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別れてよかった / 小川知子

前回クイズの正解です:
別れてよかったジャケ.jpg

チャートアクション

「別れてよかった」は小川知子さんの15枚目のシングルとして1972年6月に発売され、
オリコンシングルチャート最高18位(同年9月25日付)、同100位内に25週ランクインし
18.9万枚の売り上げと、大ヒットではなかったもののロングセラーと言える成績を収め、
今も良く知られる1曲となっています。


楽曲について

1960年代後半から1970年代後半にかけて、日本ではポール・モーリア、フランス・ギャル、
ダニエル・リカーリ、ミッシェル・ポルナレフ、ダニエル・ジェラール等による
フレンチポップスが散発的にヒットし、「別れてよかった」のメロディーラインは
それらの流れを汲むような、それだけでドラマ性のあるような作りとなっています。

全体のサウンドは、管楽器をファンファーレ的にではなくメロディアスに使う事が
一つの特徴であるA&M(ハーブ・アルパート、カーペンターズ、イングランド・ダン&
ジョン・フォード等が所属していたレコード会社)の雰囲気を感じさせ、
そこに歌謡曲らしいストリングスの動きを加味したものと言えるでしょう。


作家について

作詞はなかにし礼氏、作・編曲は川口真氏のコンビネーションで作られています。

同コンビは1969年に「人形の家」(弘田三枝子)、1970年に「手紙」(由紀さおり)と、
いずれもヒットが途絶えていた歌手の起死回生的な大ヒット作品を生み出しています。

「別れてよかった」も1969年の「初恋のひと」のヒット以来、チャート上位に
しばらく食い込めていなかった小川知子さんへのテコ入れの意味合いがあったようで、
大袈裟なまでに歌い上げるタイプの歌唱法をファルセットを用いたささやき唱法に変え、
楽曲の持つイメージをふくらませた事がヒットにつながった大きな要因でした。

同時期の山本リンダさんの場合は真逆で、それまでの舌足らず発声ののど声歌唱を
腹式呼吸的な発声に変えた事が、ビジュアルの変化と相まって
「どうにもとまらない」のヒットにつながる大きなインパクトとなりました。

奇しくも「別れてよかった」と「どうにもとまらない」は全く同じ発売日なんですね(^^)


川口真氏による、歌唱法変更を伴う楽曲提供はさらに続き、
「別れてよかった」発売の半年あまり後に「他人の関係」(金井克子)、
そのさらに半年足らずで「浮世絵の街」(内田あかり)と立て続けに発表し、
いずれも現在も親しまれる有名曲となっています。

ただそれらのヒットは、楽曲の良さは勿論ですが、
大衆がそれまでの各歌手の歌唱を知っていたために、
その意外性が注目されたからこその結果、とも言えると思います。
そのためか、いずれも後が続かなかったのが残念です。


歌詞について

歌詞の内容は、男性と別れた女性の強がりが表現されたものです。
最後に出てくる「覚えかけの煙草」が、この女性の悲しみを象徴していますね。

細かく聴いてみると随所に工夫や計算が感じられる歌詞で、
特に譜割りに大きな神経が払われています。
そのため、「別れてよかった」は「人形の家」同様、曲先で作られていると思われます。

Aメロでは♪別れてよ/かったわ あなたみたいな人と 子供のこ/ろのよに 自由になったわ♪と、
1フレーズおきに小節にまたがっては次にキチンと一小節に収まったり、
何度も ♪…るわ~♪ と入れてまるで ♪ドゥワー…♪ とドゥーワップのように聞こえたりと、
歌詞が耳に残る部分をいくつも設けてあります。

Bメロ(この曲でのサビ部分)の後半に至っては、
♪買い物も 好きな町に行けるわ♪ ではなく ♪買い物も好きな 町に行けるわ♪、
♪気がむけば ひとり旅もできるわ♪ ではなく ♪気がむけばひとり 旅もできるわ♪
と歌詞がはめ込まれ、聴いた人が一瞬「?」と思う事がインパクトにつながっています。


メロディー・歌唱について

イントロと間奏に歌手本人によるスキャットが入る2コーラス構成です。

キーは Aマイナー(イ短調)で、転調等はありません。
コード進行はフォークソングのように単純なものですが、
Aメロ ♪子供の頃のように…♪、Cメロ ♪降り始めた雨が…♪ では
川口氏の作品の一つの特色である、格調高いベースの動きを感じる事ができます。

今回も楽譜を用意したので、参考にして下さい(画像上クリックで大きく開きます):
別れてよかったscore.jpg
歌メロはA~Cメロに分かれますが、そのどれもが強起、即ち休符を挟まずに
小節の頭からメロディーが始まる作りです。

歌唱は先述のようにファルセット(裏声)でのささやき(つぶやき、かな)唱法で、
終始二重唱となっており、Bメロではパートが分かれハーモニーになっています。
筒美京平氏が作・編曲した「美しく燃えて」「ごめんなさい」での歌唱とは
まるで別人のような歌声です。

ただ小川知子さん本人としてはこの歌い方ではストレスがたまるのか、
2コーラス目のBメロ ♪…手紙も書ける♪ では、
つい地声が出ちゃいました!と言った感じの節回しが聴けます(^^;)

2コーラス目では、最後の ♪だけよ♪ で「だ」を伸ばしているのは細かい演出ですね。


アレンジについて

楽器の構成としては歌謡曲の伴奏としてはごく普通で、珍しい楽器が使われていたりは
しないのですが、ポップス系統のオケでは珍しい点があります。

それは歌に寄り添うようにAメロとCメロではトランペット、Bメロではフルートが
歌メロを演奏している事、なんですね。

演歌だとたまに耳にするパターンですが、ポップス歌謡だとそれこそ昔の、
ガイドメロディー入りのオリジナルカラオケくらいしか存在しないはずです。

「別れてよかった」でのそれはガイドメロディーと言った位置付けではなく、
歌に寄り添う事で一つの音を作り上げる役目をしているものと思われます。
歌とはオクターブ違いなどではなく同じ音域で演奏しているので、
別人とのデュエットのようにも聴こえます。
別れで気持ちが弱くなっている女性を支えるようなイメージ、なのでしょうか。


またベースの演奏が聴きもので、AメロとCメロでは歌メロのすき間をサポートし、
Bメロでは思い切りドライブさせて自己主張をしているかのようです。


全体にクリーンな音色のエレキギターと管楽器系が目立つのですが、
左では控えめに、しかしベースと同じようにBメロでは自由に演奏しているような
電気ピアノが聴かれます。


イントロと間奏にシャララ~とスキャットが入り、その部分だけ
ボーカルにリバーブが深く掛かっているは印象的ですが、
今聴くとその効果がちょっとわざとらしさを感じますね(^^;)
2コーラス目ではそのリバーブ音が歌に入ると急に切れるのですが、
恐らくテープ編集した箇所なのでしょう。


エンディングの最後の音が長く伸ばされずに2拍半でピタッと終わるのも
珍しいパターンですね。


付記

小川知子さんのレコードのジャケット写真は、特に1970年前後のものは
まんま当時のファッション雑誌のモデルのようです。

当時は(言葉は悪いですが)ケバい化粧が流行していたようで、
弘田三枝子さんを筆頭に辺見マリさん、奥村チヨさん、ちあきなおみさん等大抵の歌手、
和田アキ子さんさえも、まるでキャバレーのホステスのような濃い化粧をしていたものです。
そうでなかったのは佐良直美さんや水前寺清子さんくらいではなかったかな(^_^;)

私個人としては、恐らく懐かしさが先に立っての事でしょうが、
当時のそのような化粧をした歌手・タレントの姿が決して嫌いではないんです。
何年か前に和田アキ子さんが雑誌の表紙の撮影か何かでそのようなメークをした時、
それをテレビで見た私の気持ちは懐かしさでいっぱいになりました。

当時はきっと、いかに大人っぽく見せるかが大きなポイントだったのでしょう。
これも全く個人的な意見ですが、現代のように実年齢に関係なく
「かわいい」と言われたがっている人を見るにつけ、
あの当時の方がある意味健全だったのかな、とも思ってしまいます。

音楽に関係ない話題で失礼しましたm(_ _)m



「別れてよかった」
作詞 : なかにし礼
作曲 : 川口真
編曲 : 川口真
レコード会社 : 東芝音楽工業
レコード番号 : TP-2677
初発売 : 1972年6月5日

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お詫びm(__)m でもクイズつき(^^)

ぽぽんたです。

今回の記事についてまだまだ勉強不足な点があるため、
一週間延期させて頂きますm(__)m

で、その曲目がクイズです。 ヒントはこの音で(「サウンドインナウ!」で放送されたカラオケ音源です):

ほんの一部分ですが、きっとわかる方が多いと思います。
ぜひ回答をコメント欄にお寄せ下さい!
他の方の回答が見えないように、久しぶりにコメント非表示モードを利用します。
頂いたコメントへのお返事は必ず書き、来週の日曜に一斉に表示させて頂きます。

貴重な音源を提供して下さったTYさんに、この場をお借りし心から感謝致します。

それでは、よろしくです(^^)/


追記: 現在(21日午後11時5分)までに回答・コメントを寄せて下さったnuko222さん、ゆうのすけさん、
   ゴロちゃん、wishy-washyさん、Massanさん、ありがとうございます! 読ませて頂いている
   のに表示できなくてごめんなさい。 皆さん、やはりわかってらっしゃる(^^)

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涙 / 井上順之

当時の雰囲気が伝わる楽しいジャケ写ですね(^^)

涙ジャケ写.jpg

チャートアクション等

「涙」は元スパイダースの井上順之(じゅんじ。現・井上順)さんがソロデビューし、
3枚目のシングルとして1972年1月に発売した楽曲で、
オリコンシングルチャート最高12位(同年2月21日~3月6日付、3週連続)、
同100位内に16週ランクインし15.7万枚の売り上げを記録しました。

私は当時人気のあった金曜夜の歌謡番組「ゴールデン歌謡速報」(フジテレビ)で
何週か10位付近にランクインしたのを憶えています(確か(^^;))。


作家について

作詞は阿久悠氏、作曲が都倉俊一氏と、後に山本リンダさんやフィンガー5、
ピンク・レディーで大成功を収めたコンビによる作品です。

同コンビは「涙」の前にも、同じ井上順之さんの「昨日・今日・明日」、
和田アキ子さんの「天使になれない」等のヒット曲がありました。

「涙」では、「昨日・今日・明日」と同じように編曲も都倉氏が担当しています。


楽曲について

歌メロは何となく「学生時代」(ペギー葉山)に似てるかな(^^ゞ

ごくオーソドックスな2コーラス構成で、イントロから歌メロの終わりまでを2回繰り返す、
都倉氏の作品で多く見られる作りです。

リズムはシンプルな8ビート。 ギターの裏打ち演奏がアクセントになっています。

イントロや間奏等のメロディーと歌メロが全くの別物で、
やや派手で流麗なバイオリン(ホーンもかぶっていますが)のフレーズに続いて
温かな声で穏やかに ♪こぼれちゃいけないと…♪ と歌い出す、
そのコントラスト(落差、かな)が印象的です。

歌メロはコードの構成音を逸脱しない、即ちテンションと呼ばれる音を殆ど使わない
わかりやすい音使いがされています。
その分、メロディーの美しさが素晴らしく、例えばピアノなどで歌メロだけを演奏しても
自然と和音まで感じとれるような豊かさが感じられます。

シンコペーションも必要最小限と言った感じで、そのあたりは作家の壁を超えて
堺正章さんのヒット曲「さらば恋人」「まごころ」「街の灯り」などとも共通しているのは、
タレントとしての親しみやすいイメージに重きを置かれているからかも知れませんね。


歌メロの音域は10度と決して広くはないのですが、メロディーラインの起伏が大きく、
また動きが器楽的なので、親しみやすいわりには歌いやすくはないようです。

例えば Bメロ ♪悲しみの時も 喜びの時も♪ ではそこのコードをアルペジオで弾く
ようなメロディーですし、
♪涙ってやつは♪ では音の飛び方が大きく、音程をしっかりつかまえないと
ただの音痴にしか聞こえなくなる危うさがあります(^^;)

今回も楽譜を作成したので参照して下さいね:(サムネイル上クリックで大きく見られます)
涙score.jpg

キーは Cマイナー(ハ短調)で、他調に渡る転調はありません。
コーダの最後が Cメジャーに転じて終わるのはよくあるパターンですね。

難しいテンションコードなどは一切なく、コード進行も流れ重視と思える
ごくオーソドックスなものです。

ただその中で注目して頂きたいのが、要所に登場する Fm7 の使い方です。
メロディーの流れからして、もし筒美京平氏ならば必ず Fm6 としたはずです。
6thを追加するとより当時の歌謡曲らしく、やや湿っぽい感じとなり、
よく筒美氏が発言するところの「日本人が好きな」響きとなります。

都倉氏はそこに6thの代わりに7thを入れ、その結果日本人からすると欧米風な、
やや曖昧で乾いた響きを得ています。
わずか半音の差なのですが、それほどの違いが出てくるんですね。

作家によるコードの選択の好みがわかる好例とも言えるでしょう。


アレンジについて

一聴してわかるようにストリングス、特にバイオリンを活躍させたアレンジで、
サビになるとピアノのアドリブのような演奏が絡んでくる、
やはり当時の都倉氏のアレンジによく聴かれるパターンですが、
そのメロディー自体がスリリングでインパクトが強く、
自身がバイオリンから音楽に親しむようになったと語る都倉氏の思い入れが感じられます。

ただ、派手なイントロ→やや地味な歌い出し→派手なサビ→イントロと同じ間奏…
と言った構成についてはパターン化している感が否めず、それが後の山本リンダさんの
イメージチェンジヒットやピンク・レディーのミリオンヒット曲などにも用いられているため、
イントロと間奏とが違うメロディー・アレンジである事が多い筒美京平氏と比較されてか、
一部の音楽ファンが都倉氏の作品を酷評している要因とも思えます。

しかしイントロや間奏でバイオリン隊とホーンがユニゾンで演奏されて新しい音が感じられる事、
ストリングスはチェロが担当する低音部にも印象に残るフレーズを演奏させている点
(♪…お前は出てくるの♪ に続くフレーズ等、ですね)など、
後の都倉サウンドでも生かされている手法が早くも聴かれるのが興味深いところです。


ボーカルサウンドについて

イントロなどで高音部の強いサウンドのため、歌に入ると急に沈み込むように感じられます。
そのままだと歌が目立たなくしまうからか、ボーカルはダブル(一人二重唱)で
ミックスされ声にハリを持たせています。

井上順之(順)さんの楽曲では殆どの曲でボーカルはダブルであり、
当時から「歌が下手だから二重にしてゴマ化している」などと言われていましたっけ(^^ゞ
しかし井上順さんの声質には、そのような音作りは大変合っていると思います。


付記

まず、先月は結局半端な記事一つしかアップできず、申し訳ありませんでしたm(_ _)m


我々の年代だと、井上順之さんと言えばコニカカメラのCMが特に印象的でしたね(^^)
当時新婚で、テレビに出てくるたびに「エミちゃん」を連発していましたっけ(^^;)

子供だった私にとっては、井上順之さんの笑顔がとても優しく思えたものでした。
現在は高齢となってしまいましたが、当時のイメージがほとんど崩れていない、
貴重な存在だと思います(堺正章さんの方はちょっと大物感を出し過ぎのような…)。


「涙」のジャケットのコピー: 「ジュンチャンが心をこめて歌いあげた感動の新曲!」

何だかあたたかいなぁ(^o^)


「涙」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 都倉俊一
編曲 : 都倉俊一
レコード会社 : フィリップス
レコード番号 : FS-1235
初発売 : 1972年1月25日

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