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芽ばえ(第2回) / 麻丘めぐみ

このブログ始まって以来、初めて同曲2回目の記事です:
芽ばえジャケ.jpg

チャートアクション

「芽ばえ」は麻丘めぐみさんのデビュー曲として1972年6月に発売され、
オリコンシングルチャート最高3位(同年9月4日付)、同100位内に34週もの間ランクされ
42.0万枚の売り上げを記録する大ヒットとなりました。
麻丘めぐみさんの全シングルの中でも「わたしの彼は左きき」(1973年7月発売、49.5万枚)
に次ぐものとなっています。


作家について

作詞は千家和也氏。 当時、氏は京都を拠点として仕事をしていたとの事で、
それを知っていた麻丘めぐみさんは、この曲を歌う時にも京都の街をイメージしていたそうです。

作曲は筒美京平氏。 麻丘めぐみさんは元々声域が女性としては低めで、
高音部になると地声ではやや苦しく泣き声のようになる音色を氏は「日本人の好み」と判断し、
高音部を多用するメロディーを書いたようです。

編曲は高田弘氏。 この曲のヒットに、氏のストリングス・アレンジは大きく寄与しますね。


楽曲について

リズムは8ビートを基本に、アコースティックギターが16ビートで忙しくアルペジオする、
当時のアイドル歌謡によく聴かれたパターンです。

キーはC(ハ長調)で、転調はありません。
通常長調の曲では、歌メロが展開する途中で平行調の短調(この曲の場合はAマイナー)
に数小節寄り道するパターンが多いのですが、
「芽ばえ」の歌メロでは、コードのAmが最後に一度現れるだけです
(間奏にもう一度だけ出てきます)。

歌メロの音域が下のCから上のCまでのわずか1オクターブである事も考えると、
歌唱力を誇示するのではなく、楽曲の親しみやすさとアイドル歌手らしい可愛らしさを
演出するのが最優先だったのでは、と思われます。
前回の記事にも書きましたが、麻丘めぐみさんはビクターレコードの女性アイドル歌手第一号で、
関係者には何が何でも成功させたいとの思いがあったようです。

当時の歌唱シーンを観ると、キーを全音下げたB♭(変ロ長調)にしている事が多いのですが、
それはテレビ等での生歌唱ではオリジナルキーでの最高音のCが出しにくかったからでしょう。


コード進行は C→Dm→G7→C…と言った平易なもので、augやdimのような特殊なものは出て来ませんが、
Aメロではよく聴くとアコギが C・CMaj7・C・CMaj7・Dm…と弾いていて、
さりげなく哀愁感を醸し出しているのがわかります。


サウンドについて

今回、初めて過去に採り上げた曲を再び書こうと思った理由がサウンド解説です。

「芽ばえ」については、現在までに
1.シングルミックス(シングル盤、ベスト盤に収録)
2.シングルミックスでのカラオケ(FM東京「サウンドインナウ」でオンエア、但しモノ状態)
3.カラオケレコード用ミックス(「あなたが唄う桜田淳子・麻丘めぐみビッグ・ヒット」等に収録)
4.4チャンネルステレオミックス(CD-4方式レコード「麻丘めぐみベスト・ヒット」等に収録)
5.ハイレゾマスタリング(配信のみ、ミックスはシングルと同じ)

の5種類が商品化されています。

3はオリジナル・カラオケとして紙ジャケシリーズCDにも収録されましたが、
シングルとは全く別物のミックスで、またフルートで歌メロをなぞっているために
ひんしゅくを買ってしまったようです。
残念な事にシングルと同じミックスのカラオケはビクターにもテープが残っていないため
(私もその事は最近知りました)、苦肉の策だったようです。

2はこれまた残念な事にモノラル状態なのですが、
歌入りver.そのままのリバーブやエコーのかかり方、
歌メロ最後の ♪離れないわ♪ の追っかけが残されている事で、
紛れもなく本物のオリジナル・カラオケと言えるでしょう。

そして、そのカラオケに次いでレアと言えるのが4のCD-4バージョン。
当然ながら、シングルやベスト盤などに収録されている通常ミックスとは
全く違うミックス、サウンドです。

ではここで、それぞれのイントロ部分を聴き比べてみましょう:

1.シングルミックス
2.シングルミックスのカラオケ
3.カラオケレコード用ミックス
4.CD-4方式ミックス
(音源は削除しました)

1と2はサウンドが似通っているのは当然として、3と4ではシングルとは違った、
リバーブが極めて少なくストリングスの動きもハッキリわかるものとなっています。


「芽ばえ」のレコーディングは、驚く事に8トラックで行われていたそうです
(8トラックと言っても昔のカーステレオの事ではないですよ、念のため(^^;))。
麻丘めぐみさんのシングルでは「芽ばえ」から3作目の「女の子なんだもん」までが8トラック、
4作目「森を駈ける恋人たち」以降が16トラックで制作されているそうです。


「芽ばえ」では一人二重唱が採り入れられているため、ボーカルだけで2トラック使います。
と言う事はオケには最大6トラックしか使えないわけで、現在のようにほぼ無制限に
トラックを生成できる環境と比較すると大変な制約と言えます。

「芽ばえ」のオケにはドラムス、ベースギター、トライアングル、カスタネット、ハーモニカ、
フルート2本、マリンバ、アコースティックギター2本、そしてストリングスと言った楽器が使われており、
6トラックにそれらを詰め込まなければならないわけです。

ストリングスはそれだけでステレオ効果重視で2トラック使っていますから、
残りをどうやって4トラックに収めたのかが、非常に興味のあるところです。

「芽ばえ」の前あたりの時代では、オケは全楽器同時演奏でその場で2チャンネルにミックスし、
それがカラオケテープとなり後にボーカルをかぶせていたわけですが、、
「芽ばえ」もオケは恐らくほとんどの楽器が同時演奏で、トラックをストリングスに2つ、
リズム・コード関係(ドラムス、ベース、ギター、マリンバ)はその場ミックスで2トラックに、
トライアングルとカスタネット(同じ演奏者の持ち替えかな)に1トラック、
そしてハーモニカとフルートに1トラック、と言った振り分けにしているのでは…
と、私は推測しています。


上記3と4では、1・2とはリバーブのかかり具合が全く違う事がわかります。
1(と2)では、ストリングスやボーカルは一度マスター用レコーダーに通して
録音ヘッド・再生ヘッドの時間差をつけた上で「最大に突き上げた」(残響時間を最大にした)
鉄板エコー(リバーブ)に入れる事で独特のサウンドを作り上げたそうで、
例えばレコーダーでの遅れ時間、リバーブマシンやエコーマシンの音色、
ミックスの際のリバーブの量など、練りに練った結果のサウンドなのでしょう。

蛇足ですが、そのようにリバーブに入れる前にごく短い時間遅らせる事は
現在では「プリ・ディレイ」と呼ばれ、デジタル・リバーブでは重要なパラメータの一つです。

当時の機器はアナログですから、ミックスのセッティングは保存できません。
なので4チャンネルの音源を創るにはミックスを最初からやり直しになります。
なので4チャンネルバージョンがシングルのミックスとまるで違うのは当然なんですね。

3に関しては、カラオケレコードが発売されたのは1975年ですから、その時点ですでに
シングルと同じミックスのカラオケのマスターテープは無かった…のかも知れません(^^;)


付記

音楽ファンを長年やってると、気づかないうちに色々な音源を持っていたりするもので、
今回も久しぶりにLPレコードをパタパタと見ているとCD-4方式のレコードが出て来て
「あれ、こんなの買ったっけ」と久しぶりに針を落としたのが、
今回の記事を書こうと思ったきっかけでした。

4チャンネル、特にCD-4方式は、正常な再生には
・カートリッジは高域が50KHあたりまで再生できる必要がある
・プレーヤーのケーブルは低容量で高域のロスが少ないものでなければならない
・2チャンネルの信号から4チャンネルに生成する復調器が必要
…と言った敷居の高いシステムであり、私もそれらの機器は所有していないため、
今はそのレコードも2チャンネルステレオとして聴くしかないのが悔しいところです。
このレコードもきちんとした装置で聴くときっともっともっと楽しいだろうなぁ(>_<)

CD-4盤「麻丘めぐみベスト・ヒット」には、「芽ばえ」から「ときめき」までの7曲と
そのB面曲が収められています。
「芽ばえ」以外でも、「森を駈ける恋人たち」や「アルプスの少女」は
シングルのミックスとはボーカルのテイクや扱い方が違っていたり、
「わたしの彼は左きき」ではブラスがトランペットとトロンボーンに分かれていたり等々、
シングル(オリジナル)のミックスに親しんでいるほどその違いがわかる、
CD-4バージョンならではの音を楽しめます。

最後におまけとして、そんな「アルプスの少女」のイントロを…。
ヤッホー!に全くエコーがかかっていなくて声が極めて鮮明なのが新鮮ですよ(^^)

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年内は今回が最後の更新です。
今年は休んでしまう事が多く、また合間にクイズでごまかしのようになったりで、
ちょっと後悔が残っています。

来年もペースは上がらないかも知れませんが、
今後も楽しく続けていきたいと思っていますので、
よろしくお願い致しますm(__)m

では皆さま、良いお年を(^^)/

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お知らせ&今年最後のクイズ!

ぽぽんたです。

気づけば今年も残すところ2週間…日曜は今日の後は1回しかない、
との事でもったいぶって記事は来週書きます(体のいい言い訳ですが(^_^;))。


ところで先週の記事は、何気にクイズになっていたんです。
「過去のデビュー曲」って何だか変な表現だな、と気づいて下さった方!
鋭いです(^^)

実はそれ、「過去のデビュー曲」ではなく「カコのデビュー曲」。
ご存じない方も多いかと思いクイズとは書かなかったのですが、
「カコ」とはアイドル時代の麻丘めぐみさんのニックネームだったんですね。
本名が(藤井)佳代子であるからだそうです。
なので次回書こうと思っていた曲は「芽ばえ」について、なんです。

「芽ばえ」についての記事は、2009年にこのブログを立ち上げてすぐの頃に
一度書いているのですが、
それから7年も経っている事、そして同曲で4種類の音源を持っている事などに
ふと気づいて、前回と違う書き方ができるか試してみようと思ったんです(^^)


今回は今年最後のクイズを…って事で、次のオリカラ音源のタイトルをお答え下さい!
サビの部分の、ほんのちょっとだけですが(^^ゞ
(音源は削除しました)
ヒントは…45年前の今頃にヒットしていて、よくラジオで流れていました。
主人公の相手には先斗町あたりに待つ人がいるのだろうか…。


今回もコメント欄を「承認後表示」モードにしてお待ちしてます。(解除しました)
今週水曜の夜に正解発表とコメント表示をしますね。

ではよろしく~(^^)/

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クイズの答えは…

「なのにあなたは京都へゆくの」(チェリッシュ) でした。

回答を寄せて下さった皆さま、ありがとうございました!


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お詫びm(__)m

ぽぽんたです。 いつも読んで頂き、ありがとうございます。

全く個人的事由により今日はお休みしますm(__)m
次回は一度採り上げたある過去のデビュー曲について、
追記したくなった事が生じたのでそれを書いてみようと思っています。
どの曲か、わかるかな(^^;)

では、今週も元気にお過ごし下さい(^^)/


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