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悲恋白書 / 岩崎宏美

前回のクイズの答えです:

悲恋白書ジャケ.jpg

チャートアクション

「悲恋白書」は岩崎宏美さんの9枚目のシングルとして1977年4月に発売され、
オリコン最高8位(同年5月9日~23日付、3週連続)、
同100位内に12週ランクされ、17.5万枚の売り上げを記録しました。

前作「想い出の樹の下で」まで続いた筒美京平氏から初めて別作家による作曲となり、
曲調が大きく変わった印象があったためか、
売り上げ枚数を見ると、デビュー曲を除き初めて20万枚を下回る数字となってしまいました。


楽曲について

阿久悠氏による歌詞に大野克夫氏がメジャー調・マイナー調の2パターンの曲を付け、
そのメジャー調の方がシングルとして発売され、
マイナー調のメロディーには阿久悠氏が改めて歌詞を付け「メランコリー日記」として
アルバム「ウィズ・ベスト・フレンズ」に収められた…
…との事なのですが、どちらの歌詞・メロディーが先だったのかは明確な資料がないので、
断言は控えます。

しかしそうした作りであるため、「悲恋白書」のメロディーに「メランコリー日記」の歌詞、
あるいはその逆のパターンと、正規に作られたものと合わせ4パターンの組み合わせができ、
「メランコリー日記」のメロディーを知っていればより楽しめますね(^^)

岩崎宏美さんのシングルでは初めての失恋ソングですが、
明るいメロディー、アップテンポで軽快なサウンドは初夏によく似合っていますね(^^)


楽理ノート

構成としては2コーラスで、1コーラス目には前後、2コーラス目には後ろだけに
サビが付けられた「前サビ」と呼ばれる作りです。

リズムはそれまでの流れをくんだ、ディスコっぽさを残した8ビートです。


キーはGメジャー(ト長調)で、他調に渡る転調はありません。

コード進行はスムーズで、所々で「ここは流れの良さを重視している」
「ここはさりげなくクロスフェイドのようにシーンがきれいに変わるような効果を…」
と思えるものがあり、それらを含めかなり考えられたものでは、と感じられます。

その例としてサビメロ ♪昨日が消えて 明日が消えて…♪ の部分が
G→G7→C→C#dim→G/D→Am7→Am7/D→G とベースの動き重視でコードが選ばれている事、
Bメロ ♪こんなにも こんなにも 悲しむなんて…♪ の部分が
C→Cm6→Bm→B7→Em→A7→Am7/D→D7 となっていて、特 にBm→B7 と移り
一時的に平行調の短調に移行する事で主人公の悲しみをクローズアップさせて…
と言った事が挙げられます。

またAメロ ♪ぼろぼろの心が痛みます…♪ では同じベース音を保ったまま、
メロディーに合わせコードの最上音が1ステップずつ上がる定番的な進行(G→G6→GM7→G)
が用いられ、メロディーの流れを援助していますね。

またBメロに入る時はその直前にコードが G となり一旦リズムブレイク、
そして♪こんなにも…♪と入るわけですが、
そのメロディーは次に来るコードである C の構成音であり、
やや先走ったようなメロディーにする事で切々と訴えたくなる心情を表現したものと考えられ、
それは明らかに歌詞ありきでメロディーをつけた、即ち詞先ならではのものと思えます。


アレンジについて

デビュー曲「二重唱(デュエット)」以来、2年ぶりに萩田光雄氏が編曲を担当しており、
楽器構成、またストリングス重視の音作りに共通点があります。
しかし女性コーラスがボーカルを大きく支えている事、
ホーン、特にコルネットが間奏など重要なパートを演奏している事など相違点もあり、
ハープや電気ピアノ、リコーダーなどを含めハーモニー重視で豪華なサウンドに仕上がっています。


ただ、初めて聴いた頃からどうしても気になる点がありまして…
2コーラス目が ♪…冷たくされているのです♪ と終わりで一旦ブレイクし、
もう一度サビが繰り返されますが、その歌い出しの部分でベースがコケて聴こえる。
素直に G の音を出していないので、一瞬「え?」と思ってしまうんですね。
これが演奏ミスならば必ず修正するはずなのですが、故意にしてはサマになってない
…不可解です。


歌唱その他について

前作までは「ロマンス」を除き声量勝負型の楽曲が続いていましたが、
「悲恋白書」ではやや肩の力が抜け、声がほとばしる前に抑えたような歌い方が聴かれます。
デビュー3年目となった岩崎宏美さんの新境地的作品と言った意味合いもあるのでしょう。

しかしそんな歌い方を含め、それまでの楽曲に比較し物足りなさを覚えた人も多いと思いますし、
それが先述の売上枚数にも反映しているようにも思います。

物足りなさの原因の一つとして、楽曲そのものがやや単純で単調に聴こえる事が挙げられます。
実際「想い出の樹の下で」までの筒美作品ではリズム、コード進行など音楽的に複雑なものが多く、
それでいてメロディーや全体の仕上がりが親しみやすいものであったために、
洋楽のようなとっつきにくさがなく、かつ聴き応えのある作品が続いていました。

それが「悲恋白書」ではより歌謡曲らしい歌謡曲にシフトし、良い曲なんだけど買うほどでは…
と思わせてしまうものがあったように思えるんです。


聴き応えと言う意味では、楽曲全体から発せられるスケール感も大きな要素でしょう。
複雑なリズムやコードの上を、実は難しいのに楽々と歌う岩崎宏美さんの歌に、
聴く側は自然と大きなスケール感を覚えていたはずです。

さらに、筒美作品では聴かせどころの歌メロに当時の岩崎宏美さんの最も「おいしい」音域、
即ち上のB♭からC#あたりを多用し、さらにそこに歌詞のあ行の音をうまく当てた曲が多いのです。

それは「二重唱(デュエット)」から「想い出の樹の下で」のどの曲でも明確であり、
さらに後の「パンドラの小箱」や「シンデレラ・ハネムーン」でも同様で、
喉を大きく開けて発声し倍音も多く発生するあ行の音が高音域で効果的に使われる事で、
ボーカル自体にもスケール感が生まれるのでしょう。


「悲恋白書」ではそのような操作が感じられない、よりストレートな作り方がされているので、
そんな事も聴きやすいが物足りなく聴こえてしまう事につながっているようです。

しかし悲しみに満ちた歌詞をカラッと明るく、サラッと仕上げた稀有な作品でもあり、
岩崎宏美さんのキャラクターともピッタリ合った佳曲の一つです(^^)


ミックス等について

シングル用ミックスでは、冒頭でハープが右から左へパンしそこで落ち着きます。
アルバム「ウィズ・ベスト・フレンズ」に収録された「さよならそして自由へ」では、
終盤で転調する際にドラムスの音像がいきなり左右に移動してびっくりさせられます。
面白い演出ではあるのですが、いかにもマルチ録音っぽい、聴きようによっては
安っぽく感じられる操作でもあり、私には今ひとつ必然性がわかりません。


ベストアルバム「ダル・セーニョ」に「悲恋白書」のリミックスver.も収められています。
そのミックスは、ドライな音のシングルver.と比べると一聴して判るほど
全体にリバーブが多くかけられ、
そのわりには各楽器の音がより明確になっています。
ハープの音像移動の操作はされていません。

「ダル・セーニョ」の他曲のリミックスver.にも言える事ですが、
音色・音質を含め好き嫌いがハッキリと分かれそうなサウンドです。


「悲恋白書」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 大野克夫
編曲 : 萩田光雄
レコード会社 : ビクター音楽産業
レコード番号 : SV-6193
初発売 : 1977年4月25日

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お詫びm(__)m!! でもやっかいなクイズつき(^^)

ぽぽんたです。

申し訳ない! どうしてもまとまった時間がとれなくて記事が未完成です(>_<)

しかし記事執筆に役立つかもと思い楽譜を用意してあります。
今回はそれを使ってクイズです!
これまでよりも難解かつ、ちょいマニアックですよ(^^)

楽譜は2つあります:
(楽譜の掲載は終了しましたm(__)m)

これらから、私が書いている記事の題目曲と、
なぜ楽譜が2つあるか、それを当てて下さい。
ヒントは… 昭和52年の今頃のヒット曲です。
同じ歌手の記事が続いて心苦しくもありますが…(^^;)

そしてどの曲がお判りになったら、
虫食い状態になっている楽譜上の歌詞を正してみて下さい。
ちょっと楽しめますよ(^^)

今回もコメントを「承認後表示」としますので、投稿して頂いてもすぐに反映されませんが、
私はしっかり読ませて頂きお返事を書きますので、ぜひご回答下さいね!
もちろん、題目曲の曲名だけでも歓迎です。
今週金曜の夜に一斉表示させて頂く予定でいます。

来週こそ記事をアップしますので、よろしくお願い致しますm(__)m

*************************************************

追記(5/16 23:23)

この時刻までにご回答、そしてコメントを下さったろしひーさん、widolさん、
ゴロちゃん、青大将さん、ゆうのすけさん、Massanさん、ありがとうございました!
すぐに表示されないモードにしてあるにもかかわらず、皆さん内容の濃いコメントを
下さって感動してます。
そして…今回こそ難しいクイズにしたつもりだったのになぁ(^^;) 本当に、素晴らしいです!
喜んで頂ける記事をアップしたいと思っていますので、またよろしくお願いします!

*************************************************

クイズの正解は…

悲恋白書ジャケ.jpg そして ウィズ・ベスト・フレンズ ジャケ.jpg収録の「メランコリー日記」

でした。

回答を寄せて下さった皆さま、ありがとうございました!

明後日(22日)に「悲恋白書」について書かせて頂きますので、ぜひご覧下さい!

*コメント欄の「承認後表示」は解除しました。

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「ニッポンの編曲家」

ぽぽんたです。
ゴールデンウィークにはあまり関係なく個人的に忙しく、
今回も楽曲解説記事はお休みしますm(__)m

その代わり、ちょっとしたブックレビューを書かせて下さい。

******************************

その本とは、少し前にコメント欄でお薦めして頂いた「ニッポンの編曲家」(DU BOOKS)。
henkyoku.jpg
私のような人間からするとまさに垂涎もので、
これまで疑問に思っていながら知り得なかった事をギッシリと収めた、奇蹟の本です(^^)

川口真・萩田光雄・大谷和夫・星勝・瀬尾一三・若草恵・船山基紀・大村雅朗・井上鑑・
佐藤準・新川博・武部聡志各氏へのインタビュー(大谷氏と大村氏は他界
されているため、大谷氏については元SHOGUNの芳野藤丸氏と長岡道夫氏、
大村氏については元マネージャーの太田憲行氏へのインタビュー)、
ミュージシャンの矢島賢・吉川忠英・島村英二各氏、及びマニピュレーターの松武秀樹氏へのインタビュー、
ストリングスの加藤JOEグループのリーダー加藤高志氏、トランペッターの数原晋氏へのインタビュー、
コーラスグループEVEやサックスプレーヤーのジェイク・H・コンセプション氏についての記事、
仮歌歌手の広谷順子氏へのインタビュー、
レコーディングエンジニアの内沼映二・清水邦彦各氏と鈴木智雄氏へのインタビュー、
そして上記のミュージシャン・エンジニアに関係する人物・グループ等についての詳細など、
これまでどの音楽誌にも載っていなかった情報が満載、と言うよりもそういう情報しか
書いていないと言えるほどの、大変マニアックな一冊です。

しかしただマニアックで終わらずに、読んでいるとレコーディングの状況や風景、
コミュニケーション等が目の前に展開されるような生々しさを感じさせる優れた一冊です。


どうしても専門用語などが多いのですが、特に業界用語に近いような言葉は殆どすべて
注釈が付いていますし、それによって音楽への知識も更に深まると言った効果もあり、
1970年代から1980年代にかけての歌謡曲ファンには多大な情報をもたらしてくれます。


本当に興味深いエピソードが満載の本なのですが、読んでいて少し残念に思った事もあります。

以前、船山基紀氏から伺ったお話の一つなのですが、当時は本当に限られた人間によって
大衆音楽が作られ、ヒットし広まっていた…と言う事実。

レコードのレーベルなどに「東芝レコーディングオーケストラ」「ビクター・オーケストラ」
などと書かれているものがありますが、それらは全く架空のものであり、
実際には売れっ子、あるいはアレンジャーの好みの特定に近いミュージシャンが
レコード会社に関係なく様々なヒット曲で演奏していたり、
あるレコード会社専属のエンジニアがアルバイトで
他社の作品のレコーディングやミックスをしたなどと言う事が珍しくなかったんですね。
船山氏は「音楽業界全体が一つの企業のようだった」
といったような事を仰ったように記憶していますが、
「ニッポンの編曲家」を読み進めていってなるほど、確かにその通りだったんだ、
と改めて感じました。

勿論そういった事自体は以前から音楽ファンの間ではよく知られている事ですが、
書籍の記事としてこれ以上ないほど具体的に書かれてしまうと疑う余地がなく、
ちょっとだけ夢を削がれてしまうような気がしてしまうんですね(^^;)

また、同書で仮歌について、その専門の歌手が新曲を歌いそれをアーティストが聴いて
新曲を覚える…と言った事が当たり前であるように書かれていますが、
そのあたりにもガッカリする人もいるのでは、と…。

しかしこれまでになかった、音楽ファンにとって画期的な一冊である事は間違いなく、
同書に収録しきれなかった編曲家がまだまだ存在する(馬飼野俊一・康二氏、穂口雄右氏、
竜崎孝路氏、松任谷正隆氏、信田かずお氏、そして筒美京平氏等々)ので、
ぜひ続編を期待したいと思います(^^)


追伸: 偉大な作曲家の一人である冨田勲氏が5日、死去しました。
氏の音楽の日本の音楽界、そして世界の音楽界への影響力は多大なものがあります。
心より哀悼の意を表します。

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また、ですが…お詫びm(__)m

ぽぽんたです。 いつも読んで下さり、ありがとうございます。
皆さん、GWは如何お過ごしですか?


お知らせが遅くなりましたが、今週はそのGWに便乗し
更新をお休みします。
今回はクイズもありませんが…申し訳ありませんm(__)m

この休み中にまたチョロッと書くかも知れませんので、
気が向いたらチェックしてみて下さいね(^^)


では楽しい休暇を!

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