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あざやかな場面 / 岩崎宏美

これからのさわやかな季節に向けて…

あざやかな場面ジャケ.jpg

チャートアクション

「あざやかな場面」は岩崎宏美さんの13枚目のシングルとして1978年5月に発売され、
オリコンシングルチャートで最高14位(同年5月22日付)、
同100位内には12週ランクインされ、11.5万枚の売り上げを記録しました。


次作「シンデレラ・ハネムーン」が同年7月25日発売で、
3~4ヶ月に1作発売が普通だった当時に於いても短いインターバルであった事は、
「あざやかな場面」の知名度が今一つである理由かも知れません。

1978年(昭和53年)、岩崎宏美さんはシングルでは「二十才前」「あざやかな場面」
「シンデレラ・ハネムーン」「さよならの挽歌」、
アルバムでは「二十才前」と今も名盤の誉れ高い「パンドラの小箱」と、
40年近く経った現在からすると大変充実していると思われる作品を多く発売しましたが、
「二十才前」がシングル・アルバム共にやっと10位にランクされた以外は、
オリコン上位にランクされる事なく終わってしまいました。

それはデビュー4年目の岩崎宏美さんの人気が安定期に入っていた事と共に、
当時の音楽界に、他にも優れた作品がいかに多かったかの証明とも言えますね。

個人的には、同年は地元のデパートで開催された「シンデレラ・ハネムーン」のキャンペーンで、
初めて岩崎宏美さんの生の歌声を間近で聴いた忘れられない年でもあります。
カラオケを添え物に歌声を拡声しただけの、音質云々など言えないものでしたが、
今思うとそれがかえって生々しさになっていたように思います(^^)


作品について

作詞は岩崎宏美さんのデビューから作品提供を絶え間なく続けていた阿久悠氏。
作曲は阿久悠氏とのコンビで伊藤咲子さん等への作品を提供していた三木たかし氏です。
そして編曲は三木たかし氏と船山基紀氏が合同でクレジットされていますが、
作業分担等は残念ながら不明です。

前年の「熱帯魚」B面の「夏のたまり場」、そして「思秋期」から「あざやかな場面」
までのシングルA・B面全7曲で、組曲・脱学生時代と言った趣が感じられます
(「二十才前」B面の「ザ・マン」は微妙ですが)。

「あざやかな場面」は、むしろB面の「いちご讃歌」の裏面的な作品で、
曲調の明るさが逆に主人公の心の翳りや空虚さを強調し、
聴き終わってからも長く余韻を残すような奥深さが感じられます。

その要因の一つとして歌詞に於ける言葉選びがあると思われます。
例えば「青葉」を強調するにはポジティブに「初夏」が良いのでは?
と思われる所が「春の終わり」であったり、
夏に「嵐」を付ける事で夏の終わりを間接的に表現したり…等、
ややネガティブな言葉を用いる事で、
聴いている時よりも聴き終わってから頭に残っている事が判るような表現を
意識的に構築している…ように、私には思えます。

それとも同じ阿久悠氏作詞の「真夏のあらし」(西郷輝彦)と何か関係があるのだろうか??


楽曲について

リズムは歌謡曲のシングルでは珍しいシャッフル(スウィング)のワルツで、
120bpm程度の速くもなく遅くもないテンポです。
岩崎宏美さんの作品では1986年発売の「好きにならずにいられない」も、
ほぼ同じようなリズム・テンポですね。


構成としては変形2ハーフで、2コーラス目はAメロが短くなっています。

キーはE♭(変ホ長調)ですが、間奏のみG♭(変ト長調)、
ハーフ以降はEに転調する複雑なものとなっています。

コード進行はベースの流れを大切にしたためと思われる分数コードのオンパレードで、
低音の動きをしっかりと出さないと楽曲の雰囲気もかなり損なわれる繊細なものです。
特にBメロ ♪そんな愛の真似事も…♪♪(今になれば)何もない♪ での
ベースがクリシェで下っていく部分は、歌メロとの関係が密接で重要なものと言えます。

また V7とⅡm7/V の使い分けも、曲の流れを滑らかにする為に重要な役目があります。


歌メロに目を向けると、まず気づくのがG音(ハーフ以降はG#。この曲ではミの音)の多用。
どの曲にも中心となる音は大抵あるものですが、この曲ではしつこいほどにその音が登場し、
繊細なメロディーの背骨となっています。

音域は下のGから上のC#まで、1オクターブと減5度とかなり広いものです。

またどのフレーズも弱起で始まり、柔らかなイメージを感じさせます。


アレンジについて

アコースティックギター2本で始まり、次にベース・ドラムス・ピアノ、
次にストリングスも加わり、ハーフでは女性コーラスも加わり厚い音を組み上げていきます。

B面の「いちご讃歌」ではブラスが活躍しひたすら明るいサウンドであるのと対照的に、
「あざやかな場面」では弦楽器が中心であり、センチメンタルな雰囲気を感じさせます。

曲中、どこをとっても聴きどころがあるのですが、最後に岩崎宏美さん自身による
一人二重唱のスキャット、同時に蒸気機関車の走行音にも聞こえるロール演奏で登場し
最後にソロで残されるマーチングスタイルの小太鼓が印象的です。
その小太鼓、スティックが滑ったのか最後に近い箇所でちょっとコケてるようなのですが(^^;)


♪ラララ…♪ と歌われるスキャットは対位法と呼ばれる作曲法で、
単なる3度のハーモニーとは異なり、2つのパートがそれぞれ主体性を持ち絡み合う、
歌謡曲のボーカルで使われる例があまりない手法です。

Aメロと同じ旋律が主旋律、もう一つが副旋律として良いと思いますが、
お互いの音程が進行中に入れ替わったりするのがスリリングで聴き応えがあります。
途中でどちらがどちらのパートを歌っているのかわからなくなるトリッキーさもあり、
それは同じ歌手が2つのパートをほぼ同じ音量で同時に歌っている事によるものです。


ボーカルについて

岩崎宏美さんの歌唱はデビュー当時はとにかく高音域の美しさが印象的でしたが、
翌年あたりから高音域の音色は保ったまま、音域が低い方向に大きく広がり、
声質も徐々に太くなっていったように感じます。
「あざやかな場面」でも、最低音である下のGを余裕で発声している事が判ります。

そういった変化も現在も変わらない歌唱力、説得力につながった要素と思われるのですが、
それはまさに岩崎宏美さんがデビュー当時に筒美京平氏に「これから君は多くの人から
高音域を称讃されるだろうが、君の本当の良さは低音域にあるんだよ」と言われた事が
正しかった証明と言えるでしょう。

低・中音域が充実していてさらに高音域での初々しい、デビュー当時のような声も聴ける。
当時のファンにとって、それはたまらない魅力でした(^^)

因みに私が今回チェックしたのは1978年6月15日放送分の「夜のヒットスタジオ」ですが、
生番組にもかかわらず歌声がレコードでのそれと殆ど変わらない素晴らしさで、
改めて岩崎宏美さんの実力の高さを感じました。

「あざやかな場面」の歌メロ自体はピアノの練習曲のようにややメカニックで、
歌うには音程がしっかりとれていないとすぐに破綻する危うさがあります。
岩崎宏美さんは歌い出しのように音程が一気に1オクターブ移動するようなメロディーも、
全く何気なくサラッと歌っている(ように聞こえる)のが凄いところです。


オリジナルミックスとリミックスの相違点について

歌手生活10周年記念として発売されたベストアルバム「ダル・セーニョ」には
「あざやかな場面」の新ミックス(当時)が収められています。

同アルバムの他のリミックスバージョンと比較すると、
特定の楽器にエフェクトを使ったりせず、オリジナルに近いミックスとなっています。

リミックスではスネアドラムの音がEQでカリカリした音に変えられている事、
全体、特にボーカルにかけられたリバーブの量がやや少なめに仕上げられている事、
そしてエンディングの二重唱における両者のボーカルのバランスが、
副旋律をやや控えめにしている事が主な違いです。

この曲のミックスはエンディングで全体の音がフェイドアウトする中で
小太鼓(実際には単体ではなくドラムキットの中のスネアでしょう)のソロだけが残される
特殊なものですが、リミックス版では小太鼓以外の音の消え方がやや荒っぽい事、
そしてその小太鼓ソロがオリジナルよりも1小節短いのがちょっと不可解です(^^;)

そのような特殊なミックスは、現代ではコンピューターでいくらでも細かく設定し、
オートメーションで何度でも全く同じように再現できますが、
1978年当時はエンジニアの手動作業ですから、事前に綿密に計算し仕上げたのでしょう。
そのような仕事で生まれる緊張感は必ずサウンドにも反映しますし、
後に音楽史に残る音源の重要な要素だと私は思っています。

現代の、PCメインで作られる音源がすべてユルイ、とは言いませんが(^^;)


今回も楽譜は作成しましたが、諸事情により記事中の掲載は見合わせています。
ご希望の際にはメール(アドレスはプロフィール欄にあります)でお問い合わせ下さい。


「あざやかな場面」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 三木たかし
編曲 : 三木たかし、船山基紀
レコード会社 : ビクター音楽産業
レコード番号 : SV-6429
初発売 : 1978年5月5日

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ラジオ番組のお知らせ!

ぽぽんたです。 いつも私のブログをご贔屓下さり、ありがとうございます。


このブログに時々コメントを下さる音楽ライターの濱口英樹さんが
パーソナリティを務めるラジオ番組「午前0時の歌謡曲」(FMおだわら)。

明日(4月17日)の放送には岩崎宏美さんがゲストで登場します!
音楽はもとよりhama-Pさんが音楽ライターならではの視点で、
他の番組では聞けないようなお話を
宏美さんから引き出して下さっている事と思います。

放送は24時(18日の午前0時)から、再放送は24日の同時刻からの1時間です。
インターネットラジオなどで全国から聴取可能ですので、
ぜひ楽しみましょう(^o^)/


お知らせが直前になって申し訳ありませんm(_ _)m

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14日夜から九州地方、特に熊本県で大きな地震が続いています。
5年前に東日本大震災を経験した者の一人として、
とても他人事とは思えず、心を痛めています。

このブログの読者の方にも当地、あるいは近隣の方がおられますし、
被害に遭った皆様にお見舞いを申し上げると共に、
現在以上に被害が広がらず、一日も早く元の生活に戻れますよう、
心からお祈り致します。


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お詫びm(_ _)m 今回もクイズを…

ぽぽんたです。


例によってまた書き遅れまして…m(_ _)m

代わりにクイズです。
次の題材曲は何でしょう?


ヒント: 岩崎宏美さんの楽曲です。
メロディーに関しては「好きにならずにいられない」と同じ路線です。

その曲のエンディング部分の楽譜はコレです(画像上クリックで大きく見られます):
Quiz01-2.jpg

今回もコメント欄を「承認後表示」にしますのでご不便をお掛けしますが、
ぜひ回答をお寄せ下さい!
いつもより早く、今週金曜の夜にコメント一斉表示したいと思います。


次週日曜には必ず記事をアップしますので、またよろしくです!

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追記(4月10日23時5分): この時間までにこの記事にコメントを下さったwishy-washyさん、
widolさん、ゴロちゃん、ありがとうございます!
せっかく書き込んで下さったのにそれが今はコメント欄に反映されず、申し訳ありません。

素晴らしい!皆さん、わかって下さっているので記事の書き甲斐があります(^^)
その反面、下手な事を書けば突き上げられそうで怖いなぁ(^_^;)
必ず満足して頂けるような記事を!と思っていますので、次回ぜひ読んで下さいね(^^)/

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追記2(4月12日0時15分): この時刻までに回答を寄せて下さった
nuko222さん、小がめらさん、青大将さん、Massanさん、
ありがとうございます!
皆さん、やっぱり凄い。 わかりにくいヒントかと思っていたのですが…。
金曜にもぜひおいで下さいね(^^)

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追記3(4月15日23時20分): 先ほど、頂いたコメントを公開させて頂きました。
回答を下さった10名の皆様、ありがとうございました!
今回は初めて、全員の方が正解でした! 宏美さんパワーはすごいす(^_-)-☆
お返事は、コメントを頂くたびエディターで書き留めておいたのを一気にブログに書き込みました。
そのため、投稿時間が全部ほぼ同じになっていますが、ご了承下さいね。
日曜にはまたどうぞよろしく!

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