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祝・6周年! 4チャンネルステレオとハイレゾ

ぽぽんたです。
おかげ様でこのブログも今月26日で満6年を迎えます。
読者の皆様には、この場を借りて心からお礼を申し上げます。

今回は…

20150222-01.jpg

昭和40年代に学生時代、青年時代を過ごされた方々ならばきっと憶えている事と思われる、
「4チャンネルステレオ」。 日テレの音声の事じゃありません、念のため(^^;)

特に昭和45年から49年にかけてはその全盛期で、
かなりのタイトル数のレコードやテープが市販されていました。


4チャンネルステレオは現在で言うところの5.1(7.1、9.1等)サラウンドの走り
とも言うべき存在で、
左右1つずつのスピーカーからなる通常の2チャンネルステレオに、
さらに左右もう1組を設け、立体音響効果を高めようと開発されたものです。

合計4本のスピーカーを使うのですが、その配置は前に2本と後ろ2本、
または前に4本全部、あるいは前に2本とリスナーの両脇に1本ずつ…
といくつかの方法があり、
ソフト(レコードやテープ)の方でそのどれかを指定したものもありますが、
やがて前に2本、後ろに2本設置するのが普通となりました。


4チャンネルと言う事は一つの音楽で4方向から音を出す事であり、
テープの場合は最初から4トラックのフォーマットがあったので問題無かったのですが、
レコードには1本の音溝に4つの別々の音を入れなければなりません。

そのための技術には、大きく分けて

・ディスクリート方式(CD-4、UD-4)
・マトリクス方式(SQ、QS、レギュラーマトリクス)

があり、互換性はありません。

ディスクリートとは各チャンネルが完全に分離しているとの意味で、
記録先も4本必要となります。

マトリクスは元々の2チャンネルステレオの中に、
位相を操作してもう2チャンネル分の音を合成して記録するので、
記録先はそれまでと同じ2本で足ります。

それらの技術の内容についてはとてもここでは書き切れない
(特にマトリクスは数学的な説明も必要です)ので省略します(^_^;)

ディスクリート方式はその記録方法による制約により、
周波数特性(再生される音域)の高域上限がFM放送と同じ15kHzとなっていて、
オーディオ的には少々低スペックと言えます。

マトリクス方式では記録先は2チャンネル分で足りるので、
フィリップス社が持つ特許の関係で4トラックのテープを制作できなかった
市販ミュージックカセットテープにも採用されました。

4チャンネルステレオのレコードを4チャンネルとして再生するためには、
対応するカートリッジの他に4組ずつのアンプとスピーカーは当然として
ディスクリート方式ではディモジュレーター、
マトリクス方式ではデコーダーと呼ばれる機器が必要で、
通常の2チャンネルのステレオ装置では、4チャンネルレコードであっても
普通の2チャンネルステレオとして再生されます。


「4チャンネルのレコードは普通の(2チャンネルの)ステレオで再生すると、
後ろの2チャンネル分の音が出ない。」


と思っている人が意外と多いようですが、そんな事はありません。
CD-4にしろマトリクス方式にしろ、2チャンネルでも全チャンネル分の音が出ます。
マトリクスでは後ろチャンネルの音も元々前チャンネルに合成されていますし、
CD-4の場合はFM放送で2チャンネル分の音がモノのラジオではミックスされて出てくる
のと同じ仕組で、4チャンネルステレオが2チャンネルステレオとして再生されます。

ただし、マトリクス方式では後ろチャンネル用として入っている音が
逆相で出てきたりする場合があり、
その時には特定の楽器音が耳にまとわりつくように聞こえたりと、
不快な聞こえ方がする事があります。

そのように通常の2チャンネルステレオでも聴けるとしても、
やはり4チャンネルステレオは4チャンネルとして聴くのが最良であり、
「山口百恵ヒット全曲集」は2チャンネルステレオで聴くと感じるモヤモヤ感がなく
スッキリと4方向から各楽器が迫ってくる感覚が味わえますし、
「キャンディーズヒット全曲集」では多くの曲でボーカルが多重になっていて、
4方向から3人に囲まれる(?)ような妙な感覚も楽しめます(^^)
(SACDで聴いた感想です)

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昭和45年~49年と言えば歌謡曲黄金時代と見事に重なっているわけで、
当然のように4チャンネル録音された歌謡曲レコードも数多く存在しました。

特にライブ盤などでは、会場の雰囲気を伝える目的で最初から4チャンネル用に
録音されたものが多く市販されていましたが、
スタジオ録音ですでに従来の2チャンネルステレオで発売された曲も
オリジナルマルチトラックテープが存在する曲は4チャンネル用に新たにミックスし、
それを集めてアルバムとして発売したものもあります。

その中でもよく知られているのはビクターの「ゴールデン・デラックス」、
CBSソニー(現ソニーレコード)の「ヒット全曲集」(1974年版)です。

そのうち、私が持っているものは次のようなものがあります:

1.桜田淳子ゴールデン・デラックス2(CD-4方式LPレコード)
2.チェリッシュゴールデン・デラックス(CD-4方式LPレコード)
3.山口百恵ヒット全曲集(SQ方式LPレコード、SACD)
4.キャンディーズヒット全曲集(SACD)
5.南沙織ヒット全曲集(SQ方式LPレコード)

CBSソニーの「ヒット全曲集」では、最初の数曲で「音源の都合上、SQではありません」
と書かれている楽曲も含まれているのですが、
それ以外はすべて、既発売のレコードとは違うミックスのバージョンが使われています。

そして多くの曲では、別テイクのボーカルが使われています。
1では「花占い」、3では「ひと夏の経験」などでそれが顕著に聴き取れます。

5に至っては、A面5曲めの「純潔」からB面最後の「夏の感情」までの8曲がSQミックス、
さらに「純潔」からB面3曲目の「色づく街」、そして「夏の感情」では
ボーカルが新録音(1974年当時)となっています。

ではその中から、このブログ第1回の題材曲「早春の港」と
「傷つく世代」を各々1コーラス分を貼りますので、
南沙織さんのベスト盤等でオリジナルミックスの音源をお持ちの方は
聴き比べてみて下さい:
「早春の港」
「傷つく世代」
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ここ数年、いわゆる昭和歌謡の復刻が色々と進んでいますが、
ある意味時代の落とし子とも言える4チャンネルミックスの音源は、
ほとんど復刻されていません。
その数少ない例外が、上記の3と4です(単独で商品化されたのは3のみ)。

ソニーレコードでさえ、山口百恵さんとキャンディーズ、松田聖子さんについては
手を変え品を変えファンに何度も同じ音源を買わせるような商品作りをしているのに、
その他の歌手については一応ベスト物と数タイトルのアルバム復刻、
あるいは高価なボックスセットを出している程度ですよね。

CD-4を強力に推進していたビクターに至っては、
4チャンネル音源はこれまでに全くCD化していません。

レコード会社にとっては、商品は一定数以上売れる事が大前提なので
仕方なかったのでしょうが、そのような、
同じ歌手ばかりに頼った企画もそろそろ飽和状態だろうと思いますので、
ここらでその他の、眠っていた4チャンネル音源を商品化して頂きたい、と(^^)

4チャンネルステレオをそのままパックしようとすると現在はSACDしかなく、
そのSACDも登場してから10年以上経っても普及する気配がありませんので、
今、ソニーが中心になって強力にプッシュしているハイレゾ音源として、
そういった4チャンネルステレオを2チャンネルに変換した(英語圏では
"Fold-down Mix"などと呼ばれ、SACD化された「ヒット全曲集」でも
普通のCDプレーヤーで聴ける音声はその処理がされています)
音源を商品化する事をここで提案します。

勿論、CD、またはSACDとして発売される事も大歓迎です(^^)

特にCD-4を採用していたビクター、テイチク、キング、
SQ盤を何枚もリリースしたソニーには、多くのソースが眠っていると考えられます。

オリジナルミックスでは聞こえなかった楽器が聞こえてきたり、
あるいは別テイクのボーカルが聴ける事によって、
40年以上も前にタイムスリップしたような感覚が味わえるはずです!

またCD-4方式レコードに使われた音源については、
先述したようなスペック的な制限から解放され、
4チャンネルマスターテープが本来持っているはずの
音の良さを知らしめる事もできるでしょう
(いい加減に制作したのではなければね)。


マスターテープの状態等、制作上に問題が生じる事があるかも知れませんが、
そのような音源を待っているファンは意外と多いようですよ(^^)
業界関係者の方がこれを読んで下さっていたら、ぜひご一考をお願いしますm(_ _)m


では最後に「南沙織ヒット全曲集」からもう1曲「純潔」を:
「純潔」

これからもよろしくお願い致しますm(_ _)m


「早春の港」「傷つく世代」「純潔」
作詞 : 有馬三恵子
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : CBSソニー
初発売 : 1972年、1973年

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北ウィング / 中森明菜

祝・明菜復活!

北ウィング.jpg

チャートアクション

「北ウィング」は中森明菜さんの7枚目のシングルとして1984年1月に発売され、
オリコン最高2位(同年1月9日~2月6日付、5週連続)、同100位内に28週ランクインし
61.4万枚を売り上げるヒット曲となりました。

当時、中森明菜さんの人気は最高潮を迎えていてこの曲もトップになると思われましたが、
「もしも明日が…」(わらべ)の大ヒットに阻まれた形でそれは実現しませんでした。
2月13日付のオリコンチャートでは「もしも明日が…」は3位にダウンしましたが、
同時に「北ウィング」もダウンして4位に…残念。


作家について

前作「禁区」まで、バラード系以外はすべて違う作家の作品でしたが、
「北ウィング」で初めてバラード系で作詞に康珍化氏、作曲・編曲に林哲司氏と
それまで続いていた来生えつこ・来生たかお姉弟から離れた形となりました。

当時のプロデューサーの意向としては、それまでのツッパリ路線と
バラード路線の中庸的な楽曲の制作を希望していたようですが、
「北ウィング」は楽曲としてはやはりバラードですね。


楽曲について

「北ウィング」の楽曲制作については、この曲の作・編曲を行った林哲司氏著の
「新ポップス作曲法」(リットーミュージック社)に楽譜入りで解説されているので、
それを読んで頂くのが当然ながら最も確実です。

その内容を踏まえて追加の形でいくつか…

リズムはごくオーソドックスな8ビートで、強いビートが全体を支えています。

キーはC#マイナー(嬰ハ短調)で、曲中の転調は特にありません。

この曲の最大の持ち味はスケール感の大きさです。
それは歌メロに長音や休符が多用されている事、
音をやたらと詰め込まない、むしろ音の隙間を大切にした
アレンジによるものが大きいようです。


1981年に寺尾聰さんのアルバム「Reflections」が大ヒットしたあたりから、
コード進行についてはそれまでの3和音を主とした定番的なものから、
ジャズやフュージョンで聴かれるような多音コードや分数コードを多用した進行が
一気に市民権を得たようで、
かつては隠し味的な利用をされていたそんなコードが表立って使われるようになり、
それは林氏を初めとする当時の若手作家にとっては、より曲作りに自由度が上がり
歓迎される事であったと思われます。

「北ウィング」にもその恩恵が伺える、
言い換えるとより洋楽的な曲作りが感じられます。

細かく見ると、イントロや間奏でストリングスが駆け上がり歌に入る直前の
E/G#→A→F#/G#→G#7 での期待感の表現と思われる音の動き、
2コーラス目からエンディングに入る前の間奏で AM7→G#m7→F#m7→G#m7 の進行による、
井上鑑氏がよく用いるような浮遊感演出サウンドなど、
洋楽のセンスが色濃く伺えるコード進行は出色です。

また ♪(彼のもとへ)今夜ひとり…♪ での、
空気が一時的にさっと変わるような A#m7-5 の挿入が効果的で耳に残ります。
同じようなテクニックは、萩田光雄氏がアレンジした「セカンド・ラブ」での
♪…袖口つまんで…♪ に続く唐突な B♭dim にも感じられるので、
林氏はもしかするとそれを参考にしていたのかな、と推測しています。

それらを駆使した、意識的に空気を揺さぶるような音の流れによって、
常に安定状態であるわけではない機内の雰囲気と、
それに乗ずるような主人公の不安定な精神状態が表現されている…
と私は解釈しています。


楽曲の構成としてはサビ頭のインパクト重視の作りであり、
男性コーラス、エンディングには時代の声とも言えるEVEも加わり
ボーカルを大いに盛り上げますが、
その譜割りに無理が感じられる事もあり(特に"magic"のアクセントに難)、
個人的には、そんなややイメージ過剰のようなコーラスが加わるよりは、
明菜さんの ♪Love is the mystery…♪ だけで静かにフェイドアウトする方が
ロマンティックな仕上がりになったのではないか、と思います(^^;)


それにしてもこの曲での明菜さんのボーカルは、
弱冠18歳とはとても思えない成熟を感じさせますね。


サウンドについて

使われている楽器はエレキギター(コード演奏担当とメロディー担当)、
生ピアノ、電気ピアノ、シンセサイザー、ウィンドチャイム、タンバリン、
ドラムス、エレキベース、そしてストリングス隊で、
時代を反映してか、イントロでのブラス音色を初めとした
いくつかの音色を使い分けて使用されているシンセサイザーが目立ち、
またギターや電気ピアノにディレイなどの空間系エフェクトを使用し、
音の輪郭を弱めて左右に広げているのが音作りの特徴です。

頭サビ後の1回目の間奏と1コーラス目に続く間奏には、
エレキベースにかぶせるようにシンセベースが使われていますが、
それは低音を補強する事で機内に鳴り続けるエンジン音を表現しているのでしょうか。


明菜ファンにはなぜか旗色の悪いリミックス音源アルバム
「ベスト・コレクション~ラブ・ソングス&ポップ・ソングス」には、
「北ウィング」の再ミックスバージョンも収められています。

そのバージョンでは、オリジナルと比較すると各楽器の輪郭がハッキリとして、
同時に楽器間の分離も良く、スッキリとした印象を持ちます。

オリジナルミックスに感じられるストリングスの鋭さが抑えられ、
また先述のシンセベースがより前面に出されている事も確認できます。

さらに、オリジナルミックスでは聞こえないコンガが、
右チャンネルに目立つ音量で入っています。

各楽器音の定位は、オリジナルミックスにほぼ準じたものとなっています。

そのアルバムでは、多くの曲でオリジナルミックスとは
別テイクのボーカルが使われていますが、
「北ウィング」ではオリジナルと同じボーカルトラックが使われています。

またフェイドアウトするエンディングがオリジナルよりも8秒ほど長く、
これまで聴けなかった部分のボーカルも聴けるようになっています。

ただ音圧が異常に大きく(全体を通した平均が-10dB前後)、
特にエンディングで音が押しつぶされているように、
また各音が干渉し合って音量が不自然に揺らいで聞こえるのが難点で、
先述したような隙間を生かしたアレンジの良さが薄れているのが残念です。
それはミックスよりも、最終的なマスタリングに問題があるのかも知れませんが、
いずれにしろ良い仕上がりとは言えないようです。


中森明菜さんのパフォーマンスについて

「北ウィング」「飾りじゃないのよ涙は」「DESIRE」など、
テレビの歌番組で何度も目にし、耳にした楽曲は数多いのですが、
レコードでの歌唱よりも生歌唱の方が不思議とより良く聞こえる事が、
中森明菜さんについてはとても多かったように思えるのですが、どうですか?

マツコ・デラックスさんの番組「マツコの知らない世界」(TBS)に
アイドル歌手の振付師、三浦亨さんが登場した際、マツコさんが
「明菜は(歌唱)一回一回に命賭けてるからねぇ」と言っていましたが、
それに妙に納得してしまったのは、先述のような当時の歌番組での印象が
頭に残っていたからだと思います。

一昨年逝去した元TBSのプロデューサー山田修爾氏の著書「ザ・ベストテン」には、
そんな明菜さんのパフォーマンスに対する思いが、
山田氏との会話としてストレートに書かれています。
明菜さんの温かい人柄も伝わってくるような内容なので、
ご一読をお勧めします(^^)

「北ウィング」について思い出す事と言うと…
♪それが返事よ…♪ と2コーラス目を歌い終わった時、カメラ目線のまま
声には出さずに「×××…」と何か言っているように見える事がありました。
私には「あなた…」と言っているように見えましたし、
番組の司会者か誰かもそう言っていましたが、
当の本人は「何も…」とシラを切ってましたっけ(^^;)

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この1月に放映されたNHK「SONGSスペシャル 中森明菜 歌姫復活」を観てつくづく
「この人はファンに完璧なパフォーマンスだけを見せたいのだ」
と思ったものです。
長くなったブランクも、恐らく「中途半端なままでは人に見せられない」
との意識が働いたからなのだろう、と素直に感じました。

そしてその意識とは、本人でありながら「中森明菜のプロデューサーとして」
なのでしょう。
「北ウィング」は作家の指名とタイトル決定が
明菜さん本人によるものであるのは良く知られていますが、
それは当時からセルフプロデュースをこなしていた、と言う事ですね(^^)


「北ウィング」
作詞 : 康珍化
作曲 : 林哲司
編曲 : 林哲司
レコード会社 : ワーナーパイオニア(リプリーズ)L-1663
初発売 : 1984年1月1日

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DAWとは何ぞや?

知ってる人は知ってる、知らない人は全く知らないと思われるDAWなる言葉。
DTM(Desk Top Music)と混同する向きも多いそうです。
私もその言葉をきちんと意識し始めたのはここ2、3年です。

DAWは、Digital Audio Workstation の略で、レコーディング形態の一つです。
従来のようにテープレコーダーを使うのではなく、
PCを用いて録音・ミックス・編集、そしてマスタリングをも行うシステムの事です。

2000年前後から徐々にテープを使ったレコーディングから移行が始まり、
現在ではほぼすべてのレコーディングで使われています。

マイクからの音声や電子楽器からのライン音声は、オーディオインターフェイスで
デジタルデータに変換され、PCに送り込まれます。
そして専用ソフトを立ち上げる事で用意される数多いトラックの一つ一つに演奏が記録され、
そうして作られる素材が揃ったところで同じソフト上(記録される形式に対応していれば
違うソフトでも可能ですが)でミックス作業が行われ、
必要に応じてマスタリング処理も行われて完成となります。

ソフトは民生用にはSteinberg社のCubase、Cakewalk社のSONARなどが一般的で、
プロ用としてはAvid社のProtoolsが最も多く使われています。


DAWにはプラグインとして音源やエフェクターが用意され、
MIDIキーボードを演奏する事で鍵盤のON/OFFや鍵盤を押す強さなどを
PCに流し込んでその音源を鳴らす事、
また演奏データをMIDIデータとして記録して、別のプラグイン音源を鳴らす事もできます。

エフェクターもほぼ何でもと言って良いほどの種類が用意されていて、
音質や品質は別問題として、作れない効果はほぼ無いと言えます。


従来のスタジオ設備と同等、またはそれ以上の環境が、
アンプやスピーカーなど実際に試聴するための設備以外はすべてPC上で構築できてしまう上、
専有面積も極めて小さくて済むために、
現在は従来型のレコーディングスタジオは次々に姿を消し、
PCと小さなブースだけでレコーディングを済ませてしまうミュージシャンが殆どであるようです。

それによって莫大な費用が掛かるレコーディングスタジオを利用しなくて済み、
予算面や時間面での制約が小さくなった事がDAW全盛となった最大の要因でしょう。

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私はこのブログ上で、そのような形態の変化に否定的であった事を書いてきましたが、
DAWが実際どういうものなのかを知らないでいくら批判しても説得力がないですよね。

でも本音を言うと大いに興味はあったので(←やっぱ好きなんじゃん(^^))、
半年ほど前からCakewalk社のSONAR X1 LE なるソフトを譲り受け、使用しています。
Sonar01.jpg
私はまだ実際にはDAWでは自分の演奏を使った音楽制作はしておらず、
今も8トラックレコーダーを利用しているのですが、
それに記録された演奏データもDAWの素材にする事は可能ですし、
柔軟性と言う意味でもDAWが重宝がられる理由は十分理解できます。

で、現在はオリジナルのマルチトラック音源を使ったミックス作業の勉強などしています。
例えばこんな感じです:
("TSOP" MFSB Mixed by Poponta)


ミックス作業においてDAWの最も大きなメリットは「オートメーション」と呼ばれる機能です。
ミックス作業では、各楽器の音量等は演奏の流れに合わせて上下させる必要があり、
それをかつてはエンジニア、必要な時には助手との共同で、曲の流れに合わせ
リアルタイムで調整していました。
なので、曲の途中で誰かが操作を失敗すると最初からやり直し、だったんですね。

しかしアナログ時代から徐々にミックス作業も自動化され、
各トラック(チャンネル)音量やエフェクトなどの調整は
その変化自体を音楽の進行に合わせ記録し、
何度でもそれを再現できるようになりました。

DAWではそれがさらに進歩し、
各トラックそれぞれで曲の進行に合わせた変化を付けられるのは勿論、
その変化がエンベロープと呼ばれる線データで管理され、
それはあとで画面上で簡単に変えたり修正したりできるようになりました。

なので、トラック一つ一つについてより細かい変化をつけ、
表情を豊かにする事が可能になりました。
その代わり、それにこだわるとエンドレスにいじり続ける事になります(^^;)

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DAWに組み込んで使う(=プラグイン)音源は現代では非常に質が高く、
中でもストリングスやホーン系、ピアノなどは一流の楽器を一流のミュージシャンが
音を出したものをサンプリングする事で作られ、
音質も従来のものとは別次元と言って良いほどの品質であり、
かつてのように「いかにもコンピューターで作りました」的な音ではなく、
プロでも生演奏と区別がつかぬほどの音が誰にでも得られます。

そのため、音楽を制作する人の関心は
「本物そっくりにするための演奏上の打ち込み技術」に注がれる事になります。

そして現実に一般人、また音楽業界の人であっても殆ど
本物と聴きわけができないほど、その技術は向上しています。

つまりバーチャルながらどのような楽器もPC上では演奏が可能になると言う事であり、
それは音楽を作る人にとってはこの上ない道具であると言えます。

****************************************

現在、新譜として発売される音楽は高い確率で
そのような環境での打ち込みによって多くの音がまかなわれており、
生の音を収録するのはボーカルだけである事が多いのが実情です。

そして、一流と言われるミュージシャンが演奏しているテイクが
一部に使われているだけでそれがセールスポイントになったりします。

打ち込みが使われているとそれが新鮮で、
セールスポイントとなっていたかつての時代とは完全に逆転しており、
1970年代あたりから音楽に親しんでいる私のような者からみると
それが非常に不自然でいびつに感じられるのです。

それは、根底に「音楽は人が演奏して作るのが当たり前」との観念があるからでしょう。

音楽制作には手間がかかると言う事では、今も昔も変わりません。
昔のやり方と今のやり方、どちらが正しいとか良いとかの問題でもないと思います。

ただ、打ち込みと人間の演奏、どちらがより人に「良い音楽だ」と思わせる力があるか?と言うと、
私はやはり昔のやり方、即ち人間が実際に演奏した音を積み上げて作る方だと思うんです。

音楽だけではないと思いますが、
手間をかければかけるほど良い作品が生まれるとは限らないものです。
サンプリングされた音を使って本物らしい演奏に聴かせるために
細かくエディットしてやっとの思いで作り上げたものも、やはり本物には永久に敵わない。
それは音楽をやる人ならば、特にプロは皆承知していると思います。

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DAWがレコーディングやミックスのための設備として極めて優秀である事は、
民生用廉価版のソフトを使用している私にも十分理解できます。
今後、テープに戻る事はあり得ないと言えるでしょう。

しかし上で述べたような打ち込み主体で作るのはやはり、プロの仕事じゃ、ない。
デモ段階で打ち込みを利用するならば納得できますが、
世に出す音楽の音はあくまでも生身のミュージシャンが演奏する音であって欲しい。

「どうせ打ち込みで作ってるんでしょ。」
そう思わせる事が音楽の購買欲をどれほど削いでいるかを、
制作側はもっと知るべきです。
今はそんな事も誰でも知っています。

手間がかかっているかどうかなんて、関係ないんです。
結局は演奏と音楽そのものにどれほど魅力があるかどうか、なんですね。

そのつながりで、収録した生音に補正をかける事、それも控えるべきですね。
今は収録した音の波形を出し、それを故意に変形させる事を補正と呼んでいますが、
その行為はDNAの組み換えにも似て、不可侵な領域に手を加えているようなものです。
そこには「こうすれば正解」と言ったものは一切存在しないのですから、
自然に出てきたものをそのまま使うのが最良の答えであると、私は信じています。

え?最良の演奏を残そうとするとお金と時間がかかる? スケジュールが難しい?
そのあたりをうまくやるのがプロでしょう。
かつてはそうやっていたんだから、今だってできないはずはない。
ノイズくらいは画面上で消してもいいと思いますが(^^;)

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…ってなわけで、DAWはその特性を理解していれば、音楽を制作したり、
過去の音源を組み立て直したりするにはとても便利で、面白い道具です。


ただ一つだけ、すごく驚いた事がありまして…

私が使っているSONARでは(恐らく他のソフト同じだろうと思います)、
最終的なミックスは「エクスポート」と言う形で出力します。

そしてそのためにかかる時間は4分程度の曲でも十数秒程度で、
出来たファイルを再生すると音量などを操作した動きは勿論、
リバーブやらディレイやら、設定したエフェクトもしっかりとかかった状態なんです。
しかも、仕上がりがきれい!

それには本当に驚くと同時に、これまで曲の実時間をかけてミックスしていたのは
何だったんだ!?とまで思ってしまいました(+o+)

それと同時に、そのように1曲わずか十数秒で処理が完了してしまうあたり、
「ああ、これはやっぱりコンピューターが作っているんだ」と変に実感したのでした。

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花の子ルンルン / 堀江美都子、チャーブス

このブログでは初の分野です(^^)

花の子ルンルン.jpg

この曲との出会いまで

私が物心ついた頃、月曜の夜7時からNET(現テレビ朝日)で
「魔法使いサリー」が放映されていて、毎週欠かさず観ていました。
その頃の私は東京都文京区の長屋のような住宅に住んでいて、
テレビの上にはウサギの耳のようなアンテナが乗っていた事を今も憶えています。

その次に「ひみつのアッコちゃん」、そして「魔法のマコちゃん」…
と続き、「花の子ルンルン」も放送枠は違いますがその流れで
制作されたアニメだったようです。

私は観ていたのは「ひみつのアッコちゃん」までで、
ましてや「花の子ルンルン」は1979年~1980年の放送で当時私は高校3年であり、
全く観ていませんでした。
(因みに同じ頃、ホシデンなるメーカーから「ルンルン」と言う名称のヘッドホンが
発売されていてCMも放映されていた事、憶えていますか?)

しかし数年前にCSで同番組が毎週放送されているのをたまたま観ていて、
何だかハマってしまって(^^;)

登場するキャラクター、どれにも魅力があり、
主人公が少女なのに毎回過酷な目に遭うストーリー構成も面白く、
今ではできればDVDボックスを手に入れきちんと観直したい気持ちです。

そしてその主題歌がとても気に入ってしまいました。
昔からうすうす感じてはいたのですが、
アニメの主題歌は音楽的に歌謡曲や洋楽と肩を並べるような作品が多く、
「花の子ルンルン」もそんな1曲です。

残念ながらオリコン100位内に入った記録はありませんが、
堀江美都子さんの代表曲の一つとして今も人気があるようです。


楽曲について

「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」を初めとして、
当時のアニメの主題歌は小林亜星氏作曲の作品が最も多いのでは、と思います。

「花の子ルンルン」もその中の1曲で、
気品のあるメロディーを堀江美都子さんがさらに上品に、
この上ないほどの明瞭な発声でさらっと歌い上げています。

音声はYouTubeにアップロードされているのでそちらを観て頂くとして
(一時期、モノフォニックながらオリジナルカラオケもアップされていました)、
大雑把にですが私が採譜したスコアをご覧になってみて下さい。
楽譜を使わない方も、整然とした美しい音符の並びを楽しんで下さい
(良い曲は楽譜も美しいものです(^^)):
花の子ルンルンscore.jpg
(画像上クリックで大きく見られます)

重要なポイントは、調号が#一つのGメジャー(ト長調)で始まり、
やがて調号が♭2つのB♭メジャー(変ロ長調)に転調し、
♪私は花の子です♪ と歌われるサビで再びGメジャーに戻る事です。

転調が使われるのは、多くの場合は長調から短調へ、
また短調から長調へとガラッと雰囲気を変えるためなのですが、
この曲の場合は最初から最後まで長調であり、歌詞上では

・主人公について、そしてその行動の目的
・主人公が好む草花に対する思い

の2つで調が使い分けられているんですね。

ト長調から変ロ長調に移る時には気持ちが優しくなるような、
変ロ長調から再びト長調に戻る時には元気が出るような、
そのような効果も感じられるのがこの曲における転調の不思議なところです。


歌メロは目立つシンコペーション(裏打ちリズム)がなく、
♪私は花の子です 名前はルンルンです♪ とポイントをしっかり押さえた上で
童謡のように穏やかに、滑らかに進行していきますが、
転調の他に大きなポイントがもう2つあります。

一つ目は ♪どこかでひっそり咲いている♪ の「ている」に付けられた、
F#→G と進行するコード。
ロックなどではそのように半音下から持ち上げるような進行は時々耳にしますが
(ピンク・レディーの「渚のシンドバッド」のイントロもそうですね)、
歌謡曲やポップスで歌メロにそれが用いられ、このように品良く溶け込んでいるのは、
私は他に例を知りません。
確信はないのですが、恐らくクラシック音楽の手法なのではないでしょうか。

二つ目は、B♭メジャーからGメジャーに戻る際のコード進行で、
楽譜を見て頂くとわかるのですが、♪アカシアの~歩いて行きましょう♪ で
ベース音を滑らかに半音・全音ずつ高く移動させるクリシェになっていて、
コードもその場のフレーズに合うものが付けられています。
その音の流れを聴いていてもクラシック音楽の影響が感じられ、
小林亜星氏、さらには恐らく多くの往年の作家がクラシック音楽から学んだ
技術等を基礎として作品に生かしていた事が伺えます。

実際には歌メロが合わさると少々ぎこちなく聞こえるのも確かなのですが、
全体の印象はとても品よくまとまっているように感じられるんです。

♪花をさがして…♪ の「花を」のところでさりげなく Gaug(オーギュメント)
が使われコードの移行を滑らかにしている事も、
目立たないながらもポイントの一つかも知れません。

総合すると、アレンジ以前に曲自体が緻密な計算を重ねて作られている、
と言えると思います。


そして作詞は、それまでにも多数のヒット曲を世に送っていた千家和也氏。
「ひと夏の経験」「なみだの操」などを作った作詞家が「ルンルン」…
何だか面白いですね(^^)


サウンドについて

楽曲自体は明るい8ビートのポップスで、
使われている楽器は歌謡曲の定番とも言うべき

・ドラムス、ベースギター
・ストリングス
・エレキギター
・フルート
・ハープ
・電気ピアノ
・女性コーラス

等でそつなく、しかしのびのびと華麗に演奏されています。

アレンジは青木望氏で、氏の大きな特徴である流麗なストリングスが
この曲でも大いに生かされています。


作家と歌手について

あまりにも強いキャラクターで作曲家のイメージが希薄な小林亜星氏ですが、
先述のテレビアニメの主題歌の作曲、
1976年のレコード大賞受賞曲「北の宿から」(都はるみ)や
「ピンポンパン体操」と言った大ヒット曲の作曲、
さらにCMソング界でも活躍した大メロディーメーカーの一人です。

私以上の世代だと、弘田三枝子さんが歌った「レナウン」のCMソング
「ワンサカ娘」(作詞も担当)は特に忘れられませんよね(^^)


歌手の堀江美都子さんはアニメの主題歌を数多くこなしてきた、
隠れた大歌手ですね。
コアなファンも多く、その絶大な歌唱力、素直な声質と歌声から発散される清潔感、
どれをとっても一流です。

いきなり引き合いに出しては失礼かとも思うのですが、
つい最近、ツタヤで本を探していた時に流れてきた「妖怪ウォッチ」
か何かの主題歌を耳にした時、その加工されつくしたような歌でなく
堀江美都子さんのような歌声が自分の好きだったアニメの主題歌に使われていた、
それが本当に幸せだったように思ってしまいました(^^♪


最後に

私は子供の頃は病弱で、毎週のように病院に通っていました。
待合室には雑誌が置いてあり、大人が読む週刊誌と共に少女マンガの雑誌
「マーガレット」などが必ず置いてありましたが、私はそれが苦手で(^^;)
理髪店には「少年マガジン」や「少年サンデー」「少年ジャンプ」などがあるのに、
病院だとどこに行っても、マンガはあっても少女マンガばかりだった
ような記憶があります。

しかしテレビアニメの「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」などは、
確かに元々は少女マンガなのに、雑誌に対するような抵抗感は全くなく、
夕方、また夏休みや春休みなどになると午前にも放映されていた
再放送もしっかり観ていたものです。

「花の子ルンルン」は「サリー」などと較べると少女マンガ色が強いものの、
作りが丁寧で、現代でも楽しめるアニメだと思います(^^)


「花の子ルンルン」
作詞 : 千家和也
作曲 : 小林亜星
編曲 : 青木望
レコード会社 : コロムビア
初発売 : 1979年3月1日

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