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ひまわり娘 / 伊藤咲子

今さら感と季節的な時期尚早感は禁じえませんが(^_^;)

ひまわり娘.jpg

チャートアクションと作家について

「ひまわり娘」は伊藤咲子さんのデビュー曲として1974年4月に発売され、
オリコンチャート最高位20位(同年6月3日・10日付)、
同100位内に17週ランクインし11.7万枚の売り上げを記録しました。

日本テレビのオーディション番組「スター誕生!」出身の女性歌手で、
歌唱力勝負と言われた筆頭は岩崎宏美さんと思われがちですが、
伊藤咲子さんは岩崎宏美さんよりもちょうど1年早くデビューし、
その実力は大いに注目されたものでした。

当時のアイドル歌手のデビュー曲では初めて(でしょう)のロンドン録音、
作詞は阿久悠氏で作曲はイスラエルのデュオ、シュキ&アビバの片割れシュキ・レビ、
さらに編曲はビートルズの初期のアレンジャーの一人であるケン・ギブソン…と、
15歳の少女歌手に対しては破格と言って良い待遇だったんですね。


「ひまわり娘」がレコーディングされた1974年初頭は、
日本ではオイル・ショックを引きずり、
イギリスも不景気で喘いでいる時代でした。
そのためロンドンでは毎日定時間の停電があり、
「ひまわり娘」のレコーディングもそれを縫うように進められたそうです。

そのあたりについては、阿久悠氏の著書「夢を食った男たち~「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代」
に詳細に描かれているので、興味のある方はご一読をお勧めします。


楽曲について

「ひまわり娘」は唱歌のような明るい歌詞が大きなポイントですね(^^)
しかし明るいだけでは歌謡曲として成り立たないようで、
「もしもいつかあなたが 顔を見せなくなれば きっと枯れてしまうのでしょう…」
と、幸せだけども陰がないわけではない…と言った側面も備えています。

リズム・メロディ・ハーモニーについては、そのどれをとっても
「やはり文部省唱歌だ」と思われそうなストレートさが身上です。


リズムは8ビートながらロックっぽさはまるでなく淡々と進行するタイプで、
サビでは行進曲を彷彿とさせるようなドラムスのパターンが聴かれます。

歌メロにもオケにもシンコペーション(裏打ちリズム)がほとんど無いのが
珍しく、その分、小細工のない大らかさが感じられます。

また、歌メロは弱起で始まるフレーズがサビを含め終始続くパターンであり、
作曲に取り掛かる際に明確なコンセプトがあった事が伺えます。
今回も採譜しましたので、参考にどうぞ(画像上クリックで大きく見られらます):
ひまわり娘score.jpg
そんな楽曲が、声量が豊かで声域も広く安定した歌手によって歌われているので、
歌謡曲と言うよりも歌曲に近い雰囲気が感じられ、
好きな人は好きだがやや堅苦しい印象を与える嫌いがあり、
それが大ヒットには至らなかった要因の一つではと思われます。

因みに私はその「好きな人」の一人でしたし、
アイドル歌手の稚拙な(一般的にそう思われていました)歌唱力に辟易していた
当時の大人にも大いに受け入れられたようです。


調性はハ長調。 他調への転調はありません。

スケールの大きさが感じられるメロディーを生かそうと、
アレンジには音色の選択のユニークさと共に、
抑揚を大きくする事でよりドラマティックにする工夫が図られています。

イントロはワウの効果でエッジを丸くした電気ピアノとチェレスタで
消え入るほどの小さな音で始まり、
やがて歌が始まるとそれを支えるようにマリンバが演奏されます。

Bメロ(サビ)ではボーカルが二重唱になり、
オケには流麗なストリングスが加わり最高潮に達します。


コード進行もストレートで、複雑なコードは避けたようにも感じられます。
しかし ♪(白い夏の陽ざしを浴びて)こんなに開いたの♪ で、
コードが D7 であるのに「な」の音はE、即ち9thのテンションノートである事、
♪(そんな君が好きだと あなたは)ささやく♪ でのコード進行が
D7→A♭→G7 とやや変則的ながら実にメロディーに合ったスムーズなものである事など、
大らかに聞こえるが実は所々で細かい操作が施され、
より音楽性を高めている事がわかります。

私がちょっと不思議に思ったのは、♪そしていつも見つめてくれる あなた…♪
でのコード進行が C・C7・F・D7・C・G7…となっている点です。
ポップスの通例ではベースの流れを重視して C・C7・F・D7/F#・C/G・G7…
とコードを配するのが普通であり、
演奏する側としてもその方が滑らかで自然なはずなので、
そうしなかったのは何か意図があるのだろうか、と(^^;)


「ひまわり娘」は構成としては1ハーフとやや変則的で、
1コーラス目とハーフとで盛り上げ方を変えているなど、
従来の歌謡曲にあまり見られない、実験的な要素も見逃せません。

楽器の音色を含め、国内の録音とどこか違うサウンドが確かに感じられます。


歌唱について

伊藤咲子さんの歌唱は、当時15歳とは思えぬほどのスケールを持ち、
最低音Gから最高音Cまでの1オクターブ4度を安定した声量で、
高音域では地声でも歌える所を敢えてファルセットも使うきめ細かい表現も見られ、
当時のスタ誕の審査員だった三木たかし氏や中村泰士氏も大喜びしそうな、
確かな歌唱力だったんですね。


伊藤咲子さんの出現で、当時スタ誕の審査員の一人だった声楽家の松田トシ氏は、
まだ門下生ながら歌謡界入りを狙っていた
岩崎宏美さんへの歌唱指導を強化したのでは…などとも思えます(^^;)


使われている楽器について

オケに使われている楽器は、リズムを固めるドラムスとベースギター、
アコースティックギター、電気ピアノ、
雰囲気を高めるマリンバ、ハーモニーを厚く支えるストリングス、
彩りを加えるエレキギター(ワウ効果付き)と言った構成となっています。

さらに、インパクトのあるパンフルート音色のシンセサイザー、、
サビでベースとユニゾンで演奏されるチューバ音に似たシンセサイザーと
ほんの少しだけ登場するトランペット、
静かな部分での繊細なチェレスタ…と、
それぞれの楽器のテクニックよりも全体のイメージを構築する事を重視した
アレンジが感じられます。


この曲のオケ録りでは、アレンジャーのケン・ギブソンが「パンをくわえながら指揮棒を振った」
との記述が先述の阿久悠氏の著書にあるので、
リズムキープのためのクリックは使われなかったようですね。


先述のように中盤のサビでボーカルが一人二重唱となっていますが、
逆にサビでは単声、その前後の抑えて歌う部分では二重唱とする方が、
個人的には楽曲に合っている気がします(^^;)


付記

この3月16日、BS日テレの音楽番組「歌謡プレミアム」で伊藤咲子さんが特集されました。
「ひまわり娘」「きみ可愛いね」「木枯しの二人」…と、
主要なヒット曲を歌う伊藤咲子さんの歌唱は若い頃と全く同じキー、同じ声であり、
劣化を感じさせない素晴らしいものでした。
声を張ると少し鼻がつまったような、やや曖昧になるナ行の発音も昔のままでした(^^;)

懐かしい映像もふんだんに盛り込まれ、実に見応えのある番組でした。

私は昨年夏に生歌唱を聴く機会があったのでまだまだ歌える事はわかっていましたが、
資質に恵まれて歌手になった人とはこういう人なのだ、と思ったんです。

決して順風満帆な芸能生活ではなかったと思うのですが、
八神純子さんの復活具合と比肩できるほどの歌唱を改めて聴く事ができ、
こういった人たちが音楽界を変えていってほしい、と思わず願ってしまいました。


「ひまわり娘」
作詞 : 阿久悠
作曲 : シュキ・レビ
編曲 : ケン・ギブソン
レコード会社 : 東芝音楽工業
レコード番号 : TP-2998
初発売 : 1974年4月20日

久々に「オリカラでピアノ」…

ぽぽんたです。
いつも読んで下さってありがとうございます!


ここ数日ちょいと忙しくしてまして、
思うように記事が書けませんでしたm(__)m


今回は代わりに、10日ほど前に久しぶりに作った動画を
リンクしますので、良かったらご覧ください:

「天使のくちびる・オリカラでピアノ」
https://www.youtube.com/watch?v=H9XxsFbQUvg


次回は…つい最近、BSの「歌謡プレミアム」を観ていて
昔とあまりに歌声に変わりがなく驚いてしまった、そんな歌手の
デビュー曲を予定してます(^^)

季節が微妙に前後しています。
どうか皆さま、風邪などひかぬよう気を付けて下さいね。

ではでは、よろしくです!(^^)/

夢色のスプーン / 飯島真理

予定を変更して今回も楽曲レビュー、いきます(^^)

夢色のスプーン.jpg夢色のスプーン2.jpg

「夢色のスプーン」は1983年から翌年にかけてNHKで放映されたアニメの
「スプーンおばさん」の主題歌で、飯島真理さんの実質的なデビューシングルとされています。

私は当時そのアニメは観られる時には必ず観ていて、アニメの内容そのものよりも
主題歌とエンディングテーマ(「リンゴの森の子猫たち」)のサウンドが
とても好きで、それを楽しみに観ていた気がします。

「スプーンおばさん」は先月(2015年2月)まで、TOKYO MXテレビで
リバイバル放映されていました。

残念ながらオリコン100位内にランクインはしませんでしたが、
作詞:松本隆、作曲:筒美京平のコンビの作品であり、
その質の高さは一聴すればわかります(^^)

YouTubeに「リンゴの…」共々アップロードされていますので、
未聴の方はぜひぜひ、聴いてみて下さい。

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メロディーと歌詞の関係にどこか「木綿のハンカチーフ」の肌触りが感じられるので、
詞先で書かれた事は恐らく間違いないでしょう。

リズムはシンプルな8ビート。
キーは F(ヘ長調)で、転調は特にありません。

この曲では、歌メロとそれにつけられたコード進行の繊細さが空前絶後です。
今回も楽譜にしてみましたので、それを参照して下さい
(画像上クリックで大きく見られます):
夢色のスプーン-.jpg

私が特に繊細さを感じるのは ♪でも誰か知りませんか 幸せと不幸せ かきまぜる…♪
の下りです。
「誰か」の「か」、「かきまぜる」の音使いに注目してみて下さい。

そこのコード進行は、普通だと A7→Dm→Gm→B♭m6→G7→C7… でいいはずなのですが、
この曲では楽譜のように A7sus4→C#dim/A→A7→Dm… と微妙に空気を揺らすような進行のあと、
G7の代わりに Bm7-5 を介して次のメロディーにつながるV7の和音に渡しているんです。

それはコード進行が先に決められ、それに合わせたメロディーとも考えられるのですが、
わざとらしさがなくさりげない作りでありながら耳に残る、
筒美氏がヒットを生み出すための仕掛けの一端が伺えるような作りです。


その次に耳を惹くのが ♪夢色の小さなスプーン♪♪あの人にあの人にあげたいの♪
のそれぞれの次に来る小節で、
前者では F7、後者では D7 にストレートに移るのではなく、
それぞれ直前にCm7 が挿入されてそれらをさりげなく引き立てていますし、
何とも品の良い響きとなって伝わってきます。

その操作については作曲の時にされたのか、アレンジの段階でのアイディアなのかは不明ですが、
まさに適所での音使いであり、私にはクラシックやジャズに造詣の深い作家ならではと思えます。

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そういった音の操作、そして飯島真理さんの清潔感のある歌声の相乗効果で、
楽曲全体が上品なメルヘンの雰囲気を持つものに仕上がっていますね(^^)

飯島真理さんの歌唱はその独特の声質が印象的ですが、
高音域ではファルセットとなっているのに、
地声からファルセットへの移行がシームレスと言えるほど滑らかで、
聴く側にもストレスを感じさせない優れた歌唱法と思います。

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「夢色のスプーン」、そしてそのB面で「スプーンおばさん」のEDである「リンゴの森の子猫たち」。
私がそれらを好む最大の理由が、ストリングスが大活躍するアレンジなんです(^^)

劇中の音楽は、桜田淳子さんやアグネス・チャンさん、はたまたビューティ・ペア等の
作品の作曲や編曲で知られるあかのたちお氏なのですが、
OPとEDのアレンジは小泉今日子さんの「半分少女」や徳永英明さんの「輝きながら…」等の
アレンジで知られる川村栄二氏です。

氏のストリングスのアレンジは繊細なのにスケールが大きく、そのあたりが
筒美氏の意向に合っていたための起用ではと思われます。

特に「リンゴの森の子猫たち」での大編成を感じさせるストリングスは圧巻です(^^)


そしてリズム隊、ストリングス等の生音を引き立てるようなシンセサイザーの使い方。

当時のオケ作りはミュージシャンの演奏による生音が基本であり、
シンセサイザーは効果音的に使われる事が多かったのですが、
1980年代に入ると、それまで時にわざとらしさを感じたシンセの使い方が変化し、
生音にきれいに溶け込むような音が多用されるようになりました。

そのバランスがうまく確立していたのが1983年前後であるように思います。
それ以後は次第に所謂「打ち込み」が幅をきかせるようになっていくのですが…。

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オケで使われている楽器は:

・ドラムス、ベースギター
・パーカッション類(トライアングル、コンガ、タンバリン等)
・ストリングス(チェロ、ビオラ、バイオリン)
・キーボード類(ピアノ、電気ピアノ、シンセサイザー)
・アコースティックギター、ハープ

速めのテンポで切れの良いリズムが支える、
キーボードとストリングスが中心のハーモニー重視の構成です。

ポップスには珍しく、エレキギターが使われていないのが新鮮です(^^)

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一聴して「多くのミュージシャンを使って豪華な音だ」と感じさせる音楽は、
当時の他のアニメにも多く存在します。

その中で、私のお薦めとしてストリングス好きにはたまらないのが、
「まんが・はじめて物語」(TBS)で1981年~1983年にOPとして使われていた
「?謎なぞアイランド」(唄:岡まゆみ)です。

なぞなぞアイランド.jpg

岡まゆみさんの、今で言うヘタウマの歌唱も楽しいのですが、
まるで交響曲のように壮大なアレンジが素晴らしい1曲です。
この曲はあの「さとうきび畑」の作者である寺島尚彦氏による作曲・編曲で、
歌メロや全体の構成にもひとひねりもふたひねりも感じられる、隠れた名曲ではと(^^)
(YouTubeにもアップされていないようなので、音源を貼ります)

「?謎なぞアイランド」のB面で、モグタンの声優だった津賀有子さんが歌う
「モグタン・マーチ」(同番組ED)は「?謎なぞアイランド」とは全く趣の違う、
しかし同じ寺島尚彦氏によるスイングジャズ風の佳曲で、
こちらはその曲調はもとより、津賀有子さんのハリのある声とまっすぐな歌唱が
とても魅力的です。


「まんが・○○物語」シリーズでは他にもシュガー、松居直美さん、倉沢敦美さん等の歌で
OPとEDが作られましたが、ヒットに至った曲はありませんでした。
しかしそのどれもが隠れたままにしておくには惜しい作品ばかりで、
ぜひまとめてCD化を希望するものであります。

(今回貼った音源は1週間後に削除します)


「夢色のスプーン」
作詞 : 松本隆
作曲 : 筒美京平
編曲 : 川村栄二
レコード会社 : ビクター
初発売 : 1983年4月5日

いとしのロビン・フッドさま / 榊原郁恵

この曲で「ロビンフットじゃなくてロビンフッドだったのか」と知った人もいるのでは(^^)

いとしのロビン・フッドさま.jpg

チャートアクション

「いとしのロビン・フッドさま」は榊原郁恵さんの5枚目のシングルとして1978年1月に発売され、
オリコン最高18位(同年2月27日付)、同100位内に17週ランクされ15.3万枚を売り上げました。

榊原郁恵さんのシングルは、オリコンの100位内に30枚以上登場しているのですが、
「夏のお嬢さん」(1978年)の11位が最高位でした。


この時代は売れ線がピンク・レディーやキャンディーズ、山口百恵さんと言った超アイドル、
または演歌かニューミュージックであり、
デビュー間もないアイドル歌手のレコードが大売れする事はあまりありませんでした。
石野真子さん等もそうですね。


榊原郁恵さんはアイドルとして売れっ子であり、
雑誌やテレビでその姿を見ない日は無いほどでしたし、歌番組の出演も多かったのですが、
それが直接レコードの売れ行きに反映する事はなかったようです。

この曲や「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」、
「めざめのカーニバル」「夏のお嬢さん」等がレコードの売れ行きに反するほどの
知名度があるのは、メディアへの露出が多かった証拠ですね。

しかし今改めて当時の曲を聴いてみると、その質の高さに驚きます。
プロの手による手堅い歌詞とメロディー、それらを最大限に盛り上げる
アレンジと一流ミュージシャンによる演奏、そして優秀な録音を礎に、
低音域ではなだめるような優しさを醸し出し、高音域では元気よく張り出す
榊原郁恵さんの若い歌唱はメリハリ十分でリズムの乗り方も申し分なく、
その声質そのものにも大きな魅力が感じられます。

個人的に、私が榊原郁恵さんを意識し始めたのは3枚目のシングル「わがまま金曜日」で、
恐らく「ぎんざNOW!」あたりによく出演して歌っていたからでは、と思うのですが、
♪わがまま わがまま放題 し放題…♪ の部分がものすごく唐突なメロディーで、
耳にしっかりと残ってしまったようです(^^;)


楽曲について

まず藤公之介氏による、前作から引き継いた有名人シリーズと言える歌詞が斬新です(^^)
藤氏は同じ時期に野口五郎さんの「愛よ甦れ」を作詞した事でも知られています。


作曲・編曲は馬飼野康二氏。
ロビン・フッドはイギリス人のはずなのに、サウンドが西部劇のイメージなのが面白いですね(^^)

ドラムスのタムとピチカート奏法のストリングスで始まるイントロがユニークで、
何だかワクワクしてきます(^^)

大まかなメロ譜を作成したのでご参照を:
いとしのロビン・フッドさま(melody).jpg
(画像上クリックで大きく見られます)

1コーラスを大きく分けると ♪あなたに夢中なの…♪♪青い青いリンゴが…♪
♪私のロビン・フッドさま…♪ と3部に分ける事ができますが、
それぞれに全く違うキャッチーなメロディーが組み込まれ、一度聴くだけで強い印象が残ります。

一つの大サビに向かって盛り上げてゆく作りと違い、
曲全体の印象が散漫になる可能性もある構成ですが、
楽曲が知られるに従い「あのフレーズもこの曲だったのか」とお得感(?)が増していく作りであり、
筒美京平氏の作風にも通じるものと言えます。

そこにアーチェリーがリリースし当たる音、バンジョーの軽やかな演奏が立体感を与えて、
ショートムービーを観ているような楽しさが伝わってきます。


当時は歌謡曲にもバンジョーやシタール、ダルシマーなどの民族楽器がよく使われましたが、
この時代にはまだサンプラーのような便利な装置は一般的ではなかったので、
その音が必要な場合は当然ながら専門の演奏家を呼ぶ必要がありました
(ギタリストで「バンジョーもできるよ~」と参加する人もいたようです)。


リズムはややテンポの速い8ビート。
キーは B♭メジャー(変ロ長調)で、転調はありません。
歌メロの音域は下の B♭から上の C までの1オクターブと1度と狭いのですが、
音の動きが細かく、正確に歌う事は意外と難しいと思われます。

コード進行はオーソドックスで、Cメロの ♪どこを旅しているのです♪ で
ベース音下降形のクリシェが使われている以外はわかりやすい動きと言えます。


アレンジと楽器

使われている楽器は:

・ベースギター、ドラムス(中央)
・ストリングス(左右)
・ハープ(右)
・エレキギター(中央)…歌メロのオブリガートと間奏のメロディーを担当
・女性コーラス(左右)

…で構成されるベーシックトラックに

・バンジョー(中央)
・コルネット(中央)…イントロとコーダでメロディーを担当

が乗っているもので、構成としてはシンプルそのものです。

さらにBメロに入る際に本物と思しきアーチェリーのSEが使われています。
これはSEとして保存されている既存の音源か、新たに録り下ろししたものかは不明ですが、
とてもリアルでドキッとしてしまいますね(^_^;)


終わりに

当時、ホリプロは前年に「津軽海峡・冬景色」でやっと大ヒットに恵まれた石川さゆりさん、
すでに大スターの座にあった山口百恵さん等、
売れっ子を多く抱えて絶好調だったんですね。

そこに第1回スカウトキャラバンで優勝した榊原郁恵さんが加わったわけですが、
「私の先生」でデビューした当時にチラッとテレビで観た時、私は
「何だか地味で売れそうにないな」
などと思ってしまったものでした。 郁恵さん、ごめんなさいm(_ _)m

しかししばらくして、先述のように「わがまま金曜日」で改めて意識するようになり、
その年の夏に「夏のお嬢さん」をヒットさせた頃には、私が感じた第一印象に反し
大変な人気になっていました。

健康的なぽっちゃり型でいつも明るく、しかしそこには他のタレントに感じるような無理もなく、
高校生だった私にはどこかホッとする存在でした。


レコードの売り上げが人気になかなか直結せず、作家を頻繁に変える事で
次々に新しい試みで楽曲を制作したのだろうと思われるのですが、
その分、今聴いても楽しめる楽曲が多く残されています。

私は勢いを感じる「Do it BANG BANG」が一番好きかな(^^)


「いとしのロビン・フッドさま」
作詞 : 藤公之介
作曲 : 馬飼野康二
編曲 : 馬飼野康二
レコード会社 : コロムビア
初発売 : 1978年1月1日

ソウル・トレインのテーマ

3月一回目の更新はどの曲について書こうか、とずっと考えていたのですが、
この時期は候補曲があまりに多く、絞り切らないうちに今日になってしまいました(T_T)

で今回は予定を急きょ変更しました。
楽曲解説ではないのですが、良かったらお付き合いを…。


このブログにもかなり頻繁に出てくる「マルチトラック」なる言葉。
要は楽器・セクションごとに分けられたテープ上の録音帯(=トラック)の事でして、
それら全部(一部の時もあります)を使ったミックス作業により
ステレオ音源に組み上げて我々が普通に聴ける状態になっているわけです。

なので、楽器別になっている状態を聴けるのは通常はその録音に関わった人だけであり、
一般にはそれを聴く機会は全くと言って良いほどありません。


私は幸運な事に最近、ある方のご厚意で海外の有名曲の、
オリジナルのマルチトラック音源を提供して頂き、
アレンジのチェックをしたりミックス作業の練習などをしています。

そこで今回は、先月8日にアップした「DAWとは何ぞや?」で紹介した
「TSOP(The Sound Of Philadelphia)」の各トラックをちょっとだけ使い、
マルチトラックテープって元々はこんな感じで録音されている!
とご紹介したいと思います(あくまでも一例です)。


この曲「TSOP(The Sound Of Philadelphia)」は、
1974年にアメリカのソウルグループMFSB(Mother Father Sister Brother)が放った
大ヒット(ビルボードで第1位)で、日本でも「ソウル・トレインのテーマ」としてヒットしました。
soul train.jpg
1.ドラムス、パーカッション …2トラックに分けて収録されているうちの1本。

2.ベースギター …ダイレクトボックス(インピーダンス変換器)を通してライン録りしているものと思われる。

3.ギター1 …オートワウがかかっている。

4.ギター2 …オクターブ奏法。
オクターバー(音を入力すると1オクターブ下の音が発生するエフェクター)が使用されている?

5.キーボード、ビブラフォン …左に電気ピアノ(Rhodes)、中央にビブラフォン、右にハモンドオルガン。

6.ホーン、ストリングス …冒頭にエンジニアらしき声が入っている事に注目(注耳?)!

7.ボーカル …スリー・ディグリーズによるコーラス。

*1、5、6はいくつかのトラックがミックスされています。

それらを適当にミックスすると…

ちょっと手の込んだミックスを先述の「DAWとは何ぞや?」の記事に貼ってありますので、
市販されている音源をお持ちの方は聴き比べてみて下さい:
http://orikarapoponta.blog.so-net.ne.jp/2015-02-08


海外、特に欧米ではこうしたオリジナルのマルチトラックテープは
その創世記前後の曲から保存されている事が多いのですが、
日本ではテープの価格が高かった事もあり、マルチトラック録音が始まってしばらくは
テープはミックスが終わると使い回しされる事が多かったので、残っている曲が少ないようです。

しかし山口百恵さんの楽曲などはデビュー曲からマルチが残っているそうですし、
キャンディーズも「危い土曜日」が2008年に再ミックスされたところを見ると多くが残っているようです。
そのいずれもソニー(当時はCBSソニー)ですが、
その保存状況はレーベルによって違いが大きいようです。

このようなマルチ音源があれば、ボーカルだけを出さなければカラオケになりますし、
任意の楽器の音を変えたりなど、色々と楽しむ事ができます
(DAWソフトとそれを操作する技術は必要となりますが)。


日本でも、1970年代あたりの楽曲からマルチが残っているものはどんどん開放してもらって、
自由に利用させてもらえるようになってほしいものです。
(でも難しいかなぁ…(-_-;))


次回は楽曲解説に戻りますので、またよろしくです(^^)/

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