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夕焼け / 太田裕美

「木綿のハンカチーフ」の大ヒットはこの頃は誰も予想できなかったですよね:

夕焼け.jpg

チャートアクション

1975年8月に発売された、太田裕美さん3曲目のシングルです。
オリコンでは37位まで上昇、同100位内に14週で6.4万枚の売り上げとなっています。
成績としては前作「たんぽぽ」とほぼ同じで、ヒットとは言えない結果に終わりました。


作家について

作詞・松本隆氏、作曲・筒美京平氏、編曲・萩田光雄氏と、
太田裕美さんの初期における鉄壁と呼べるコンビの作品です。

当初は違うアレンジだったのですが、壮大なイメージに仕上がったその音を聴き、
渡辺プロの社長・渡辺晋氏が「これでは歌謡曲じゃないな」と再アレンジを命じ、
それがシングルとなったようです。

ゴールデンコンビの作家によるシングルであるのにキャッチーさが足りないのは、
渡辺晋氏の命令に従い、結果無難さに走ってしまったからなのかな、とも思えます。
どう聴いても大ヒットするサウンドとは思えませんし、常にチャート1位を目指し、
サウンドをプロデュースする筒美氏にとっては、アレンジの変更は
多分に不満だったのではないでしょうか。

しかし、シンプルにアレンジされたこのシングルのバージョンは、
サウンド志向に走らず、歌詞が持つ哀愁感が細やかに表現される雰囲気を作り出していて、
当時台頭してきていたニューミュージックの流れに乗ったものにも思えます。


B面は同コンビによる「水曜日の約束」。
こちらは太田裕美さんのデビュー曲「雨だれ」の流れをくむ楽曲で、
ピアノ中心のアレンジ、曲のキーや構成など、明らかに「雨だれ」の姉妹曲と言えます。
こちらもA面候補だったのでは?と思えるのですが、
「夕焼け」とのサウンドの違いを見ると路線に迷いがあったように感じられます。


楽理ノート

・曲全体の構成は2ハーフ。
・キーは B♭マイナー(変ロ短調)に始まり、サビでは同メジャー(変ロ長調)に転調。
 さらにハーフ部ではメジャーのまま半音上(ロ長調)に転調。
このような短調→長調のパターンは歌謡曲でもたびたび使われるもので、
「愛は傷つきやすく」(ヒデとロザンナ)、「ちいさな恋」(天地真理)などもそうですね。

・リズムはテンポが遅い16ビート。但しAメロではオケは8ビート。 
・コード進行はノーマルだが、特にAメロ ♪目に浮かぶ 夕焼け♪
 でのクリシェとコードの使い方はやや特殊で品の良さを感じさせる進行だが、
 キャッチーさにはあまり貢献していない。

記事の最後に私が採譜したスコアがあるので、参照して下さい(歌詞は1番のみ)。
そこで注目して頂きたいのがイントロのフレーズで、
譜面を見ると細かくて難しそうに見えるのですが、実際には一つ一つの音に
1オクターブ下で同じ音をくっつけてエコーのような効果を出しているだけです。
なので、ギターでは難しいかも知れませんが、鍵盤楽器で弾くのは意外に簡単です。
尚、レコードでのそのフレーズは電気ピアノとマリンバのユニゾンで演奏されています。


聴きどころ

1.前作までと違い、電気ピアノを使い全体をまとめている。
2.太田裕美さんの独特な歌い方。
3.短調で始まり長調で終わる進行。

まずは1。 電気ピアノ(フェンダーローズでしょう)の音は、金属片をハンマーで叩く
と言った構造上、使う音域と打鍵した時の強さによって音色が全く違ってきます。
イントロなど、メロディーを弾く時には高めの音域で強めに叩きピークのある音。
歌唱部でコードを流す演奏の時には穏やかに…が基本なのですが、
ローズは打鍵の強さに応じ一音一音に微妙な歪みが生じるため、特に中音域での
コード演奏では「ゴーン」と独特な音になり、それが生ピアノでは得られない味となります。
「夕焼け」でもそのような特質を生かした、情緒を感じさせる演奏が聴かれます。
さらにこの電気ピアノには中央付近で左右に揺れるトレモロ効果も加えられています。

2については「夕焼け」に限らず、太田裕美さんのどの曲にも感じられる事ですが、
この曲ではBメロ ♪泣いてはいけませんか ひ~とりで♪♪青いな~み はしゃいだ~手に♪
の「~」では音程を半音、あるいは全音下から上げて、上げ終わったところで
ビブラートをかけるテクニックが使われています。
歌唱力がないとそれはただの「ヘタ」にしか聞こえませんが、
太田裕美さんの歌唱はメロディーラインが安定しているために、
そのようなテクニックにより適度なお色気や健気さが表現できるんですね。

3はこの曲の特長でもあり、またヒットを逃した要因でもあるように思います。
「夕焼け」については、シングルにしてはまず、イントロが暗すぎるんですね。
短調で始まる事もそうですが、イントロにしては音数が少ない事が
この曲の場合はマイナスになったようです。
イントロのイメージは曲全体に波及する事が多いので、サビで長調にして明るい雰囲気にしても、
特にファンではない人に対してはあまりアピールしないように思います。
勿論全体を通し音楽的には高度で、太田裕美さんのファンには大いに受け入れられるはずですが、
新しいファンを得るのはインパクトが弱すぎたに違いありません。


楽器と定位

この曲では、完全に左に定位している音がないのがちょっと不思議(^^;)

左―中央: アコースティックギター

中央: ドラムス ベース 電気ピアノ マリンバ トライアングル 
    女性コーラス タンバリン

中央―右: エレキギター

右:トランペット(コルネット?)×2

ストリングスは左方向(Vn・Vla)~右方向(Vn・Vc)と広がって定位しています。


最後に…

「木綿のハンカチーフ」のインパクトがあまりに強く、その前作だった
「夕焼け」はファン以外にはあまり知られない曲になってしまいました。

以前にも書きましたが、私が太田裕美さんに強く関心を持ち始めたのが、
中2の冬休み直前(1975年暮れ)に友人が買い、すぐに貸してくれた2枚のLPレコード、
「ヒット全曲集」と「心が風邪をひいた日」でした。

その「ヒット全曲集」のA面1曲目が「夕焼け」だったので、
私が強い関心を持った状態で初めて聴いたのが「夕焼け」だった事になります。
そのレコードには「夏の扉」「回転木馬」「白い季節」「グレー&ブルー」など、
今聴き返しても「素晴らしい」と思える曲がぎっしりと入っていて、
それらの良さも「夕焼け」をより気に入った要因だったように思います。

上のCあたりから急にファルセットになる歌唱法は迫力には欠けるものの、
切なさの表現には最適であるようで、そんな声とストーリー性のある歌詞との組み合わせは、
当時の自分にはまさに「3分間のドラマ」のように聞こえたものでした。

私は童謡(と言えるかわかりませんが)の「ちいさい秋みつけた」の世界が大好きで、
「夕焼け」が持つ雰囲気とどことなく共通点がある気がするのも、
「夕焼け」がいつまで経っても好きである理由かも知れません(^^)


「夕焼け」
作詞 : 松本隆
作曲 : 筒美京平
編曲 : 萩田光雄
レコード会社 : CBSソニー
初発売 : 1975年8月1日

楽譜はこちらです(画像上をクリックしてください)。
フォントの関係でコード名のBとEが判別しにくい個所がありますがお許しをm(__)m
Yuyake.jpg

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好きですトリセツ

突然ですが、表題の通りです(^^)

トリセツ、即ち取扱説明書は電気製品に限らず様々な商品に添付されていますよね。
私は特にオーディオ製品、光学製品のそれが好きで好きで、
新しい製品を買う時の大きな楽しみの一つなんです。

デジタル製品が増えた昨今では残念ながら味のあるトリセツは少なくなりましたが、
かつてアナログオーディオ全盛だった頃のトリセツには、
「いや、それはカタログで十分知っていますから」と言ったような製品の特長まで
丁寧に解説してあるトリセツが少なくありませんでした。


また、ひょっとしてこんな事は私だけかも知れませんが、たとえば
トリセツの表紙あるいは1ページ目に「このたびは当社ステレオテープデッキ××○○を
お買い上げ頂き、まことにありがとうございました」などとあいさつが書かれていると、
「これを買って良かった!」と単純にうれしくなってしまったものでした。
さらにその〆(しめ)に「末永くご愛用下さい」とあると、
するする絶対大切にする!と、その製品がさらに愛おしくなったりして(*^_^*)
そんなところに、メーカーの製品に対する自信や愛情、良心まで感じてしまうんです。


と言うわけで、故障したり買い替えたりで製品自体が手元になくなっても、
私は自分が購入した製品のトリセツはほとんど保存しています。

そんな中で、今回はテープデッキにしぼってその一部をお目にかけたいと思います:
(この記事に使った画像はどれも画像上クリックで大きく見られます)
TD01.jpg

オープンリールデッキは、初心者にとってはテープをかける事も一苦労するものです。
そのあたりをどのメーカーも心得ていて、トリセツではどれも丁寧に解説されています。
その例として、まずTEAC(ティアック)のトリセツの一部をお目にかけますね。
機種名は A-2300(1970年発売)、A-6010(1968年発売)、A-2300SX(1976年発売)です:
TD02.jpg

もう一つの例です。
こちらはソニーで1972年に発売されてベストセラーになった機種 TC-6360A と、
同じ年にやはりベストセラーとなり、その後のカセットデッキのスタイルに
大きな影響を与えた TC-2200A の内容の一部です:
TD03.jpg

アナログのオーディオ機器は、多くのスイッチやつまみがあっても、
それぞれはどれも単機能、多くて2~3機能であり、単純明快です。

しかしデジタル機器は一つのボタンに多くの機能を持たせたり、
複数のボタンを同時に押す操作などもあって、
ある程度使い慣れてもしばらく使わないとよく忘れてしまったりしますよね。
そのためか、トリセツも操作の説明が複雑で、それだけに終始したような、
味気ないものが非常に多いと感じます。

中には、「これって明らかに間違いだよね」と思える説明があるのを、
私は何度か経験しています。

デジものはどれも、それ自体が多機能なので仕方ないと言えば仕方ないのですが、
私には近年になるほど、製品が「使い捨てられて当たり前」のようなオーラを
発しているような気がしてならないんです。
そしてその象徴が、そんなデジものに添付されたトリセツだと思うんですね。

だから、と言うと語弊がありそうですが、多くの人はトリセツって
大嫌いであまり読みたがりませんよね。

これからもデジタル主導で時代が進む事は間違いないと思います。
メーカーさんには、ここらで多機能・高機能ばかりに走ってきた歴史に小休止を打ち、
かつてのような、「長く使ってほしい」と言った人間っぽい温かさや
自信を感じさせる製品作りをしてくれるとうれしいし、
そんな製品にはきっと、何度も読みたくなるようなトリセツが作られるのでは、
などと思ってます(^^)

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白い貝がら / 桜田淳子

天邪鬼、ふたたび(^^):

白い貝がら.jpg

チャートアクション

1974年8月発売に発売された桜田淳子さんの7枚目のシングル「花占い」のB面曲です。
「花占い」はオリコン最高9位(同年9月9日付)、同100位内に14週ランクインし
12.3万枚の売り上げでした。


作家について

作詞はそれまで通りの阿久悠氏。

作曲は前々曲「三色すみれ」までと同じく中村泰士氏です。
中村泰士氏が次に桜田淳子さんに作品を提供したのは1978年12月の「冬色の街」で、
それが最後の提供曲となりました。

編曲は「花物語」「三色すみれ」そして「花占い」と同じくあかのたちお氏です。
同年9月に発売された麻丘めぐみさんの復帰作「悲しみのシーズン」もそうですが、
ストリングスを派手に使った、いかにも歌謡曲らしいアレンジが氏の特徴ですね。


使用楽器とその定位

B面曲にしておくにはもったいないような、多種の楽器を用いて夏らしい、
カラフルな音の重なりが楽しめます:

左: ストリングス(Vn、Vla) エレキギター カウベル

中央: ドラムス ベースギター リコーダー ハープ スチールギター

右: ストリングス(Vn、Vc) アコースティックギター グロッケンシュピール

さらに中央~右に電気ピアノが広がって聞こえます。

中央のスチールギターは効果音的に、南国の島にいるようなムードを作り出す事に用いられ、
左右のエレキギター、アコギはコードのカッティングで確固たる和音感を作り出しています。

ボーカルやストリングスなどにかけられた深めのリバーブは、
この時代のビクターサウンドの一部と言ってよいもので、
生演奏とは違うレコードならではの音と割り切り、聴き心地の良さを意識しているのでしょう。


楽理ノート

・全体の構成は2ハーフ。
・キーは Dメジャーで、他調への転調は無し。
・リズムはテンポが遅めの16ビート。
・コードの使い方は極めてノーマルで、特殊なコードの使用やコードチェンジは無し。


聴きどころ

1.伸びやかなボーカル。
2.多彩なストリングスの演奏。
3.絵日記のような歌詞。

まず1です。 デビューして1年半経ち、発声法が確立してきた時期と見られ、
腹式呼吸のしっかりした歌声になっています。
声量が豊かで、音程も確実に捉えているところは、同時期の山口百恵さんが
まだ及ばなかった部分ですね。

そして2。
あかのたちお氏のストリングスアレンジは、曲によってはやや出しゃばり過ぎて
ボーカルを邪魔しているように感じられる事もあるのですが、
この曲に関してはそのような印象は全く受けません。
それよりも、ストレートな弓使い、ピチカート、トレモロ奏法、アクセント奏法など、
バイオリンのほぼ全ての演奏法を総動員し、それも適奏適所と言った感じに使い分け、
聴き終わるとさわやかなイメージが耳に残る、プロを感じさせるアレンジです。

特にCメロ ♪あの人に 逢わせてと 白い貝がらに…♪ で聴かれる、
トレモロ奏法によるフレーズが左右から交錯するような演奏は、
穏やかな海がキラキラ光る様子をそのままサウンド化したようで(私はそう感じます)、
何とも映像的かつメルヘンチックです(^^)

3については聴く人によって感じ方が違うと思うのですが、
2コーラス目とハーフの終わり ♪白い貝がらを わすれずに 取り出して ききたいと思います♪
との言い回しは歌謡曲ではあまり見られない、学生らしさを意識したものであるように思えます。


最後に…

前回が山口百恵さんの「ひと夏の経験」だったので、次は同時期の「花占い」にしよう!
と思ったんですね。

俗っぽい「ひと夏の経験」に対し、文学的な肌触りを持つその曲は良い選曲と思ったのですが、
率直に言ってシングルA面曲としてはやや優等生過ぎ総合的に面白味に欠け、
ファン以外には受け入れられなかったようで、
オリコンでの登場週数や売り上げ枚数を見てもそれが表れています。

桜田淳子さんのシングルB面曲も、山口百恵さんのそれに負けず劣らず秀作が揃っていて、
特に1974年は「あなたのひとりごと」「気になるあいつ」「白い貝がら」そして「特別な気持」と、
どれをA面にしても当時なら確実にヒットしていただろうと思える曲ばかりです。

そしてそれらは楽曲そのものやアレンジ、音作りのどれにも「どうせB面だから」
と言ったような安易さが感じられず、
予算面を含め、当時は音源制作のための環境が高度に整っていた事が伺われます。

…ってなわけで今回は、あまり知られていない事を承知の上でB面曲にしました(^^)


「白い貝がら」はYouTubeにもアップされていないようなので、
一週間限定でここに貼りますね(1ハーフに編集してあります):



「白い貝がら」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 中村泰士
編曲 : あかのたちお
レコード会社 : ビクター (SV-1193)
初発売 : 1974年8月25日

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久しぶりのお詫びm(__)m

ぽぽんたです。

今日はコラムのような記事を用意しようと書いていたのですが、
書いているうちに今のオーディオとか音楽とかに不満が次々に出てきて、
何だか文句ばかりになってしまいました(^^;)

改めて読み返すとちょっと見苦しいものに思えたので、
今回はパスしますm(__)m

でもひとことだけ…かつての、日本のオーディオ界の勢いは
どこに行ってしまったんだろう。
こうなってしまった理由は自分なりに少しはわかるので、
華々しかった時代を知っている一人としては悔しいんですよね。

そのうち、冷静に書けるようになったら改めて書きますので、
その時にはぜひお読みください。


で、来週は通常の更新で書かせて頂きます。
またよろしくです(^^)/


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