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耳(と命)は大切に…

実は私は耳鳴り持ちでして(^^;)

5年前に突発性難聴を左耳に患いましたが、どうもそれ以後であるような…。

私の場合は非常に高い音(恐らく8KHzくらいだと思います)が持続するもので、
全く鳴らない日もあれば、数日ずっと鳴りっぱなしの事もあります。

それまで鳴らなかったのに、うたた寝をすると急に鳴りだす事もあります。
邪魔な音なので、ここ数年は少し悩んでました。


でも最近、ちょっとだけ光明が見えてきたんですよ。

耳鳴りに関する最近の研究を自分に都合の良いように解釈すると(^^;)、
どうも音楽をよく聴くようにすると改善する事があるようなんです。

要は、音を受けてそれを脳に送る経路は使わないと劣化するようで、
それは特に高い周波数の音に関して顕著らしいんです。
そして脳が、その劣化した経路から高い音を受け取るための感度を上げ、
それが脳の血流をより敏感にキャッチしてしまうと、
私が感じるような高い音が持続する耳鳴りとなるらしいのです。

なので、意識的に高い周波数を多く含む音楽などを日常的に聴くようにすると、
劣化していた経路が徐々に復活し、脳の方の感度も落ち着いて
耳鳴りも収まってくる…ようなんです。


そう言えば、突発性難聴(幸いこれは完治してます)を患った後、
耳に気を遣いすぎてか、明らかに音楽を聴く時間が少なくなっていたなぁ…
と改めて思った次第でして。

最近、より高い周波数まで再生できるハイレゾに興味を増したのも、
その事に強く関係しています。


音楽を聴いているうちに耳鳴りが治れば一石二鳥だ~(^◇^)


最近、先々週記事にしたCDプレーヤーで一日1時間ほど音楽を聴いているのですが、
確かに耳鳴りがする日が減って来たような感じなんです。
まだ検証不足で「たまたま」の域を抜けてない(実際、今も鳴ってるし…)のですが、
徐々に治っていってくれれば、と小さな期待をしているところです。

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ところで、「これは絶対にダメだ」と思う事の一つに、
イヤホンで何か(多分音楽でしょう)を聴きながら自転車を運転している人を、
本当に多く見かける事があります。

条例か何かでそれを禁じている場合もありますが、
今はまだ野放し状態なんですね。

そんな条例の中には「片耳ならば良い」と言うものもあります。
私はそれを何かで聞いた時、

「バカか」

と思いました。

イヤホンにはその形状にいくつか種類がありますが、
現在主流なのはカナル型と言って、耳栓のように耳孔に突っ込むタイプです。
これを使うと、外部の音はほぼ、聞こえなくなります。

自転車の運転の時に使われているイヤホンがカナル型とは限らず、
オープンエア型の、外部の音も聞こえるタイプも多く使われていると思いますが、
いずれにしろとても危険です。

安全に運転するには周りの状況音をキャッチする事が大切なのに、
音楽など聴きながらだと無意識に音楽の方に神経が集中する事もあるからです。

ましてや片耳だけイヤホンをしていると、もし事故につながるような音がしても、
その方向がわからなくなります。
それは両耳にイヤホンを着けている時よりむしろ危険と言えるでしょう。
「片耳だけなら良い」なんて、何を考えてるんだろう。


相変わらず携帯電話で通話しながら車を運転する人も多いし、
ヘタすると自転車をこぎながらメールを打っていたり…
そういった人を見かけるたび「アンタそんなに運転がうまいのかよ」
と毒づきたくなります。

大抵の人間は、同時に複数の事に同じように神経を配分する事などできません。
一つに集中すれば、必ず他方がおろそかになる。
「ながら運転」の末に負傷したりしても、その人は自業自得としても、
全く関係ない人を巻き込む事が多いのが現実です。

個人的には、例えば自転車の左側通行を徹底させるのは相当困難と思いますが、
自転車にしろ自動車にしろ、「ながら運転」は無くなるよう、
個人・行政共にもっと努力するべきだと思います。
…かく言う自分も「空想しながら運転」は控えないと(^^;)


このブログの趣旨とは著しくシフトしてしまいましたが、結論!
音楽は安心して楽しめる状況下で楽しみましょう(^^)/


ぽぽんた警察

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霧のめぐり逢い / 岩崎宏美

「ロマンス」から1年…同じ「あなた」始まりの曲です:

感傷時代.jpg

チャートアクション等

「霧のめぐり逢い」は岩崎宏美さんの6枚目のシングルとして1976年8月に発売され、
オリコン最高4位(同年8月23・30日付)、同100位内に15週ランクインし
23.4万枚の売り上げを記録しています。

デビュー曲から前作「未来」まで単語タイトルが続き、それから脱出した初のシングルです。
また、オリジナル・アルバムに収録されない初めてのシングルでもあります。

1976年に発売された岩崎宏美さん著「この指とまれ、愛」に、
この曲のレコーディングで筒美京平氏に初めてダメ出しされて悩んだ事が綴られています。
…と、その事についてはその本が私の手元にあるわけではなく、
読んだのが30年以上前なので、記憶が曖昧です。
その本を持っている方、おられましたらそのあたりの記述をお知らせ下さいm(__)m


作家について

「ロマンス」~前作同様、作詞が阿久悠氏、作・編曲が筒美京平氏のコンビの作品です。


作品について

歌詞では♪もうあなたの私よ もう私のあなたよ♪が、前作「未来」での
♪ああ私の未来はあなたと同じ あああなたの未来は私と同じ♪ と発想が似ていますし、
曲調も前作まで同様のディスコ歌謡を踏襲したものとなっています。

その曲作り・サウンド作りについては、聴くほどに力の入った作品であると感じます。
そのあたりは次からちょっと詳しく書きますね。


楽曲について

全体の曲調はアップテンポで16ビートの忙しく動くオケに、8ビートのゆったりとした
メロディーを乗せる事でボーカルを浮き上がらせ、じっくりと聴かせるタイプと言えます。

キーは「ロマンス」と同じく Dm で始まりますが、間奏以後は半音上がって E♭m となります。
パターンとしては、同じ筒美氏作・編曲の「森を駈ける恋人たち」(麻丘めぐみ)と同じですね。

Aメロ: ♪あなたね やはりあなたなの 逢えたのね 夢じゃないのね ほんとに♪
Bメロ: ♪力がぬけていってしまうわ … よろめいたからだささえてね お願い♪
Cメロ: ♪もうあなたの私よ … はなれて生きるなんて駄目よ駄目よ できないわ♪
Dメロ: ♪あなたに逢えてよかったわ 一つだけ今はいわせてね しあわせ♪

コード進行は特に難しい箇所はありません。
哀愁系6thがさりげなく使われている(Bメロ♪…うれしさで…♪)のが
特に筒美氏らしいように思います。


アレンジはかなり凝りまくった、複雑なものとなっています。

クラビネット、エレキギター、アコースティックギターのそれぞれが違うパターンで
演奏する事により複雑なリズムを組み立て、
そこにストリングスキーボード(ソリーナでしょう)、本物のストリングス、
ホーンセクションが時にかわるがわる、時に合同で厚いハーモニーを構築しながら
歌メロを盛り上げにかかっている印象で、
録音も当時(1976年)に使えるテクニックをすべて動員したような音作りがされています。

特にAメロ等での、右から聞こえてくるアコギのカッティング。
そのスピードとパターンは、意識して聴いていると気が遠くなるほどの正確さで、
案外目立たないながらもこの曲を盛り上げる最も重要な音と言えます。

Cメロではアコギから替わり、左でエレキギターがコードをカッティングしています。


本物のストリングスとストリングスキーボードとの共演は、1978年にヒットした
筒美氏作・編曲の「たそがれマイ・ラブ」(大橋純子)、1977年にヒットした
馬飼野康二氏作・編曲の「愛のメモリー」(松崎しげる)でも聴く事ができます。
一般にストリングスキーボードは本物のストリングスが使えない時の代用
である事が多いのですが、「霧の…」「たそがれ…」「愛の…」のいずれも
そのような使い方ではなく、それ独特の音として扱っているんですね。


もう一つ重要なサウンドがシンガーズ・スリーによるバックコーラスで、
「ロマンス」「センチメンタル」「ファンタジー」のように
岩崎宏美さんのリードボーカルと絶妙に絡むのが聴き物です。


そしてさらにもう一つ、間奏も大きなポイントです。
デキシー風なホーンセクションにストリングスキーボードが重なり、
ディレイで左右に広げたエレキギターのソロが導かれます。

このギターのフレーズはアドリブのように聞こえますが、
採譜してみると四七抜き音階の、意外にキッチリとしたメロディーであり、
筒美氏が書き譜したものをギタリスト(この曲でも水谷公生さんかな)が
自分の解釈で味付けしたもののように、私には感じられます。

では、間奏のギターソロを採譜したものを…
(細かいチョーキング等は省略しています):
霧 ギターソロ.jpg
(画像上クリックで大きく見られます)

岩崎宏美さんの歌唱は、前作「未来」までよりも一歩大人っぽさを感じるものになっています。
その要因としてビブラートの周期が遅めに、振幅が大きめになってきた事が挙げられます。
変声期のためと思われる声質の変化も感じられ、それらはデビュー曲「二重唱(デュエット)」
での歌唱と比較すると如実にわかります。

この時期はシングル、アルバム共に歌メロの最高音が上の D♭(=C#)である曲が多く、
作曲もその音にポイントを置いていると思われます(この曲では2コーラス目の
♪駄目よ駄目よ♪、「未来」では ♪…白い部屋♪、次曲の「ドリーム」では
♪(このぼくが決めた人)ただひとりだけ♪ 等々…)。
それは、その音が当時の岩崎宏美さんが地声で余裕をもって出せる最高音であり、
音色にどこか切なさを伴っていた事によるものでしょう。


サウンドについて

マルチトラックレコーダーをフル活用した多層的な音作りで、
どの楽器も明瞭な音質で収録されています。

1コーラス目のAメロに続きストリングスキーボードの音が1オクターブずつ下がりながら
右→左→右と移動しますが、この音が収録されているのは1トラックであり、
ミックス時にそのように操作しているのでしょう。


シンガーズ・スリーによるコーラスは多重録音によってより多い人数感(6人分?)
に聞かせているようです。


間奏のギターソロは、左から原音、右から30ミリ秒ほど遅らせた音を出して
左右一杯に広がった感じを出しています。


付記

「霧のめぐり逢い」のシングル盤は、現在ではむしろB面の
「感傷時代」の方が人気があるようです(^^;)

「霧の…」は、当時人気・実力共に最高の評価を得ていた岩崎宏美さんに見合うべく、
曲作り・音作り共にとても手の込んだ、筒美氏渾身の1曲のはずなのですが、
往々にして制作側に力が入り過ぎているとセールスが伸びない事が多いもので、
この曲もそれまでのシングルと比較するともう一つと思える結果でした。
シンプルな「ロマンス」のような楽曲の方が、一般には受け入れられやすいもの
なのかも知れませんね。

因みに「感傷時代」は3年半余り前にすでにこのブログで採り上げていますので、
良かったらご参照のほどを…。
http://orikarapoponta.blog.so-net.ne.jp/2011-12-11


「霧のめぐり逢い」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : ビクター
レコード番号 : SV6038
初発売 : 1976年8月1日
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帰って来たCDプレーヤー

用事のついでに寄ってみた「ハードオフ」。 言わずと知れた、ブックオフ系列の
中古AV機器売買店です。
懐かしいアンプやデッキ、レコードプレーヤー、楽器、そしてLPレコードと、
店舗の規模にもよりますが、私はそこに入ればまあ、2時間は飽きずに見て回れます(^^)

先週、久しぶりに店内を見ていて、目に留まったのがソニーのCDプレーヤー、CDP-S35。
1995年に発売された、いわゆるミニコンポサイズのCDプレーヤーです。

そこはジャンク製品の棚で、製品に直接貼られたシールを見てみると「音が出ません」
と書いてあり、付けられた値段は100円。 千円じゃないよ(^^;)

よく見ると外観はとてもきれい。 傷らしい傷はないし、出力端子も酸化してない。
そこで勘が働きました。 これは掘り出し物に違いない、と。
01 Front pannel.jpg02 Rear pannel.jpg
で、すぐさま購入しました。

上の2枚を含め、この記事に使った画像はすべて画像上クリックで大きく見られます。

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家に持ち帰り、早速試運転。
電源は普通に入るし、トレイもちゃんと出てきます。
CDを乗せ、トレイを閉じ、プレイボタンを押すと…うん。 確かに音は出ない。
と言うよりも、トレイ開閉以外のボタンが反応しません。

電源を切り、ボンネットを外してみました。
03 From top.jpg

そして内部をくまなく観察しました。 …う~ん。 わからない。
CDをトレイに入れて閉じても、CDが回転しません。

何度もよく観察しました。 何度も何度も… すると…あれ。 え? うっそ~!
やっば~い! ありえな~い!! と頭の中で女子高生のような感想を叫んでしまいました。

はい。 ここで問題です。
上の画像には、その「あり得ない」事態が明々白々に写っています。
それは一体、どこがどうなっているのでしょう?
(勿論、画像上クリックしてもらって大きい画像にしないとわかりません)




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答えです。
04 Flat cable out 1.jpg05 Flat cable out 2.jpg
そうです。 CDドライブから出ているフラットケーブルが、
基板上の受けコネクタに入っていないのです。

回路図がないので詳しくはわかりませんが、このフラットケーブルは
CDドライブからのコントロール信号や音声データを電子回路に渡しているのでしょう。
そんな事がわからなくても、ケーブルが外れているのが正しいわけ、ありませんよね(^^;)
で、ここは素直にそのケーブルを静かにコネクタに差しました。
06 Flat cable in.jpg

他にも変な箇所は無いかな?と改めてもう一度、内部を全体的に観察してから電源を入れ、
CDを入れてみました。
お。 CDがちゃんと回転して読み込んでいるぞ。
ディスプレイには総合曲数と総時間が表示された。
ヘッドホンをつなぎ、再生ボタンを押すと… うんうん。 良い音じゃあ~りませんか。
古い機器にありがちな、ボリュームのガリも皆無です。

一応ディスクの終わりまできちんと再生できる事を確認してから、電源を切って
ボンネットを取り付け、一件落着です。

で、今ではどのディスクを入れてもこんな具合にちゃんと再生してくれます。
07 After repair.jpg

リモコンが付属していなかったのが残念でしたが、私は以前にも書いた通り、
1988年に買ったソニーのCDプレーヤーを今も使っていて、
それ用のリモコンがCDP-S35でも全く問題なく使えたので、それでいいって事で(^^ゞ

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私がこのCDP-S35に目を留めたのは理由があるんです。
実は、かつて持っていたCDプレーヤーだったんですよ。

1997年頃に同機種を購入し、すでに持っていた同じシリーズのMDレコーダーMDS-S30と組んで
主にCDシングルのダビングに利用していました。

2003年に引っ越しする際、少しでも荷物を減らそうといくつものオーディオ製品を
ハードオフに売ってしまったのですが、その中にCDP-S35も入っていました。
CDプレーヤーは重量だけは超ド級と言えるソニーCDP-337ESDがありましたので、
それだけでいいや…と当時は割り切ったのです。

しかしその後、とても後悔していたんです。
小型で場所をとらず気軽に使えるし、何よりも音質が良かった。
その事を徐々に思い出して、でももう遅い…とあきらめていました。
でも本当はあきらめきれていない気持ちも、何となく感じていました。

なのでハードオフでCDP-S35を見つけ、とてもきれいなのに100円の値札が付いているのを見て、
もしかしてこれは僕があの時売ったプレーヤー?? こんな形で戻ってきてくれたのか???
と、それこそ「あり得ない」事を真剣に思ってしまったんです。
いい大人が…と思われるかも知れませんが、そのプレーヤーが私に見つけられて
「ただいま!」
と言ったような気がしたんです。

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不思議なんですよ。
肝心なケーブルが外れていたのだから「音が出ない」のは当然として、
前のオーナーがわざわざそのケーブルを外して、そのままハードオフに売り払ったのか
(このケーブルは、自然に抜けてしまう性質のものでは決してありません)、
そしてハードオフでは電源を入れてCDをセットし、不動を確認しただけで
内部をチェックしなかったのか…

そんないくつかの関門があったはずなのに、それをすり抜け私の手元にやって来た事に、
人間と機械の間にも縁は確かにあるんだ、と思わずにはいられない。

これが私がかつて売り払ったそのものである確証はありませんが、
そんな事をつくづく考えさせられた、CDP-S35との再会(と信じています)でした。


で、今夜もこのCDP-S35に愛用しているカナル型イヤホン(ソニーMDR-EX90SL)
をつなげ、「あの頃の」音楽を楽しんでます(^^)

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帰ってこいよ / 松村和子

今も立派に生き残っている名曲です(^^):

帰ってこいよphoto.jpg

チャートアクション

「帰ってこいよ」は松村和子さんのデビュー曲として1980年4月に発売され、
オリコン最高5位(同年12月15・22日、翌年1月12・19日付け)、
同100位内に43週もランクインし68.3万枚の売り上げを記録するロングヒットとなりました。

「帰ってこいよ」のように発売から最高位に達するまでに半年程度かそれ以上の
長い時間を要したヒット曲は、他には千昌夫さんの「星影のワルツ」、
平田隆夫とセルスターズ「悪魔がにくい」など数曲が知られていますが、
女性のピン歌手では唯一かも知れません。

松村和子さんはデビュー時には18歳。
松田聖子さんとほぼ同い年、ついでに私とも同級です(^^)


作家について

作詞は平山忠夫氏、作曲は一代のぼる氏、編曲は斉藤恒夫氏。

私は演歌はほとんど聴かないため、お三方とも馴染みが薄かったのですが、
特に斉藤氏は五木ひろしさんの「長良川艶歌」、都はるみさんの「大阪しぐれ」、
小林旭さんの「昔の名前で出ています」など、今も親しまれている楽曲の
アレンジで知られているんですね。


楽曲について

太棹(ふとざお)の三味線が終始リードするこの曲は、歌詞とメロディーは明らかに演歌、
サウンドは16ビートの和洋折衷ロックと言った趣で、
一度聴くと良きにつけ悪きにつけ強く印象に残ってしまうタイプの楽曲ですね。

それにさらに尺八も加わり、ややくどいながらも絶妙なコンビネーションを感じます。


歌詞は男女が逆転した「木綿のハンカチーフ」的な内容で、
女性は結局故郷(岩木山のある青森県でしょう)に戻ったのでしょうか(^^ゞ


特に歌謡ポップスなどはA、A'と言った具合に同じメロディーを繰り返す事が多いのですが、
「帰ってこいよ」ではリズムも音程も同じメロディーは1コーラス中に二度とは出てきません。
それは例えば「天城越え」(石川さゆり)などのいわゆる「ド演歌」などに散見される事で、
恐らく歌詞優先でメロディーをつけた結果なのでは、と推測できます。


キーは Cm で、イントロ・間奏等含めて平行調である E♭ と盛んに行ったり来たりの
進行であり、それもこの曲のインパクト増長に一役買っているようです。


アレンジは基本的には典型的な歌謡曲のそれなのですが、
先述のように三味線のインパクトが強烈で、イントロの♪ペン・ペンペペン…♪から
「何だ何だ??」と人を振り向かせる力を持っていますね(^^)

そしてその三味線は、全体を通してエレキギターに置き換えても
十分通用するようなフレーズを演奏しています。
特にイントロや間奏での旋律はブルーノートやテンションが使われ、
音楽的にもかなりアグレッシブなものである事がわかります。

歌メロの楽譜は前回に見て頂きましたので、今回は1回めの間奏での
三味線のフレーズを、コードと共にスコアに書き出してみますね。
この2~3小節目の音使いは、そこのコードに対してはかなり特殊です:
帰ってこいよ 三味線.jpg

しかし何よりも松村和子さんの、当時18歳のものとは思えない歌唱が素晴らしいですね。

民謡で鍛えた発声による美声はもとより、
この広い音域(下の G から上の E♭ までの1オクターブと短6度)を
すべて地声でこなしているのは空前絶後ですし、
安心して聴いていられるような安定感も、若手(当時)歌手の中で最高峰と思います。


サウンドについて

アレンジや全体の音作りは歌謡曲そのものなのですが、太棹の三味線を採り入れ、
それを大きく聴かせる事で独特の雰囲気を出しています。

前回「音を遅らせる」と題してディレイのお話をしましたが、その中の記述のように、
三味線の元音を左、30~40ミリ秒ほど遅らせた音を右から出して、
立体的なサウンドにしています。

三味線は象牙のバチで演奏しますが、弦を弾いた瞬間の音(アタック)が非常に鋭く、
その後に続く音がすぐに減衰するため、録音が難しい楽器の一つです。

そのような性質のため、普通にミックスすると他の楽器音に埋もれてアタック音のみ目立ち、
ただのノイズのようになって旋律の良さが損なわれる事があります。
それをカバーするため、ディレイを使って左右に広げ音を浮かせる事で、
存在感をアピールしているものと思われます。
実際、三味線を使った他の楽曲でも同じようなテクニックを利用しているものが多いようです。

また、三味線は純邦楽の楽器なので、この曲のようにフィーチャーするには
オーケストラで使用される西洋楽器との音律の違いも無視できないはずで、
アレンジ・録音にはその面の苦労もあると思われます。
実際、特に間奏では三味線の音程がやや高めに推移するのが感じられます。


使われている楽器とその定位は:

左: 三味線 ストリングス(Vn、Vla) エレキギター(コード) シェイカー トライアングル

中央: ドラムス ベース エレキギター(メロディー) シンセサイザー 尺八

右: 三味線(ディレイ音) ストリングス(Vc) アコースティックギター


付記

つくづく、1980年には松田聖子さんを筆頭に、河合奈保子さん、岩崎良美さん、
柏原よしえ(現・芳恵)さん等、それまで、あるいはそれ以後と一線引けるほど
歌唱力の高い女性歌手が多くデビューしたんだな、と感心してしまいます(^^)

そしてそういった歌手の楽曲はどれもクオリティが高く、
35年も経った今でも鑑賞したくなるものが多いんですね。

それはきっと歌手と楽曲の良さはもとより、バックで演奏するミュージシャンの
レベルの高い演奏、品質の高い録音で作られている事も大きいでしょう。

「帰ってこいよ」にしてもそれは全く同じで、
歌謡曲ではあまり使われない三味線や尺八など、現在ではサンプリング音源を
打ち込みデータで鳴らす事が普通である楽器もすべて生身の演奏であり、
音が生き生きとしていますよね。


やや話題の視点がズレますが…

このブログで数ヶ月前に記事にした「ハイレゾ」。
それを書いた時、私はまだまだ認識不足で、
その良さは経験してみないとリアルな事は書けない…と今では思っています。

これまでは既存音源、特に30~40年も前のアナログ音源をハイレゾでマスタリングし
配信しているものがほとんどでしたが、
今後は新曲もいきなりハイレゾ配信するものが増えてくるものと思われます。
でもそれらがサンプリング音の打ち込みばかりで作られていると、
ハイレゾにする意味がほとんどないんですよね。

ハイレゾが普及すればするほど、演奏は本物が求められると思うんです。
これまでは音楽をより高音質で聴くためにツールが発達してきましたが、
今度はそれとは逆に、
ハイレゾを生かすために新しい音楽も以前のようなレコーディングで作られる、
そんな風に変わっていくといいな…と期待しています。
そうなるならば、ハイレゾ普及は大賛成です。


話は変わりますが、
芸能界にはたまに「西内まりや」「森下千里」等々、意識的か否かはわかりませんが
既存の有名人にクリソツな芸名がつけられているタレントがいますよね。

松村和子さんのデビュー当時には松尾和子さんが現役だったので、
同じビクターレコード所属ですし、松尾さんが松村さんのポスターを見て
「あら、何この子」なんて言ってたかも知れませんね(^^)


「帰ってこいよ」
作詞 : 平山忠夫
作曲 : 一代のぼる
編曲 : 斉藤恒夫
レコード会社 : ビクター
レコード番号 : SV-6716
初発売 : 1980年4月21日

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