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川の流れのように / 美空ひばり [序章]

今日は楽曲解説ではないのですが…

川の流れのように.jpg

今回、美空ひばりさんの「川の流れのように」について書こうとしていたのですが、
このタイミングで今夜、BS-TBSで美空ひばりさんの特集番組が放映されると知り、
もしかしたら「川の…」についても新しい情報が得られるかも…と思ってしまって(^^;)

なので今回は、楽曲解説にあたっての序章として、
美空ひばりさんについて少々書かせて頂こうと思います。
良かったらお付き合いを…。


私が物心ついた頃には、美空ひばりさんはすでにベテラン大歌手でした。
楽曲では「柔」「悲しい酒」の頃でしょうか。
「真赤な太陽」あたりだとテレビで観たような記憶もかすかにあります。

そして子供心に「こわそうなおばさん」とも思っていました。
当時30歳にもなっていなかったひばりさんに対して「おばさん」では悪い気がしますが、
画面から伝わる威圧感はものすごく、また着物姿が普通だったので、
実年齢をいくつも超えているように見えていたのだろうと思います。

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日本の音楽界にも「天才」と呼ばれる人が多く存在します。
そんな中、私がこれまでの人生で明らかに「天才だ」と思った人は、
松任谷(荒井)由実さん、宇多田ヒカルさん、筒美京平さん、そして美空ひばりさん
の4人です。

言うまでもなく、松任谷由実さんと宇多田ヒカルさんはソングライターとして、
筒美京平さんは作・編曲家そしてプロデューサーとして、
そして美空ひばりさんは歌手として、です。

その人達に共通しているのは、技巧的なものから一歩も十歩も進んで
聴く人の心を揺さぶる事ができる、その力だと思うんです。
技術はその力を発揮するための手段、過程に過ぎないんですね。


美空ひばりさんの逝去後、テレビで過去の映像が多く流されてきましたが、
そのどれを観ても歌唱があまりに完璧で、
聴き終わるたびに畏敬の念を持ったものです。

作品の古今東西を問わず、歌が入っている音楽を聴く時に
私はどうしても音程、歌い回し、リズム感などをチェックしてしまうのですが、
日本の歌手で、それらの点でも美空ひばりさんの右に出る人は、
今以て一人もいないと断言できます。

何事でも、完璧を期するには十二分な技術と強靭な精神力が不可欠。
私も人間を50年以上も続けるうちに、その事を理解するようになってきたようで、
同時に美空ひばりさんの凄さも年々、ますますわかってきたんです。

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美空ひばりさんの資質や才能、実績についてはこれまでに語り尽されていますから、
私のような者が改めて言及するまでもないと思います。
そこで、このブログの趣旨に合ったある噂について検証してみたいと思います(^^)


それは… レコーディングは必ず同録、即ちオケと歌を同時に録音していたとの話。

美空ひばりさんはデビューが昭和24年で、当時はオケと歌を同時に、しかも
直接レコードの原盤にカッティングしていた時代ですから、
美空ひばりさんにとっては同録は当たり前であった事は確かだと思いますし、
オーケストラと一丸となって良い音楽を作る事にこだわり、
同録が多く行われた事は確かであるようです。

しかし、作曲家の林哲司さんの著書「歌謡曲」や、
晩年のひばりさんのレコーディングを担当したミキサー氏の談話などを読むと、
他の歌手と同じようにボーカルブースでカラオケに歌をかぶせる様子が書かれています。

ただ他の歌手と違うのは、楽曲を完璧に自分のものにして録音に臨んでいた事。
林哲司さんによると、ブースの中で林さん作の曲を歌っているひばりさんが
前に置いた歌詞などは全く見ず、空を仰ぐように歌っていたのを目撃し、
とても驚いたそうです。

ひばりさんにとって、歌を憶えそれを演じる事は、呼吸をするのと同じくらい
自然な事であったに違いありません。
言い換えれば、ご本人は必死に曲を憶えるような事はなく、自然に自分の中に取り込み、
消化して自分のものとして表現する才能があったのだろうと思います。

ひばりさんは楽譜は読めなかったそうですが、耳の良さと記憶力の良さが
それを補って余りあるものであったんですね。


1994年に発行された書籍「まるかじり音楽業界」に、
ひばりさんが晩年にアルバムのレコーディングを行った際にエンジニアリングを担当した
コロムビアレコードのミキサー、青砥洲比古氏の談話があります。

それによると、ひばりさんは歌のダビングの際、1曲あたり2テイクしか歌わない、
しかもそのうちの1テイクはミキサーのテスト用に歌ったものであったそうで、
実質1テイクでこなしていたそうです。

他の歌手だと通常4~6テイクほど録音し、その中から上出来な部分を
つなぎ合わせるのが普通に行われていた
(現在は一通りミスがなく歌えれば、あとはコンピューターで補正するのが普通です)
ので、1テイクで済ませる事がいかに凄い事かは想像つきますね。

さらにアルバム全10曲分のレコーディングは、朝10時から昼休み1時間をはさみ
午後5時まで、たった1日で終えていた… との事で、
それはどのような歌手から見ても超人にしか思えない事でしょう。

美空ひばりさんクラスの歌手となると、録音された歌の出来も
本人の感覚に任せるものであった事も想像がつきますが、
結果的にそれが最良であると制作者が判断するレベルであった事も疑いようがなく、
そういう意味では自身がディレクターでもあったと言えます。

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美空ひばりさんの音楽を聴いていて一つ残念に思う事があります。
それは、どの曲を聴いてもひばりさんの存在感が強大過ぎて、
オケとの一体感を大切にしていたはずの音楽なのに、
サウンド=ひばりさんの歌、となっているものが殆どである事です。
つまり、オケとの掛け合いなどがあまり感じられず、
とことん歌(ボーカル)が先導しているように聴こえてしまうんです。

昭和40年代に入り、歌謡曲はそれまでの「歌さえ聴ければOK」から、
オケを含めたサウンド全体の味や良し悪しが問われるようになりました。

世がそんなサウンド志向になっても、ひばりさんの楽曲やレコードは
徹底的に歌が主役で、演奏までは印象に残りにくい。
時を同じくしてひばりさんのレコードがヒットしなくなったのは、
旧態依然の制作方式が足を引っ張ったように、私には思えるんです。

その中での例外の一つが、果敢にGSに挑戦し大ヒットした「真赤な太陽」でした。

元々ひばりさんは演歌だけでなく、ジャズなども高いレベルで歌いこなす
実力を持っていました。
同じレコード会社所属だった弘田三枝子さんのように、
サウンド志向と言える筒美京平さんにプロデュースを委ね楽曲制作をすれば、
新たに若いリスナーを獲得し、音楽の幅がうんと広がっていたかも知れません。

美空ひばりさんが筒美さん作・編曲のソフトロックを歌う…
私が知らないだけで実はあったりするかも知れませんが、
想像すると何だか、ワクワクします(^^)

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今年は記事執筆をお休みしたり延期したりする事がこれまでより多く、
楽しみにして下さっている方々にご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。

来年は絶対に毎週キッチリ書く!とお約束できないのがつらいところですが、
私自身、楽しく書く事ができるうちは頑張りたいと思います。
これからも、よろしくお願い致します。

…で、来年初の記事は「川の流れのように」の楽曲解説、です。


それでは皆様、よいお年を(^^)/

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Fade Out

…と言うタイトルですが別にブログをやめるわけではないですよ(^^;)
今日も記事を書く十分な時間が無かったために苦し紛れですがお許しをm(__)m


1989年に私は初めてデジタルのシンセサイザー、ローランドD-10を購入しました。
それまでアナログのシンセしか使った事が無かったので、最初はかなり四苦八苦しましたが、
実際にはアナログのシンセに似ている部分もあり、徐々に慣れていきました。

で、その頃にふと気づくと小泉今日子さんの「Fade Out」の、
ボーカルとクリックだけを抜き出したCDが出ていました。
FO.jpg
「リミックス・コンテスト」と銘打って、バックトラックを作ってボーカルを乗せたものを
募集していたんですね。

そのようなCDは全く初めてでしたし、音楽作りの一つの夢でもあったので、
それがどんな曲かも知らずにCDを買いました。

この曲はもともとがいわゆる「ハウス」ものなので、
全く違う雰囲気にするにはどうすればいいかな?と考えて、
結局お得意の70年代歌謡曲風にしよう、と決めました。
4トラックのカセットやデジタルリバーブなどを使い、
やっとこさ完成させたのがこれです
(ブログのプロバイダーの仕様で大きなファイルをアップできないため、
ビットレートを下げてあるので少々音質が悪いですが):

演奏時間が7分弱と非常に長いので、オケと歌を
最後まで同期させるのが最も大変だった記憶があります。

正直なところあまり好きな曲ではないですし、
今聴くとかなりチープな出来で冷や汗ものですが、
「リミックス・コンテスト」の締め切りに間に合わせようと
1週間ほど、会社から帰ってから部屋にこもって
一心不乱に音を重ねてました。

どうにか「リミックス・コンテスト」に間に合い、応募しましたが、
勿論落選しました。
この出来ではそれは当然に思いますが、
私の中では、とにかく懸命に作った事だけが
良い思い出の一つとして残っています。


「Fade Out]
作詞・作曲 : 近田春夫
レコード会社 : ビクターエンターテインメント

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またまたm(__)m

ぽぽんたです。


今日もやんごとなき用事で外出しておりました。
なのでまだ記事が完成してません(=_=)

先週と同じく、明日の夜にアップしますので、
よろしくですm(__)m

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乾杯お嬢さん / ピンク・レディー

これからは「あの頃のB面」がクローズアップされる時代かも、です:

ペッパー警部.jpg

楽曲について

「乾杯お嬢さん」はピンク・レディーのデビュー曲「ペッパー警部」のB面曲ですが、
その出来の良さでファンの間では常に人気の高い一曲です。

作家は「ペッパー警部」そしてその後に一世を風靡するヒット曲群と同じ、
作詞・阿久悠氏、作編曲:都倉俊一氏のコンビです。

「ペッパー警部」では短いながらミー・ケイそれぞれのソロ部分がありますが、
「乾杯お嬢さん」にはそれはなく、代わりに凝ったコーラスワークが楽しめます。
そのためなのかこの曲は「キャンディーズっぽい」と言われる事があるようですが、
私にはピンク・レディーとキャンディーズは楽曲的に全く別物に聞こえます。


楽理ノート

リズムは8ビートが基本ですが、Bメロ以降ではハイハットがシャカシャカと
16ビートで刻みスピード感を出しています。


キーは Cマイナー(ハ短調)です。
Bメロの ♪枯葉が一枚 ハラリと舞っても…♪ の部分は2小節だけ Gマイナーに転調して
すぐに元の調に戻っているのがわかります。


コード進行は一見シンプルですが、随所に6thや7thなどを採り入れ、
雰囲気作りがなされています。
Aメロでは主音コードの Cm に9thが加えられて響きが単調になるのを避けています。

秋の曲と言うと、寂寥感や哀愁感を出すためにメジャーセブンスを使うのが常道ですが、
この曲ではそれは全くありません。

コード進行を書き出してみると…

イントロ: (Cm・E♭・F・Cm・B♭・B♭/B) A♭6・Cm A♭6・G7・F・E♭・F・G7
Aメロ: Cmadd9・A♭7・G7 (秋の日ぐれ センチメンタル 恋のしるし)
    Cmadd9・A♭7・G7・Cm (街の色も 淡いベージュに 変わりました)
Bメロ: G7・Cm・B♭7・E♭ (秋はチャンスよ とても絵になるから 枯)
    D7・Gm・A♭・G7sus4・G7 (葉が一枚 ハラリと舞っても)
Cメロ: Cm (ごらんなさい秋です 何かきっと) G7 (ありそう そ)
Dメロ: Fm6・G7・Cm・Cm/B♭・A♭・G7・Cm (んな言葉をかける 誰かがあらわれる)

Cメロは簡単に書きましたが、実際には「渚のシンドバッド」のイントロ同様、
メロディーの音一つ一つがそのままベース音となるコードが付けられているようです。
つまり ♪ごらんなさい あきです♪ の実際のコード進行は
Cm・E♭・Cm・E♭・F・Cm・Gm・B♭・Cm となるわけです。

しかしそこでのオケはベースとブラスがボーカルと一緒に動いているだけに聞こえるので、
コードの演奏としては先述のような簡単な割り振りでOKだと思います(^^)


都倉俊一氏の曲ではサブドミナント(Ⅳの和音)にセブンスコードにして、
ブルーノートを組み込んであるものをよく耳にします。
この曲ではAメロの ♪…(淡いベージュに)変わりました♪ など の部分、
「ペッパー警部」では ♪(私たちこれから)いいところ♪ など、
「UFO」では ♪(口づけするより)早く(ささやき聞くより)強く♪ など、
拾い出すとかなりの数になります。


アレンジについて

都倉俊一氏らしい、ビートの効いたリズムにストリングスとブラスを派手に乗せたもので、
特にイントロでストリングスが駆け上がって主メロが始まるのは常套パターンと言えます。

冒頭からいきなりブーンとシンセサイザーの低音が出てきますが、
シンセサイザーがそこ以外では目立つ動きをしていないのがちょっと勿体ない(^^;)
当時だと、シンセサイザーが多めに入っているだけでも
セールスポイントの一つになっただろうと思われるからです。

この曲の聴きどころはやはりBメロ以降のコーラスワークです。
ケイが主旋律、ミーがその上の音程で副旋律を担当していて、
特に Dメロでの追っかけ付きハーモニーは、ピンク・レディーがビジュアルだけでなく
音楽面でも実力のあるデュオである事を証明するような出来です。
1番、2番の最後 ♪(誰かが) あらわれる♪ でそれまでと逆転し
ミーのパートが主旋律になるのがユニークで音楽的ですね(^^)


歌い方が極めて丁寧、と言うよりも教えられた通りキッチリと歌っている様子で、
それが今聴くととても新鮮です。

この頃はケイの声がまだクリアで、パートによっては「あれ?ミーかな?」
と思ってしまうほどです。

増田恵子さん著「あこがれ」によると、デビューの半年後に行われた
ピンク・レディー初のコンサートツアー「チャレンジ・コンサート」で、
その3ヶ所目か4ヶ所目で演奏最中に突然声が出なくなり、それでも無理をして
がなるように声を出していてついにガラガラ声になった、…との事です。
デビュー後数ヶ月でいきなり超多忙となり、ボーカルのトレーニングを
あまり積めなかったと思われるのも一つの原因かも知れません。


楽器と定位

この曲で使われている楽器とその定位は:

左: エレキギター ストリングス(Vn) ブラス(トロンボーン)

中央: ドラムス ベース タンバリン シンセサイザー

右: ブラス(トランペット) ストリングス(Vc、Vla)

上に加え、ステレオ収録で左右に広がるピアノが重要な動きをしています。


ブラスには薄くフェイズシフターがかけられているようで、
ほんの少しですがシュワシュワとした音にして存在感を増しています。

また、通常であればブラス、特にイントロと間奏で主メロディーを担当する
トランペットは中央に置いても良さそうですが、
この曲ではトロンボーンとトランペットが左右に分かれて定位しています。
それは先述のBメロ ♪…ハラリと舞っても♪ の部分で、
互いの音を交差させるようなアレンジであるのを生かすためと思われます。


左のエレキギターは地味な音ですが、キッチリとリズムを刻んでいます。


ボーカルは全体を通して2回ダビングされているようで、
4人分の声となっています。
一人あたり二重唱にする事で声がにじんだようになり、
コーラスが美しくなるんですね。
そのテクニックは次のシングル「S・O・S」でも使われています。


最後に

以前にも話題に出しましたが、ちょうど4年前に発売されたアルバム「INNOVATION」に
「乾杯お嬢さん」も収録され、
オケはオリジナルの音で、ボーカルを新たにレコーディングしたバージョンを聴く事ができます
(ミックスし直してあるので楽器の定位等もオリジナルとは少々違います)。
デビュー当時よりも凄みを増した声で歌われ、コーラスのパートを増やしている事もあり
厚みのあるサウンドとなっています。
ただ聴く人によって好みが分かれそうで、私は正直なところオリジナルの方が好きです。
それは恐らく、現在の声の方が存在感が強いために、
歌詞の内容が必要以上に生々しく感じられてしまうからかも知れません(^^;)


2010年に復活したはずのピンク・レディーですが、翌年のコンサートツアー以後、
ライブやテレビ出演など、目立った活動が見られないのが気になります。
健康面の問題かも知れませんし、
年齢的・体力的にもかつてのような活動は難しいと思いますが、
次のライブを待っているファンも多いはずなので、
再び元気に歌い踊る姿を楽しみにしたいと思います(^^)


「乾杯お嬢さん」(「ペッパー警部」C/W)
作詞 : 阿久悠
作曲 : 都倉俊一
編曲 : 都倉俊一
レコード会社 : ビクター音楽産業
初発売 : 1976年8月25日

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久々にお知らせm(__)m

ぽぽんたです。
いつも読んで頂いてありがとうございます!

本日更新予定だったのですが、
用事が立て込んで書く時間が少なくなってしまいました。
明日の夜にはアップできると思いますので、
一日お待ち下さいm(__)m

曲目は…今回はB面曲です。
今はもう冬ですが、ちょっと季節をさかのぼって…
感傷的な夕方の妄想…と言った内容でしょうか(^^;)
しんしゅ~いち!! (← CMより)

ではでは、明日の夜に(^^)/

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はじめてのエコー

かなり前にエコーとリバーブの違いについての記事を書きましたが、
実際には両方ともひっくるめて「エコー」と呼ばれるのが今でも普通です。
なので、今回のタイトルも語呂の良さで「はじめてのエコー」としました。


多重録音で音楽を作っていると、
パート別に一通り楽器を録音し終えてミックス作業に入った時、
エコー(含むリバーブ)を使い始めると何だか、気分が和むんです(^^)

それまでむき出しで生々しい音しか聴いていなかったところにかけるエコーは、
ノドが乾いている時にやっとありつけた水のように、音が潤って生き返る
ような感覚を与えてくれる、実にありがたい効果なんですね。

今でこそ、デジタル技術の普及&低価格化でエコーを含め、様々な効果を
簡単に得る事ができるようになりましたが、
私が多重録音を始めた頃は、プロ用としてはすでに何種類かの機器があったものの、
アマチュア向けには、少し前に書いたようなテープデッキを使ったエコーや、
スプリングを利用して作り出すリバーブくらいがせいぜいでした。

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私は18歳の時(1980年)に初めてシンセサイザーなるものを手に入れ、
その時に同時に買ったのがスプリング式リバーブ装置のローランドRV-100でした。
(画像はカタログより)
RV-100.jpg

スプリング式リバーブとは、金属の細長いトレイのような入れ物に
長さ20cm前後のスプリング(=バネ)が2~3本張ってあり、
その片側にあるドライバーから音声信号を入れてスプリングを振動させ、
それを反対側に取り付けられたマイクのようなピックアップで拾う事で
取り出した音を残響音として用いるもので、
今もギターアンプなどには使われているようです。

そうそう、100円ショップに「エコーマイク」なるものがありますが、
それもバネの振動を利用して残響を作っているおもちゃです。

1960年代には、家庭用のステレオ(と言うよりも電蓄かな)にそのスプリング式リバーブ
を組み込むのが流行したそうで、当時の家電ってクリエイティブだったのでしょうか(^^;)


RV-100にはバネを3本使ったアメリカ製のリバーブユニットが使われていて、
それが作り出す残響音は独特の雰囲気があり、私は録音用に大いに活用しました。

しかし… リバーブ付加装置としては結構欠点が多いんですよ、コレ。

・外部からの衝撃に弱い。 装置のケースを叩くと「ガーン」と音になって出てきます。

・残響時間等の調整ができない。 なのでいつもワンパターンの残響音になってしまいます。

・特定の周波数で共振を起こし、それが大きな音になる。 これが最も困った事かも知れません。

・周波数特性が悪い… 低い音にはあまりリバーブは必要ないのですが、
 高音できれいにシャーッと伸びる残響音がどうしても得られないんです。
 なので必然的に中音付近(ボーカルの音域あたり)にしかうまくかかりません。

・パルス的な音が入ると余計な音を発する。 例えば打楽器がドン!と入ると
 ポチャン!と音を発してしまうんです。 面白いと言えば面白いけど(^^;)

…ってな感じで、入力できる音に制約がある装置なのですが、
それでもアマチュアが手に入れられる残響付加装置としては安価だった事もあり、
私を含め愛用者は多かったようです。


スプリング式リバーブ装置もプロ用機器が存在していて、
AKG(アーカーゲー)やリバックと言ったメーカーが高音質な製品を開発し、
実際に放送局やレコーディングスタジオなどで使われていたそうです。

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ではここで一つ… 買ったばかりだったRV-100とシンセ(ヤマハCS-30)を使い、
カセットデッキ2台でダビングを繰り返して作った曲を…
演奏が稚拙なのはご容赦を(^^;):

まずは高校2年の音楽の教科書に載っていたイタリア曲「海に来たれ」
(テープの状態が悪くちょっと音が乱れていますm(__)m):


続いて、いかにもアナログシンセらしい音で「キラキラ星」:


何だかんだでその後7年くらいはこのRV-100を使っていまして、
1987年にデジタルリバーブ、通称デジリバを手に入れ初めて使った時の衝撃と言ったら…
それについてはまた、機会があれば書きます(^^)


最後にもう1曲、当時作ったものを…
曲名は聴いて下さればわかると思いますが、
先ほど触れたスプリングの「共振」がもろに出てきてしまった例です。
オルガンのように聞こえますが、実際はシンセの単音を6回ほど重ねた音です。
まだちょっと早いですが… メリクリ~!


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