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モンテカルロで乾杯 / 庄野真代

↓ ちょっとメークがきついような(^^;):

モンテカルロで乾杯.jpg

チャートアクション

「モンテカルロで乾杯」は庄野真代さんの6枚目のシングルとして1978年7月に発売され、
オリコンシングルチャート最高5位(同年9月11日付)、同100位内に22週ランクインし
31.4万枚売り上げるヒット作となりました。

ヒット自体は明らかに前作「飛んでイスタンブール」の余勢を駆ってのものと思われますが、
流れるように進行する「イスタンブール」に対し、
「モンテカルロ」ではリズムを強調してよりポップなサウンドとなり、
その両方、あるいは「モンテカルロ」の方が好みと言うファンも多いようです。


作家について

作詞はちあき哲也氏、作曲は筒美京平氏で前作と同じですが、
編曲は「イスタンブール」での船山基紀氏に替わり筒美京平氏が自ら行っています。


楽曲について

リズムは基本8ビートですが、ややアップテンポである事、
ストリングスが16分音符で動き回るパートが多い事、歌メロやオブリガートにも
16分音符が多用されている事などがあり、パッと聴いた印象は16ビート、実は8ビート…
と言ったところでしょうか。

全体の構成はオーソドックスな2ハーフです。
各コーラスはA・A'・B・B' と分ける事ができ、ハーフはB・B'のみです。

歌メロのパターンは全体的に「イスタンブール」を引き継いだものと言えます。
特にAメロの出だしの譜割りが、半拍おいて始まる事を含め「イスタンブール」と
全く同じなのがちょっと「似すぎ」と言えなくもありません(^^;)

キーはB♭マイナー(変ロ短調)で、他調にわたる転調はありません。
参考までに楽譜を(2コーラス目は端折ってます)。
♪かんぱーいモンテカルロ…♪ の「かん」の音が、1・2コーラス目ではラだったのが
ハーフだけミである事にも注意してみて下さいね:
モンテカルロで乾杯score.jpg

キーこそやや厄介ですが、コード進行は平行調で短調と長調を行ったり来たりしている程度で、
特に特殊な和音が使われたりはしていません。

しかしこの曲にも、筒美氏の楽曲の多くに見られる6th系コードの効果的な利用が見られ、
それが歌メロにも反映され、オリエンタルなムードを盛り上げています
(と言ってもモンテカルロはヨーロッパなのですが)。

具体的にはAメロ ♪(そして24時間)あの都会(まち)あとに♪、
Bメロ ♪(シルクハットを月に飛ばして)明日は明日よ♪ の2箇所に注目して下さい。

それらで使われているのはE♭m6で、構成音が全く同じでベース音だけが異なる
Cm7-5でも構わないはずですし、
特に後者では実際の進行上そのCm7-5が使われるのが普通なのですが、
筒美氏は敢えて6th系コードが持つ哀愁感をここでも重視したようです。
それにしても、構成音が同じである和音なのに、最低音を入れ替えるだけで
聴いた印象が変わるなんて不思議ですよね。

筒美氏の作品には同様の例が多いのですが、それが生かされたフレーズの一つが
「雨のエアポート」(欧陽菲菲)のAメロ ♪(小雨に濡れているわ)エアポート♪
でのコード進行です。
キーは違いますが、その前後での和音の響き・感触を聴き比べてみて下さい。


歌詞について

歌詞はやはり「イスタンブール」の続編よろしく…と言った感じのシュールさが身上ですが、
その中に対比が見られるのが面白いところです。
それは「シルクハットを月に飛ばして」に対して「割れてしまえ地球なんか」(月・地球)、
「黄金(きん)の時計を過去にまわして」には「裂けてしまえ未来なんか」(過去・未来)。
最後には「地球なんか 未来なんか」と、幸せなのか自暴自棄なのかわからないような
表現で結末を迎えると言う、何ともユニークな構成ですね。


アレンジとサウンドについて

筒美氏の作品に多いストリングス主導のアレンジで、これほど派手に動き回っているのに
全くボーカルの邪魔をせず見事に絡み合っている、そのバランスが素晴らしいですね。

チェロの重い音で始まり、やがてシタールでイントロのメロディーが演奏されます。
「飛んでイスタンブール」ではイントロなどでブズーキが使われていましたから、
シタールの使用もそれを意識しての事でしょう。
ただシタールはインドの楽器であり、モンテカルロとは関係ないはずなので、
その音選びはやはり、イメージ先行と言う事でしょうか。

蛇足ながら、「モンテカルロ」の翌年に大ヒットした「魅せられて」(ジュディ・オング)
では筒美氏はブズーキを大フィーチャーしていますから、自身の作ながら
「イスタンブール」の影響力の大きさが感じられます。


Bメロ(サビ)に入ると一層スピード感が増しますが、その要因の一つに
4拍目にフロアタムを鳴らすドラムスのパターンがあります。
そのパターンをいち早く採り入れていたのが、前年(1977年)に大ヒットした
「愛のメモリー」(歌:松崎しげる、作・編曲:馬飼野康二)だったんですね。


このブログでその「愛のメモリー」の回に少々解説したストリングスシンセサイザーが、
「モンテカルロ」にも使われています。
「愛のメモリー」ではストリングスとして使われながらも
生ストリングスとの音色の違いが見事に使い分けられ、
「たそがれマイ・ラブ」(歌:大橋純子 作・編曲:筒美京平)では
生ストリングスに溶け込むように使われ…とそれぞれが新しいサウンドを感じさせましたが、
「モンテカルロ」ではストリングスとは似て非なる楽器として独立して使われています。
A・A'でのオブリガート以外ではフェイズシフターの効果が加えられ、
シュワシュワと風のSEのようにも聞こえます。

ベースの音作りがポコポコとやや軽く、また固めにも感じられる特殊なものですが、
それはBメロに入る部分のフレーズを目立たせる効果もあるようです。

右チャンネルからシャカシャカと金属的な音が常に鳴っていますが、
これはドラムスのハイハットを単独で演奏しているように聞こえます。

エレキギターが左右1本ずつで、左が主にコード、右がオブリガートを担当しています。
これはエフェクトが感じられない、ストレートな音ですね。

総合的に筒美氏のアレンジらしい、複雑ながらポップで親しみやすいサウンドですが、
サウンド全体から受けるインパクトと言う意味では「イスタンブール」の方に
軍配が上がるように思います。


「モンテカルロで乾杯」で使われている楽器とその定位は:

左: エレキギター ストリングスシンセサイザー

中央: ベース ドラムス 電気ピアノ ハープシコード シタール

右: エレキギター ハイハット(かな?)

ストリングスが左右間にステレオ定位


歌唱について

「飛んでイスタンブール」での庄野真代さんの歌唱は、クセを極力抑えて
大人っぽい雰囲気で通していましたが、
「モンテカルロで乾杯」ではその特徴的なア行の発音が炸裂して(サビの
♪かんぱーい♪ が顕著ですね)、本来の真代さんらしい歌声が楽しめます。
HiB♭より上ではファルセットになるあたり、元々声域が低めなのかも知れませんね。

もっとア行の発音を確かめたい向きには、1980年に発売されたオリコン最高6位のヒット
「Hey Lady 優しくなれるかい」(庄野真代さんの作詞・作曲です)がお薦めです。
実は私、真代さんの曲ではそれが一番好きだったりします(#^^#)


付記

お知らせです。 明後日(10月11日)、昼12時からの「徹子の部屋」に
太田裕美さん、渡辺真知子さん、そして庄野真代さんの3人が出演します。
売れっ子だった当時のお話が聞けそうです。
…あまりのタイミングの良さに我ながらびっくり(^^;)


「モンテカルロで乾杯」
作詞 : ちあき哲也
作曲 : 筒美京平
編曲 : 筒美京平
レコード会社 : コロムビア
レコード番号 : LK-77
初発売 : 1978年7月10日

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