もっふん (2017-07-21 22:02) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

メッセージを送る