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まちぶせ / 石川ひとみ

最も成功したカバー曲の一つです:

まちぶせ.jpg

チャートアクション

「まちぶせ」は石川ひとみさんの11枚目のシングルとして1981年4月に発売され、
オリコン最高6位(同年8月31日・9月7日付)、同100位内に30週ランクインし
39.7万枚の売り上げを記録するヒットとなりました。

その約5年前に同じレコード会社から発売された三木聖子さんのデビュー曲のカバーで、
そちらはオリコン最高47位、6.9万枚の売り上げに留まっています。
しかしカバー曲の常なのか、現在では影響力が強かった石川ひとみver.よりも
オリジナルの方が崇拝されている傾向はありますね(^^;)


作家について

作詞・作曲は荒井由実(現・松任谷由実)さん、編曲は松任谷正隆氏で、
三木聖子ver.、石川ひとみver.と編曲者まで同じです。

この曲の歌詞は、荒井由実さんが三木聖子さんから実体験を聞き出したものを
ほとんどそのまま書いたものだそうです。
三木聖子さん自身がそう語っているのですから間違いないでしょう。
(「他の人がくれたラブレター見せたり」はしていないそうですが(^^;))


楽曲について

今回も主要なコード付きメロ譜を作成したので参照して下さい
(画像上クリックで大きく見られます)。
尚、歌詞は1コーラス目とハーフ部だけ書き込んであります:
まちぶせscore.jpg

全体の構成は2ハーフで、リズムは「ド・ドド」が基調の典型的な8ビートです。

キーは Am(イ短調)で(三木聖子ver.は G#m)、他調に渡る転調はありませんが、
平行調である Cメジャー(ハ長調)と行ったり来たりしていて、そのために
全体に明るいのか暗いのか曖昧な印象となっているのがこの曲の持ち味の一つです。
それは歌詞の内容を反映した策略的な作りであると思います。


循環コードか?と勘違いしそうなほど、Dm7→G7→CM7 のコード進行が多用されていて、
全体のイメージを固める事に貢献しているようです。
歌メロ部では特殊なコードは見られませんが、
ハーモニーの流れは歌謡曲にニューミュージックの作風を応用したものに感じられます。

また、これは編曲の範疇であると思いますが、
計3回出てくる ♪好きだったのよあなた 胸の奥でずっと♪で、
最後のハーフ部のそれのみに sus4 が挿入されている事に注目して下さい。
♪ずっと…♪ とボーカルがかすれ気味になる事との相乗効果で切なさが増しているんですね。


編曲について

全体の編曲は各楽器のフレーズに違いこそあれ三木聖子ver.を踏襲したものとなっていますが、
声質が三木聖子さんがやや太くてドライ、石川ひとみさんが高めでウェットなためか、
イントロや間奏などのフレーズやストリングス、チェンバロなどの使い方に
それぞれの声質を考慮したような違いが見られます。

三木聖子ver.では、ストリングスは低音域から高音域まで対等なバランスで使われていますが、
石川ひとみver.では低音域が張り出す部分は限られ、高音域に比重が置かれています。
その象徴が ♪好きだったのよあなた…♪ でのピチカート奏法のフレーズで、
三木聖子ver.はまずチェロ、そしてバイオリンも加わるのに対し、
石川ひとみver.ではバイオリン中心のフレーズとなっています。


チェンバロ(ハープシコード)の扱いは双方でかなり異なっています。
三木聖子ver.ではほぼ全体的に、中央バックでバロックのようにつつましく演奏されていますが、
石川ひとみver.では2台分使われ、一つはAメロでの裏メロ、
もう一つは8分音符でコードを刻んでいます。
そのコード演奏の方は目立たない音ですが、全体の雰囲気とハーモニー感強化に
大いに貢献しています。


バックコーラスは、三木聖子ver.が男性パート目立つ混声、
石川ひとみver.は女性コーラスとの違いがあります。


双方の最もわかりやすい違いは、エンディングが三木聖子ver.は呆気なくフェイドアウトし、
石川ひとみver.はかなり延々と続きながらフェイドアウトするところでしょう(^^)


全体のサウンドについて

私は以前から石川ひとみver.の「まちぶせ」が何かのサウンドに似ている…と思っていましたが、
今回、特にストリングスを重点的に聴いていてふと気づいたのが
「松田聖子の『一千一秒物語』に似てる」
と言う事でした。

そう意識して聴き直してみると、ストリングスはもとより、
チェンバロ、コーラス、鉄琴、カスタネットなどのそれぞれの音と使い方、
リバーブ(残響音)の多さ、そして楽曲自体のテンポまで、共通点がとても多いんですね。


「一千一秒物語」は1981年10月に発売されたアルバム「風立ちぬ」に収録された曲で、
作曲・大瀧詠一、編曲・多羅尾伴内(大瀧詠一氏の変名)とクレジットされていますが、
ストリングスのアレンジが松任谷正隆となっています。

松任谷氏は同年に大ヒットした大瀧詠一氏のアルバム「A LONG VACATION」でも
ストリングスのアレンジャーとして名を連ねていますし、
アルバム「風立ちぬ」も合わせ制作時期が近い事を考えると、
大瀧氏と何らかの情報交換があり、それが石川ひとみver.「まちぶせ」の
サウンド作りにつながった可能性もあるのでは…と、確証のない邪推をしてます(^^;)


付記

今回、改めて「まちぶせ」の三木聖子ver.もじっくり聴いてみました。
それが発売された1976年当時では、この曲調は少々新しすぎて売り上げとしては伸びなかった…
と思われるのですが、三木聖子さんの、やや懸命すぎるボーカルは何とも魅力があり、
サビでひっくり返りそうになる声に心を奪われた人も多いのではないでしょうか。

ただアレンジがやや詰め込み過ぎで整理されてない感じを受け、
総合的な完成度は石川ひとみver.の方が遥かに高いと思います。
勿論、松任谷氏にとって2度目である事、5年の間での機材や技術の進歩によるものも
限りなく大きいのでしょう。


私は個人的に三木聖子さんの「三枚の写真」がとても好きで、
松本隆氏による時系列的な構成の歌詞と切なさ満載のメロディーは、
歌謡曲やフォークの好きな人の誰にも受け入れられるものと思います。
そしてその曲の良さは、三木聖子さんのボーカルがあってのものであるとも思うんですね。

石川ひとみさんの「まちぶせ」に続くシングルが「三枚の写真」だったのは、
事情があったにせよその後の石川ひとみさんのキャリアにマイナスであった気がします。
同じレコード会社だからって、何も同じ歌手のカバーを続ける事はないのに…
それは、石川ひとみさんのイメージを落とす事はあっても、
良くするものでは決してなかったはずです。
恐らく、石川ひとみさんにとっても嬉しくはなかったのではないでしょうか。


石川ひとみさんは、貴重な歌手です。
現在56歳との事ですが、ライブでこそわかる表現力をまだまだ発揮できる力があるように、
実際に歌唱を観て感じました。
若い世代も含め、現役の女性歌手で、石川ひとみさんが今も「まちぶせ」でこなすように
地声でハイD(ハ長調のレ)まで音色も変えずに出せる人はまずいません。
声質もかつてのまま艶やかで、耳にやさしく入って来ます。
しかしそれだけで終わらず、つい聴き入ってしまうような説得力もあるんです。

石川ひとみさんは幼い頃に歌い始めたのがまず童謡だったそうで、
生まれつき歌心を持っていたかも知れませんね。

そのような心のこもった歌声が、広い世代にももっと知られてほしいと思います。


「まちぶせ」
作詞 : 荒井由実
作曲 : 荒井由実
編曲 : 松任谷正隆
レコード会社 : キャニオン(NAVレーベル)
レコード番号 : 7A-0071
初発売 : 1981年4月21日

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石川ひとみミニライブ &所信表明

一週間余り前になりますが、千葉市のイオン幕張新都心で
石川ひとみさんのミニライブがあるとの事で、観に行きました。

13時からと15時からの2回で、歌われた曲目は同じでした。
セットリストは…

<1> 夢番地一丁目
<2> あなたの心に
<3> もしもピアノが弾けたなら
<4> ともだちみつけた
<5> プリンプリン物語
<6> まちぶせ

「まちぶせ」は当然としても、1曲目に「夢番地一丁目」が歌われたのは
ちょっと驚きで「懐かしい!」と素直に思ってしまいました(^^)

最も新しいアルバムに収録されているカバー「あなたの心に」
「もしもピアノが弾けたなら」も石川ひとみさん独特の個性で耳に心地よく、
安心して聴く事ができました。

ただ本音を言うと、カバーよりは「くるみ割り人形」「オリーブの栞」
そして季節柄「秋が燃える」などを歌ってほしかったな、とは思いました。

4曲目の「ともだちみつけた」はNHK「みんなのうた」の楽曲だそうです。
「みんなのうた」と言えば、石川ひとみさんはずっと以前に「小犬のプルー」
を歌っていた事があり、オリジナルの本田路津子さんとはまた違うイメージで
心に残る歌唱を残しています。

私は石川ひとみさんの歌声を生で聴くのは初めてでしたが、
声質はほぼ若い頃のままで、音域も変わっていません。
「まちぶせ」でもオリジナルと同じキーで、ほんのわずかに最高音がきついかな、
とは感じましたが、声量も安定感も素晴らしいものでした。

2回目のライブで最後の「まちぶせ」で、終盤の ♪好きだったのよあなた…
あなたを振り向かせる♪ と歌っている時に、5~6mの距離でその間中
私と向かい合う感じだったので、ちょっと一人照れてしまいました(#^.^#)

残念だったのは、「まちぶせ」のオケが新録音であり、打ち込みっぽい
ややチープな音で、オリジナルのオケとは大きな差があった事です。

それはともかく、現在56歳とはとても思えない若々しいパフォーマンスで、
このような実力のある歌手の曲が当たり前のように流れてくるようになると、
聴き応えもあっていいだろうな…と思ってしまいました(^^)

…と言う事で、次回は「まちぶせ」について書かせて頂きたいと思います。


先日、これまで書いてきた記事の整理をしていたのですが、
ここ2年ほど、このブログの趣旨である楽曲分析記事がひどく少ない事に気づき、
「なんか違うな」と思いました。

ここしばらくはほぼ一週おきに本来の記事と随想とを交互に書いてきましたが
(休みも多かった!)、今後は初心に戻ってできる限り、毎回楽曲分析を
書いていこうと気持ちを新たにしました。

必ず毎週書くとはお約束できませんが、また皆さんに納得して頂ける記事を
書いていきたいと思いますので、これからもよろしくお願い致します!


ぽぽんた

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テープの復権! &難解クイズ(^^)

アナログオーディオが見直されているとの事で、いくつもの雑誌や、時にはテレビ番組でも
その様子が報じられたり、特集が組まれたりしています。

しかしそのどれもが アナログ=レコード 一辺倒だったんですね。

私も勿論、レコードは大好きでコレクションもありますし、今も聴いたりします。
しかし私の場合、オーディオについて知り始めて最も興味を持ったのはテープだったので、
レコードはこんなに採り上げられているのに、なぜテープを無視するんだろう…
と、ここ数年ずっと不満でした。

ところがここ半年ほどでちょっと、流れが変わってきたようです。

その象徴が、この7月に出版された「日本カセットテープ大全」(辰巳出版)なる単行本。
カセットテープに焦点を絞り、黎明期から現在までに市販されたカセットテープについて、
細かい考察と多くの写真が盛り込まれた、私からすると奇跡に近い一冊です。

また、雑誌「ステレオ」(音楽之友社)の今年9月号には何とオープンリールの特集が組まれ、
多くのページを使って仕組みから使いこなしまで詳しく書かれています。
画期的と言って良い記事で、レコードに続きテープも実は見直されていたんだ、
と確信するに十分なものがあります。


先述のように私はレコードも好きなテープ派であり、現在もデッキを数台所有しています。
その中で最もお気に入りのデッキが TEACのA-6010 です。
しばらく寝かせてあったのですが、久しぶりに稼働させてみたのがこの写真です(^^):
a6010&me.jpg
このデッキは発売されたのが1968年(昭和43年)、即ち47年も前です。
今もメカニズムには全く不安がなく、確実に動作してくれます。

発売時の価格は15万9千円。 大卒の初任給が4~5万円の時代ですから、
現在の貨幣価値では恐らく40万円から50万円にもなるはずです。
そんな高価な物ですから、メーカーとしては堅牢に作るのが当たり前だったのでしょうが、
それでも50年近く経っても確実に動作するのは素晴らしい事ですよね。


このブログを読んで下さっている方にも、きっとカセットテープを何百巻もお持ちだったり、
私のようにオープンリールに凝った事のある方もおられると思います。
確実に波はやってきているので(^^)、この機会にもう一度、テープに親しんでみるのは
如何でしょうか。

デッキは現行機種はわずか(オープンリールは皆無)ですが、中古ならば
ヤフオクで良さそうな機械を手に入れたりするのは可能ですし、機種は限られますが
徹底的にリカバリーしてくれる業者も存在します。

何をやっているか目に見えないデジタル機器とは違い、メカニズムがテープを動かし
そこから音楽が再生されていると実感する事を、かつての若者は勿論、
今の若い人達にもぜひ、(再)体験してほしいと思います。

****************************************

さて、お待ちかね(かな)のクイズです(≧◇≦)

今回はある女性歌手の楽曲のカラオケを逆転&倍速にしてあります。

ここまでしてしまうと、もう「この曲のような気がする…」と言った感じでしか
わからないのでは、とも思うのですが(私も答える側だときっと、そうです)、
頭の中のテープレコーダーを半速にしたり逆回転させてりして(?)、挑戦してみて下さい!

ヒントは…今の季節にぴったり、です。 って事で…。
このブログを読んでいて下さる方は大抵ご存知と思います(^^)

回答はコメント欄にお願い致しますm(__)m
どうしてもわからない時はこっちを聴いてみて下さい(9/18追加):


今回も頂いたコメントを「承認後表示」のモードにさせて頂きますので、ご了承下さい。
(解除しました)
答え合わせと頂いたコメントの一斉表示は今度の日曜(20日)の午後11時頃に行います。

尚、記事の更新はその翌日(21日)にします。 またイレギュラーですみませんm(__)m


それでは、お待ちしてます~(^^)/


追記(9/17 23:00)

この時刻までに回答を下さったコトブキさん、小がめらさん、モーリさん、
ありがとうございます!
正解の方がおられます! う~ん、すごい。
今回は音質にもやや難があり、かなり難しいと思います。
ご回答、まだまだお待ちしてます(^^)/


追記(9/18 23:35)

この時刻までに回答を下さったnuko222さん、ありがとうございます!

やはり逆回転+倍速だと難し過ぎますね(^^;)
そこで先ほど、逆回転でノーマル速度の音源を貼ったので、
参考にして下さい。
ただし!これまでのようにイントロまで行ってしまうと一気にバレる
可能性が高いので、途中までです。 イジワルですみませんm(__)m
では、楽しんでみて下さい!

****************************

では等速・正方向音源を…(ラジカセ音源ですのでモノです)

と言う事で正解は「哀愁のページ」(南沙織)でした。

回答を寄せて下さった皆様、ありがとうございました!

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さよならをもう一度 / 尾崎紀世彦

”さよならは愛の言葉さ…”
「また逢う日まで」に続き尾崎紀世彦が又々放つ大ヒット!!
(ジャケットに書かれたコピーです):

さよならをもう一度.jpg

チャートアクション

「さよならをもう一度」は尾崎紀世彦さんの3枚目のシングルとして1971年7月に発売され、
オリコン最高2位(同年9月6日~20日付、3週連続)、同100位内に27週ランクされ
44.4万枚の売り上げを記録するヒットとなりました。

その頃には小柳ルミ子さんのデビュー曲「わたしの城下町」が破竹の勢いで
シングルチャート首位を続けていて、その壁を破れなかったんですね。

売り上げ枚数としては「また逢う日まで」の約半分に留まりましたが、
100位内に半年以上ランクされたので大ヒットと判断して良いと思います(^^)


作家について

作詞は「また逢う日まで」に続き阿久悠氏。

作・編曲は川口真氏です。 筒美京平氏と思っていた人が意外と多いのではないかな?


歌詞について

全体としては前年の大ヒット「手紙」(由紀さおり)の男性版と言った感じで、
それでも「手紙」よりは希望の光が差しているような、明るいものとなっています。

♪いつか逢える きっと逢える さよならは愛の言葉さ♪ と対に思いついてしまうのが
同年10月に発売された天地真理さんの「水色の恋」で、
その中では ♪あの人にさよならを言わなかったの さよならはお別れのことばだから…♪
と、「さよなら」についてほぼ真逆と言える解釈が見られるのが面白いですね。


もう1点。

♪…声を出して 教えたいの♪♪愛をこめ いいたいの♪ と女性言葉が見られます。

「木綿のハンカチーフ」のような男女対話型ならば不思議でないのですが、
「さよならをもう一度」は明らかに終始男性側の歌詞なので、
メロディーに乗っている時はともかく、歌詞だけを読むとやはり不自然に感じます。

男性らしいイメージの尾崎紀世彦さんがそのような言葉を発する事のインパクト狙い、
あるいはこの曲が曲先であり、歌詞をはめ込む時にやむを得ず…のどちらかではないでしょうか。
あの阿久悠氏の作品なので、必ず何らかの理由があると思います(^^)


楽曲とアレンジについて

冒頭で ♪ラーラララ…♪ と歌い上げる形で始まるのはやはり、当時日本でも大人気だった
トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーディンク等の楽曲を意識しての事でしょう。

曲全体が3連のロッカバラードで、このような形態の楽曲は時にしつこさを感じるものですが、
アレンジの雄大さとカラフルさ、ボーカルのダイナミックさと繊細さが組み合わさり、
最後まで爽快で飽きの来ない仕上がりです。

豊かな声量で歌い上げられていますが、時々音を跳ね上げて表情に変化をつけています。
そのような唱法が完全にハマり、聴く人をそれとなくドキッとさせてしまう。
そんな男性歌手は尾崎紀世彦さんが唯一の存在かも知れませんね。

****************************************

キーはDメジャー(ニ長調)で、「また逢う日まで」と同じ。

ボーカルの音域は下のDから上のF#までで、これも「また逢う日まで」と同じ。

そして楽器の編成も、ドラムス・ストリングス・サックス中心のブラス隊・ピアノ…と、
やはり「また逢う日まで」にとても近いんです。
違うのはコーラスが女性である事(「また逢う日まで」にも女性コーラスver.が存在します)、
電子オルガンが加わっている事くらいで、そのために楽曲全体としては
「また逢う日まで」を明らかに踏襲したものとなっています。

もしかすると、この曲は最初に筒美氏に発注したものの何らかの理由で断られ、
代わりに守備範囲の極めて広い川口真氏に「また逢う日まで」を引き継ぐ作風で
とオファーが行った…事も考えられるのでは、と(^^;)

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歌部分のメロ譜を作成しましたので参照して下さい(画像上クリックで大きく見られます)
さよならをもう一度(メロ譜).jpg

「川口真の楽曲はまずベースに注目!」と言った暗黙の不文律があります(大げさか)。

「さよならをもう一度」では冒頭からそれが発揮されているんです。
♪ラーラララ…♪ はBメロ ♪このままいるとこわれそうな 二人だからはなれるのさ♪
と同じメロディーですが、
Bメロでのコード進行は Bm・F#m・G・D/F#・B7 ですが、
冒頭「ラララ…」では Bm・F#m/A・G・D/F#・B7 と、ベースラインをクリシェにしています。
そうする事でより大らかさが感じられます。

こういった操作は川口氏が担当した他の楽曲にも見られます。
例えば山口百恵さんの大ヒット作「いい日旅立ち」(川口氏は編曲のみですが)では、
♪雪解け間近の 北の空に向い♪ では B♭m・F7・B♭7・E♭m7 と進行しますが、
同じコーラス内での同じメロディーの ♪いい日旅立ち 夕焼けをさがしに♪ では
B♭m・F7/A・B♭7/A♭・E♭7/G と、ベースライン優先のコード進行に変えられ、
歌謡曲らしからぬ格調高い雰囲気を作り出しています。

その他にも、手法は違いこそあれ「ベースに大きな意味を持たせている」
と感じさせる楽曲が、川口氏には数多くあります。
今後も、それが判明するたびにお知らせすると思います(^^)


歌が終わり、最後の最後でストリングスが ♪さよならを…♪ と同じメロディーをキメるのは、
自身が作曲を手掛けているからこそのアイディアと思います(^^)


サウンドについて

わりと残響が少なく楽器音が近くに感じられる「また逢う日まで」とは異なり、
全体にライブな感じのする音作りです。

ストリングスを左、ブラスを右寄り、コーラスは中央とハーモニー関係を全体に広げ、
アコギやタンバリンが右、ピアノがやや左寄りからボーカルを支え、
ドラムスはステレオ収録で立体感を出し、
各コーラス終盤では電子オルガンがその独特の音で新鮮さを加味…と、
細かく計算されたと思われるサウンドが楽しめます。

そしてボーカルにかけられたフィードバックエコーが秀逸で、
ボーカルの表情のデリケートさを上手にふくらませています。
特に ♪(このままいるとこわれそうな)二人だから…♪ の「ふ」にかかった
エコーが何とも切ない響きに聞こえませんか(^^)

「また逢う日まで」の勢いを駆って作られたのは明白としても、
聴いていて感じられる大らかな爽快さはこの曲ならではの持ち味であり、
名曲と称されて不思議でない1曲と思います(^^)


付記

尾崎紀世彦さんが「また逢う日まで」で登場した時、多くの人は
「な、なに、この人!?」と思ったはずです。
日本人らしからぬルックスと声量。 それだけで十分に驚くに足るものでした。

当時、すでにコーラスグループのメンバー等の経歴を持ち、
28歳とソロデビューにはかなり遅い年齢でしたが、
そんな事はどうでも良くて、高い歌唱力はすぐに認知され、大人気となりました。

個性が強かった分、ヒット曲を量産するタイプではなかったようですが、
どのようなジャンルの曲も歌いこなす実力はいつまでも健在でした。

日本テレビ「夜もヒッパレ」でも新しい魅力を発揮していましたが、
中でもミスチルの「innocent world」を絶妙に歌い上げた回では大きな話題になったものです
(YouTubeにその音声がアップされているようです)。

現在の日本の音楽界に尾崎紀世彦さんに比肩できる歌手が全く見当たらないのは、
40年以上歌謡曲に親しんでいる者の一人として寂しい限りです。

しかしいつか、かつての尾崎紀世彦さんがそうであったように、
ある日突然誰もが「え、なに?」と驚く歌手が出現する事、待ってます(^^)



「さよならをもう一度」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 川口真
編曲 : 川口真
レコード会社 : フィリップス
レコード番号 : FS-1203
初発売 : 1971年7月25日

次回は来週水曜(9月16日)に更新致します。またよろしくです(^^)/

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水曜までに…m(__)m

ぽぽんたです。


季節の変わり目だからか、思い切り体調を乱してしまいまして(^^;)、
一日中床に伏せっておりました(>_<)

イレギュラーになってしまいますが、今週は水曜までに更新しますm(__)m

題材曲は、1971年にヒットした男性歌手の歌です。
英語に訳すと Goodbye Once More ってところでしょうか。

秋に入って1回目と言う事で気合を入れて書いていますので、
良かったらまたご覧になって下さい。


皆様も体調管理はしっかりなさって下さいね。
それでは近いうちに!

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