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小さな恋の物語 / アグネス・チャン

アグネス・チャンさん最大のヒット曲です:
小さな恋の物語ジャケ写.jpg

チャートアクション

「小さな恋の物語」はアグネス・チャンさんの4枚目のシングルとして1973年10月に発売され、
オリコン最高1位(同年12月17日付)、同100以内に24週ランクされ58.0万枚の売り上げを記録しました。
首位獲得後5位になり、また3位まで上昇し4週続けるなど、「草原の輝き」に続いて
息の長いヒットとなりました。

「ひなげしの花」「草原の輝き」、「愛の迷い子」や「ポケットいっぱいの秘密」など、
今もよく知られた曲を多く持つ歌手だけに、この「小さな恋の物語」がオリコンでは
唯一の1位曲であるのは意外に思えますね。

「小さな恋の物語」とのタイトルを目にした時、当時の若い人ならば恐らく
みつはしちかこさんの4コマ漫画をすぐ連想しただろうと思います。
そちらは正確には「小さな恋のものがたり」なのですが、
内容的にアグネス・チャンさんの楽曲とは何の関係もありません。
音楽の題名には著作権等は特にないそうで、そのため山口百恵さんの「禁じられた遊び」
なる曲名も何の問題も無かったんですね。
その2曲がほぼ同時期にヒットしたのは不思議な気がしますが(^^ゞ


作家について

作詞は山上路夫氏、作曲は森田公一氏、編曲は馬飼野俊一氏で、
デビュー曲「ひなげしの花」と同コンビです。


歌詞について

当時のアイドル歌手、特に同じ渡辺プロの天地真理さんの楽曲と通じるような
現実感よりもイメージを大切にした歌詞(そのように発注されたのでしょう)です。
「いつかはめぐり逢う 愛し合う人に」のフレーズを聴くと、
南沙織さんの3枚目のシングル「ともだち」のB面に収められた「いつか逢うひと」
をとっさに思い出す…と言う人も多いのでは(^^)
ひょっとしたら山上氏の頭にその曲があったかも知れませんね。


歌メロについて

森田公一氏によるこのメロディーは、「ひなげしの花」と同じように
とにかく高音域をこれでもか!とたたみかけるような作りで、
前作「草原の輝き」(作曲:平尾昌晃)、前々作「妖精の詩」(作曲:加藤和彦)のように
低~中音域もまんべんなく使ったような作りとはかなり異なっています。

アグネス・チャンさんのように上のEまで楽に出せる歌手はめったにいませんし、
森田氏にはそのような充実した高音域を生かしたい思いが強かったのでしょう。


楽曲について

キーが Dm(ニ短調)、Bメロで D(ニ長調)に転調しCメロでまた Dm に戻るパターンです。
アグネス・チャンさんのシングルでは初めて短調が使われた曲であり、
それまでと違うイメージでその声の良さを感じさせる事に成功しています。

8ビートでシンコペーションもほとんどない素直なメロディーを16ビートのせわしいリズムに乗せる、
アイドル歌謡では王道とも言えるパターンであり、
何よりも躍動感と若さを感じさせる事を最優先したものなのでしょう。


アレンジについて

ストリングスに大きな比重を持たせ、その上でハープシコード(チェンバロ)を活躍させているのは
前作「草原の輝き」と同じパターンで、
当時「恋はみずいろ」等の大ヒットで日本でも大きな人気を得ていたポール・モーリアの
音作りの影響を強く感じさせます。


歌唱について

アグネス・チャンさんは当時まだ来日1年ほどで、日本語での会話はたどたどしい状況でしたが、
とかく中国系の人が苦手と言われる濁音や促音(っ)の入る言葉も歌の中ではこなしているのは
欧陽菲菲さんとはかなり異なりますね(^^;)

ただAメロ♪愛し合う人に…♪の「ひ」が「ふ」と聞こえてしまうのは私だけでしょうか。


付記

アグネス・チャンさんが活躍していた1973年頃、女性歌手は「あ」から始まる名前が売れる
という説がありました。
天地真理、浅田美代子、麻丘めぐみ、あべ静江…
女優・声優の戸田恵子さんも1974年にあゆ朱美なる芸名でデビューしましたが、
それもそのような説をストレートに受け入れて考えられた名前であると本人が話していますし、
1973年にデビューした朝倉理恵さんも、恐らくその流れでつけられた芸名でしょう。

アグネス・チャンさんの場合はその名はクリスチャンネームだそうですが、
スカウトした渡辺プロも「あ」で始まる名前だからきっと売れる…と思っていた事でしょう(^^)


「小さな恋の物語」
作詞 : 山上路夫
作曲 : 森田公一
編曲 : 馬飼野俊一
レコード会社 : ワーナー・パイオニア
レコード番号 : L-1160W
初発売 : 1973年10月25日

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じんじんさせて / 山本リンダ

このジャケ写はちょっとノリすぎかな(^^;)
じんじんさせて ジャケ写.jpg

チャートアクション

「じんじんさせて」は山本リンダさんのキャニオンでの4枚目のシングルとして1972年11月に発売され、
オリコン最高10位(翌年1月15日付)、同100位内に16週ランクインし17.1万枚の売り上げを記録しました。


作家について

「どうにもとまらない」「狂わせたいの」に続いて作詞・阿久悠氏、作曲・都倉俊一氏の
コンビによる作品です。
編曲もそれまでと同じように都倉俊一氏が担当しています。 と言うよりも、
クラシック音楽の作曲家と同様にメロディーとアレンジを一貫で作り上げている感を受けます。


歌詞について

前作「狂わせたいの」の歌詞に出てくる「二度とはお目にかかれない可愛い女」をさらに前進させ、
さらに次作「狙いうち」へ続くような支配欲の強い女性が主人公で、
おおよそ現実感が薄く、おとぎ話に近いような世界が構築されています。
曲先で作られているとの事なので、そのサウンドから阿久悠氏は楊貴妃あたりを
イメージしているのかな。

しかしその内容は意外とハードで、子供が聴くような代物ではない…
と当時の大人は思ったに違いありません。


歌メロについて

都倉氏はこの時代の山本リンダさんの楽曲については「マイナー・ペンタトニックで作っている」、
即ちラ・ド・レ・ミ・ソの5つの音で成り立つ音階を基に作っていると述べていて、
実際「じんじんさせて」のメロディーをAメロを階名読みしてみると
ラ・ミソラ・ミソラ・ドシララドレ・ミミレドラ
と、1箇所だけシが入っていますが残りは5つの音を組み合わせているのがわかります。

「どうにもとまらない」でも確かに ミミレドララミソララミソラ…と、
特にミ・ソ・ラのつながりを中心に作っている事がわかり、「じんじんさせて」にも
それが引き継がれているんですね。

しかしペンタトニックだけだと単調になりがちなので、展開が必要な時などはそれにこだわらず、
必要な音を組み合わせていますが、そのために一聴すると和風なメロディーなのに
どこかバタ臭い…と感じる事になるようです。


アレンジについて

イントロがあまりに中華風なのには驚いてしまいますね(^^;)
チェレスタで演奏されているフレーズ、それに続くサックスで演奏されているフレーズは
いずれも4度の和音で、
それと先述のペンタトニック(5音階)の組み合わせが中華風に聴こえる原因です。
4度の和音とは、例えばドから上がってレとミをはさんで4つ目の音がファですから、
ドとファを一緒に出せば4度和音となります。
逆にドと、ドからシとラをはさんで4つ下がったソを重ねても4度の和音となります。
同じようにレとソ、ミとラでも同じですね。

4度和音で作られていて中華風に聴こえる別の好例としては、「パールカラーにゆれて」(山口百恵)
のイントロが挙げられます。

そして面白いのが、イントロや間奏・エンディングのフレーズが、ケテルビー作曲の管弦楽、
「ペルシャの市場にて」の最も有名なフレーズを引用したものである事です。
そしてそのフレーズはさらにBメロ、つまり「じんじんさせて」のサビである
♪だめだめ女を口説くのは どこにもあるよな手じゃ駄目よ♪ にも応用してあります。
私事ですが、我が家では当時、この曲を耳にして「こりゃ『ペルシャの市場』じゃないか」
と最初に言い出したのは父でした(^^;)

しかしサウンドとしては目立って中華風なのはイントロと間奏・エンディングであり、
あとはほぼロック。
その対比がインパクトを増大させています。


楽曲について

キーはBマイナー(ロ短調)で、他調にわたる転調はありません。
リズムはドラムスとベースのパターンは8ビートのロックで、タンバリンで16ビートを加味しています。

コード進行はとてもシンプルで、複雑なものはなくほとんど3和音で押し切っている感じで、
それもシンプルなロックを感じさせる要因なんですね。

ポイントはE7の使い方です。 ここがEm7だと普通のロックになるところを、
E7にする事でサビにも中華風のイメージを呼び込んでいるんですね。

先述の4度和音、そしてコード進行なども楽譜でチェックしてみてください:
じんじんさせてscore.jpg

山本リンダさんのボーカルは「どうにもとまらない」で突如変化した発声法が
この曲でも使われていますが、
2コーラス目のCメロ♪それじゃまだ燃えないわ…♪の「それじゃ」の部分には
変化前と同じような発声が垣間見え、、
その使い分けが面白くなりそうな予感を抱かせる曲でもありますね(^^)


サウンドについて

「どうにもとまらない」は都倉俊一氏によると8トラックでレコーディングされたそうで、
「じんじんさせて」もその音数からして同じ8トラックで制作されたと思われます。

左のサックスセクション、右のトランペットセクションにはお互いの音の跳ね返りが
聞こえるあたり、リズムセクションとそれらホーンセクションが同時録音され、
ストリングスが後からかぶせられたように思えます。

8トラックで録音されているとすると、ドラムスとパーカッションに2トラック、ベース1トラック、
ピアノに1トラック、エレキギターは2本なのでそれぞれ1トラック、ストリングスに1トラック、
ボーカルに1トラックと言った具合に割り当てられて録音されたのでは、と思います
(ボーカルは複数テイク録音する事が多いので、リズム関係をもっと2トラックにまとめて
その分ボーカルトラックを確保していた…事も考えられますが)。

冒頭のチェレスタの音は別録音のつなぎ合わせでしょう。

そして仕上がったミックスは、ステレオ録音で広がりと躍動感を強調したドラムスと、
音量の変化がまるでハンドマイクを持ちながら歌っているように聞こえるボーカルを軸に、
都倉氏らしい派手なホーンセクションやストリングスなどを組み合わせ、
全体として歌謡曲と言うよりも、シンプルなプログレッシブロックと言ったサウンドです。

「どうにもとまらない」「狂わせたいの」ではボーカルの二重録音が使われていましたが、
「じんじんさせて」ではそれがなく、またリバーブもほとんどかかっておらず、
目の前で歌っているような生々しいボーカルが聴かれます。


付記

山本リンダさんの楽曲でオリコンのベスト10に入ったのは今のところこの曲が最後で、
次の「狙いうち」から徐々にブームが終わっていくのですが、
今改めて聴き直してもそれら一連のヒット曲のパワーは凄まじいものがあります。
「じんじんさせて」のボーカルなど、ヘッドホンで聴いていると「この人、この録音の時
このまま酸欠で倒れちゃったんじゃないか」と思わせるほどの本気度です。
だからこそ、そのサウンド、その歌の世界に引き込まれるのでしょう。

前回も書きましたが、私は山本リンダさんにはもう一度ブームを起こす力があると思っています。
どうも現代の音楽ってユル過ぎる気がしてならないんです。 勿論全部とは言いませんが…。
それを変えられるのは、山本リンダさんのような「本気度」を発揮できる人ではないか。
今こそ、それがもう一度新鮮に感じられ、誰もがふり向くのではないか、と。
期待してます。


まさに百花繚乱、今も残る音楽が毎月当たり前のように発表されていた70年代の歌謡曲を特集した雑誌
「昭和40年男」12月号(40号)をぜひ読んでみて下さい。
このブログを贔屓にして下さっている音楽ライター・濱口英樹さんが中心となった編集で、
読み応え最高の一冊となっています(^^♪


「じんじんさせて」
作詞 : 阿久悠
作曲 : 都倉俊一
編曲 : 都倉俊一
レコード会社 : キャニオン
レコード番号 : A-146
初発売 : 1972年11月25日

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お詫びm(__)m &クイズ!

ぽぽんたです。

…と書くと「またか」と言われるかと思いますが…記事、来週書きますm(__)m


で、クイズです。
あるヒット曲の、Aメロのカラオケです。
これを聴いて曲名を当てて下さい:
(音源は削除しました)

ヒントは…あの、これヒントなるかわからないのですが、私はこの曲のタイトルを
初めて耳にした時「××サスケ?」と聞き違えてしまいました。 小学5年の頃です。
恐らくそんな間違いをした人は他にも一人、二人はいたのでは、と(^^;)

個人的には、この曲を歌った人のブームがもう一度来るような気がしてならないんです。
特に根拠はないのですが、このようなキャラが求められてると思うんですね。
ま、もしそうなったらなったでご本人は困っちゃうかも知れませんが(^^;)

で、近いうちにこの曲についても書きたいと思ってます。

お判りの方はぜひコメント欄の回答をお願い致します。
今回も「承認後表示」モードにしますので、ご了承下さい。
今週水曜の夜に正解発表と頂いた回答、コメントを一斉表示したいと思います。


ではでは、水曜に(^^)/

*******************************************

正解は…

「じんじんさせて」(山本リンダ) でした。

回答を寄せて下さった皆さま、ありがとうございました!

次回はこの曲について書かせて頂きます。

またよろしくです(^^)/


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